二宮清純「2戦零封に巨人浮上のヒント」
リーグ最強の赤ヘル打線が巨人投手陣に2試合続けて沈黙を強いられた。4日のゲームは田口麗斗、スコット・マシソン、アルキメデス・カミネロに手もなく封じられ0対3。5日のゲームは菅野智之、マシソン、西村健太朗、カミネロに三塁すら踏ませてもらえず0対5。2試合とも完敗だった。
この連勝は巨人を勢い付かせるのではないか。そんな予感が漂う。2試合連続零封という結果以上に、その内容がいいからだ。
以前にも紹介した継投の名手である権藤博が口ぐせのように言うセリフがある。
「仮に先発投手が6回まで好投して7、8回をセットアッパーがしのぎ、9回をクローザーが締めくくったとする。すると先発には勝利が、2人のセットアッパーにはホールドが、そしてクローザーにはセーブがつく。つまり皆が幸せになり、チームに勢いがつく。先発完投はひとりだけの喜びだ。ブルペンを含めた全体の喜びにはつながりにくい」
ひとりよりも2人、2人よりも3人、3人よりも4人で掴み取った勝利の方がチームの喜びは大きいというのである。
その伝で言えば4日の勝利は田口が勝ち投手となり、マシソンにはホールド、そしてカミネロにはセーブがついた。5日は菅野に勝ち星、マシソンと西村にホールド、そしてカミネロには2日続きのセーブがついた。ここにきて、やっと“勝利の方程式”ができつつあるように映る。
とはいえ、首位を独走する広島とのゲーム差は14。巨人が怒涛の追い上げを見せるには先発・リリーフ一体となった総力戦を挑み続けるしかない。
(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)