多川知希(障がい者陸上)第1回「若手には負けたくない」

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1707ch1 リオデジャネイロパラリンピック男子4×100mリレーで、銅メダルを獲得した日本の第3走者を務めたのが多川知希選手である。多川選手にとっては3度目のパラリンピック出場で、初の表彰台だった。大学卒業後に一般企業に入社し、仕事と競技を両立するアスリート。“二足のわらじ”を履いて、東京パラリンピックでの好成績を目指すスプリンターに話を訊いた。

 

伊藤数子: 今回のゲストはリオデジャネイロパラリンピック日本代表の多川知希選手です。多川選手は男子4×100mリレーでは銅メダルを獲得しました。7月にイギリス・ロンドンで開催される世界選手権への出場も決まっています。

多川知希: 先日も7月の世界選手権へ向けて、東京都北区にある味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)でリレーチームの強化合宿に参加してきました。日本は海外のチームとは違い、リレーチームのみでの合宿も重点的に行っているんです。

 

伊藤: なるほど。NTCでの合宿はこれまでも何度か行われているんですか?

多川: そうですね。2012年ロンドンパラリンピック以降からはNTCを利用することは増えてきました。

 

二宮清純: 以前はパラスポーツの選手がNTCでトレーニングできないという話も聞きました。

その点は変わってきているのですね。

多川: 現在は申請をすれば、食堂や宿泊施設の利用も可能になりました。

 

二宮: それはとてもいいことですね。トップクラスのアスリートたちが利用する施設ですから、いろいろな選手とも出会えて、情報交換ができるのではないでしょうか?

多川: ええ。先日もリオデジャネイロ五輪日本代表の飯塚翔太選手や藤光謙司選手にお会いしました。そういうところは大変刺激になりますね。

 

 個人の走力アップを

 

二宮: 多川選手は現在31歳です。年齢による衰えは感じますか?

多川: 年を取ったと感じることや、ちょっとした運動で息が切れることはないですね。ベストを出したのは3年前ですが、記録が落ちているというよりは維持しているという感じです。

 

二宮: ピークダウンはまだ先だと?

多川: そうですね。まだやるべき課題はたくさんありますから伸びしろはあると思っています。東京パラリンピックが年齢的にも最前線で戦う最後の大会だと思っているので、この3年間は無駄にしたくないと考えています。試せることがあれば、いろいろと試していきたいです。

 

二宮: 個人種目でも狙うのはメダルでしょうか?

多川: ロンドンパラリンピック100mでの5位が最高なので、決して届かないレベルだとは思っていません。

 

二宮: 個人でのレベルアップはリレーにもつながりますもんね。

多川: はい。チームワークを熟成させることだけでタイムを上げることは、もうそろそろ限界に近いのかなと。個人の走力を上げていかないとメダルには繋がらないかなと思っています。

 

二宮: 東京パラリンピックまであと3年です。

多川: 今年のロンドンでの世界選手権を含め、毎年大きな国際大会が開催されます。来年はアジアパラ競技大会、その次が世界選手権で、東京パラリンピックを迎えます。年を重ねるごとにうまくステップアップできればいいです。ベテランと呼ばれる年齢にはなりましたが、"若手たちには負けたくない"との気概で頑張りたいですね。

 

伊藤: まずは直近で世界選手権が控えています。ずばり目標は?

多川: リレーではリオに続くメダル獲得を、個人種目では決勝進出を目指したいです。

 

(第2回につづく)

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多川知希(たがわ・ともき)プロフィール>

1707ch2 1986年2月6日、神奈川県生まれ。T47(上肢切断など)クラス。生まれつき右前腕部が短い障がいがある。神奈川県立希望ケ丘高校-早稲田大学-早稲田大学大学院。東京電力に勤めながら、東京都北区の陸上クラブAC・KITAで活動する。現在は同クラブでキャプテンを務めている。中学で陸上部に入り、競技生活をスタート。早稲田大学在学中の2008年に北京パラリンピックに出場。2012年ロンドンパラリピックでは100mで5位、4×100mリレーで4位と2種目で入賞を果たした。2014年インチョンアジアパラ競技大会では4×100mリレーでの金メダルを含む3個のメダルを手にした。2016年リオデジャネイロパラリンピックでは4×100mリレーで銅メダルを獲得した。身長177cm、体重70kg。

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NPO法人STAND代表の伊藤数子さんと二宮清純が探る新たなスポーツの地平線にご期待ください。

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