4月3日(水)

◇決勝
 安楽、今大会779球の力投も報われず涙
済美(愛媛)      1 = 010000000
浦和学院(埼玉)   17 = 00007208×
 序盤は2004年以来、2度目の頂点を狙う済美ペースで試合が進んだ。2回表、済美は初回に続いて先頭打者がヒットで出塁すると、次打者は犠打を決めて1死二塁とランナーをスコアリングポジションに進めた。2死後、8番・金子昂平(3年)のタイムリーで済美に待望の先取点が入った。

 一方、初回は三者凡退に終わった浦和学院は2回裏、先頭の4番・高田涼太(3年)がピッチャーの後方にポトリと落ちるテキサスヒットで出塁する。5番・木暮騎士(3年)が犠打を決めて1死二塁とした。2死後、7番・西川元気(3年)が三遊間を抜けるレフト前ヒットで続き、一、三塁とした。しかし、8番・小島和哉(2年)はショートフライに倒れ、得点することができなかった。

 早めに追加点が欲しい済美は4回表、先頭の6番・藤原弘気(3年)が、この試合初の長打となる二塁打を放つ。しかし、ここは浦和学院の2年生エース小島が踏ん張った。7番・光同寺慎(3年)、先制打を放った金子を2者連続三振に切って取ると、町田を内野ゴロに打ち取り、追加点を許さなかった。

 力投を続ける2年生エースを何とか援護したい浦和学院打線だが、今大会屈指の剛腕・安楽智大(2年)に対し攻略の糸口を見つけることができない。安楽は5連投の疲れも見せず、緩急をつけたピッチングで4回まで2安打無失点の好投を披露した。

 5回裏、その安楽を浦和学院打線がようやくとらえ、猛打をふるう。先頭の6番・斎藤良介(3年)が久々のヒットで出塁すると、西川はセンターオーバーの二塁打を放ち、無死二、三塁と一打逆転のチャンスをつかんだ。打席には小島。互いに力投を続ける2年生エース同士の対決は、小島に軍配が上がる。直球で押す安楽に対しファウルで粘ると、6球目のスライダーを三遊間へ。三塁ランナーが返り、試合を振り出しに戻した。なおも無死一、三塁。ところが、9番・服部将光(3年)への初球、スクイズのサインだったのか、三塁ランナーがスタートを切る。ところが、服部は高めのボールを見逃す。三塁ランナーは帰塁することができず、1死一塁となる。

 しかし2死後、内野エラーに続き、死球で満塁とすると、ここから浦和学院の猛打ショーとなる。3番・山根佑太(3年)の2点タイムリー、さらには3試合連続本塁打を放っている高田のあわや本塁打というレフトフェンス直撃の2点タイムリーで4得点。この後も2本のタイムリーが続き、浦和学院は打者12人の猛攻でこの回一挙7得点を挙げた。

 6回表、済美は先頭の5番・盛田翔平(2年)が二塁打を放ち、反撃の狼煙を上げた。しかし、後続が続かない。藤原、代打・上田恭裕(3年)、金子といずれも内野ゴロに倒れた。

 その裏、延長戦1試合を含む4試合を一人で投げ抜き、疲労の様子が色濃く見える安楽は1死二塁から2者連続で死球を出し、満塁としてしまう。ここで浦和学院はすかさず追加点を奪い、その差を8点に広げた。悔しさを隠し切れない安楽は、ベンチに戻ると、涙にくれた。苦しいピッチングが続く2年生エースを何とか援護しようと、済美は7回表、無死一、二塁とチャンスをつかむ。しかし、2番・太田裕也(3年)は併殺打に倒れると、3番・宇佐川陸(3年)もセンターフライに終わった。

 その裏、今大会初めて安楽がマウンドを降り、一塁のポジションに入った。初戦から772球を投げ続けた安楽。その後を継いだ同じ2年生の山口和哉はテンポのいいピッチングで浦和打線を無失点に抑えた。しかし8回裏、済美の3番手・太田が8失点を喫し、その差は16点に広がった。

 一方、打線から大きな援護をもらった小島は、ランナーを出しながらも要所を締める好投を続け、最終回は三者凡退で締めた。春夏合わせて初めて決勝に進出した浦和学院。投げては小島が1失点完投、打っては打線が18安打17得点と投打に圧倒し、初優勝を果たした。