スタンドの後押しが生んだ”逆転のPL”

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 今回は夏ということで私の甲子園、高校時代の話から? いやー、もうそんな大昔(1978年)の話はやめましょう(笑)。まあこの季節になると「逆転のPL」について取材を受けることがあります。40年近く前の出来事なのに大変ありがたいことですね。母校(PL学園)の野球部はなくなってしまい寂しい限りですが、いつまでも野球ファンの皆さんの記憶に残っているのが嬉しいです。


 あの年、PL学園はセンバツで準々決勝敗退で非常に悔しい思いをしました。夏は「甲子園に出て当たり前」というプレッシャーの中、大阪府大会を勝ち上がっていく間にチームがひとつにまとまりました。全員の思いはセンバツ以上というか、当然「夏初優勝」で一致していたんです。我々が1年生の夏、先輩方が甲子園の決勝で桜美林高に敗れました。それを見ていたので「自分たちもあそこで戦いたい。そして勝ちたい」という思いを強く持っていた。これが伝統校の強みだと思います。

 

 初優勝した大会は準決勝の中京戦、決勝の高知商戦、どちらも逆転勝利を飾りました。準決勝は9回裏に4点差を追いついて延長12回にサヨナラ勝ち、決勝は9回裏、0-2から逆転サヨナラ勝ち。どちらも甲子園の雰囲気に乗せられた部分があったのでしょう。甲子園はPL学園にとって地元のようなもので、満員のお客さんはほとんどがPL学園の応援をしてくれました。あの雰囲気にこっちは乗っていけたし、反対に相手は勝ちを焦った部分があったのでしょう。球場の雰囲気でチームが乗るという部分で、今のマツダスタジアムに似ていますね。あそこで戦う広島はなぜかいつも以上にいいプレーをしている気がします。

 

 高校野球の改革案

 高校野球は私に限らず野球に関わる人すべての原点でもあるので、これからも発展を願っています。そのためには出場枠拡大などの改革も必要でしょうね。たとえばセンバツ優勝校は無条件で夏の出場を認めるというのはどうでしょう。また参加校の多い府県は分割するのもひとつの案です。センバツは21世紀枠などがありますが、夏の大会も何かそういう取り組みがあってもいいんじゃないでしょうか。センバツ優勝校のシード出場は春夏連覇の重みがなくなるという意見もあるでしょうし、分割は勢力偏向が起きないようにどう分けるのか、という問題もあります。まあ一野球人としての意見ですが、関係者の方はご一考いただければ幸いです。

 

 高校野球の話が長くなりました。香川オリーブガイナーズのこともお話しましょう。7月29日から後期が始まりました。

 

 後期優勝を目指すにはやはり夏場の体力勝負をどう乗り切るか。まだピッチャーが元気な序盤のうちにいかに勝利を積み重ねるかがポイントです。エースの原田宥希は今年のドラフト候補にもなっていますが、できるだけ長いイニングを投げてほしい。ブルペンは中日から派遣された浜田智博が入り厚くなりましたが、それでも連戦となると厳しい。特に序盤は体力に余裕があるでしょうから先発陣が完投してくれればベストなんですが……。

 

 打線はクリスを当面の間は4番で起用します。1~3番が塁に出て足でプレッシャーをかけて、それでクリスが打点を稼ぐ。そういう形で攻めていければ優勝もおのずと見えてくると思っています。

 

 他の3球団、徳島インディゴソックスは前期優勝のアドバンテージがあるので余裕を持って戦えます。高知ファイティングドッグスは外国人選手が非常に元気がいい。愛媛マンダリンパイレーツは前期最下位でしたが、日本人を中心にしていい選手が揃っています。その中での戦いになるので、まず我々首脳陣は選手が力を発揮できる環境を作ってあげて、そして選手はこれまで積み上げてきたものを実戦で発揮し、悔いを残さないように戦ってほしい。いい戦いというか勝っても負けても次の試合に向けて切り替えていくのが大切です。

 

 ここから2カ月、後期も長いようであっという間に終わってしまうので気を引き締めて戦っていきます。前期と変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。

 

<このコーナーは毎月1日更新です>

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