スーパーラグビーが終わると、トップリーグの季節だ。

 

 ラグビーのトップリーグ2017~18シーズンは、いよいよ8月18日に開幕する。

 今季は8チームずつに分かれる2カンファレンス制を採用。1回戦総当たり(7試合)にプラスして別カンファレスとの交流戦6試合が組まれる。各1、2位が日本選手権を兼ねた優勝決定トーナメントに進出し、その他のチームは総合順位決定トーナメントを行なうというレギュレーションだ。

 

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 カンファレンスは、昨季の順位をもとに振り分けられている。

 

 Aカンファレンス(仮称)はサントリーサンゴリアス(昨季1位)、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(4位)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(5位)、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(8位)、東芝ブレイブルーパス(9位)、クボタスピアーズ(12位)、近鉄ライナーズ(13位)、NTTドコモレッドハリケーンズ(トップチャレンジ1・1位)。

 

 Bカンファレンス(仮称)はヤマハ発動機ジュビロ(2位)、パナソニックワイルドナイツ(3位)、リコーブラックラムズ(6位)、キヤノンイーグルス(7位)、NECグリーンロケッツ(10位)、宗像サニックスブルース(11位)、コカ・コーラレッドスパークス(14位)、豊田自動織機シャトルズ(15位)。

 

 盤石の沢木体制2年目

 

 昨季シーズン15戦無敗の全勝で4シーズンぶりの優勝を果たし、日本選手権との2冠を成し遂げたサントリーサンゴリアスが今季も優勝候補の筆頭に挙げられる。

 

 2015年のワールドカップイングランド大会でエディー・ジョーンズヘッドコーチのもとコーチングコーディネーターを務めた沢木敬介氏が監督としてチームに復帰。スクラム、ラインアウトが強化され、ディフェンスも整備された。184失点はリーグ最少だった。

 

 各ポジションにタレントがそろっている。リーグ最多の17トライを挙げ、昨季MVPに輝いたWTB中靏隆彰を筆頭に、187得点(3T/56G/20PG)を稼いで得点王の座に就いたSO小野晃征、そしてキャプテンとしてチームをけん引したSH流大。彼らのほかに、LOジョー・ウィーラー、FLジョージ・スミス、FB松島幸太朗がベストフィフティーンに選ばれている。

 

 新戦力では34歳の元オーストラリア代表CTBマット・ギタウが加入した。小柄ではあるが、スピーディーかつアグレッシブ。2015年のワールドカップ準優勝メンバーだ。SOなど複数のポジションをこなせるのも強みだ。また新人でも日本代表経験のある同志社大WTB松井千士、帝京大の8連覇に貢献したLO飯野晃司など楽しみな存在が加わった。

 

 五郎丸復帰のヤマハが対抗馬

 

 対抗馬は名将・清宮克幸監督率いる昨季2位のヤマハ発動機ジュビロだ。

 

 昨季、敗戦はサントリー戦のみ。580得点はリーグ最多で、強力スクラムを武器に攻撃を仕掛けていくスタイルは今季も健在だ。清宮監督のもとで徹底的に鍛えられており、同じメンバーで継続的に戦えるというのも強みである。

 

 そして最大のトピックは何といっても、FB五郎丸歩の帰還だ。レッズ、トゥーロンと世界で経験を積んでおり、グレードアップしたと考えていい。昨季、キック成功率82.35%を記録し、ベストキッカー賞に選ばれたFBゲラード・ファンデンヒーファーとのポジション争いも見もの。またヤマハの魅力と言えば、ベストフィフティーンに選ばれたCTBヴィリアミ・タヒトゥアのように期待以上の働きを見せてくれる選手がいること。早大で主将を務めた新人LO桑野詠真の評判が高く、注目株の一人になるかもしれない。スーパーラグビーのブルーズでプレー経験があるSOマット・マッガーンを補強するなど層がぐっと厚くなった印象だ。悲願のトップリーグ初制覇に、態勢は整った。

 

 覇権奪回に燃える名門

 

 覇権奪回に燃えるのが昨季3位に終わったパナソニックワイルドナイツである。開幕戦でヤマハに敗れてスタートにつまずき、サントリーにも敗れて前人未踏となる4連覇の野望はついえた。名将ロビー・ディーンズが率いるチームはHO堀江翔太、PR稲垣啓太、SH田中史朗、WTB山田章仁と経験豊富な日本のトップ選手が集う。

 

 そして若いプレーヤーがメキメキと力をつけている。日本代表で存在感を発揮している24歳のWTB福岡堅樹、昨季のベストフィフティーンである25歳のFL布巻峻介、真のブレイクが近づいている23歳のSO山沢拓也たちだ。

 

 特に山沢は昨季ディーンズの期待を背負って出場のチャンスを多く与えられ、日本選手権準決勝ヤマハ戦では勝利に貢献。リーグ戦敗北の借りを返している。新人では帝京大の司令塔、SO松田力也らが加入している。

 

 一方で過去2季連続のMVPを獲得しているSOベリック・バーンズも健在だ。経験と若さの融合が、王座奪還のキーワードとなりそうだ。

 

 台風の目となりそうなのが、積極的な補強が目立ったトヨタ自動車ヴェルブリッツだろうか。南アフリカ代表で70キャップを誇るFL/NO8ジュアン・スミスをはじめ、スーパーラグビーからLOジェイソン・ジェンキンス、SOライオネル・クロニエらが加わった。今季から指揮を執るのが2007年ワールドカップで南アフリカ代表を優勝に導いたジェイク・ホワイト。一気に躍進する可能性を秘めている。ちなみにこのスミスとサントリーのギタウは、トゥーロンで五郎丸のチームメイトだった。

 

 2019年のワールドカップ日本大会まであと2年。日本代表のメンバー争いも熾烈になってくるはず。今季もトップリーグから目が離せない。

 

 なお、ジャパンラグビートップリーグはJ SPORTSで開幕節を含む8月、9月は全試合放送。

※以降の放送スケジュールはJ SPORTSホームページをご確認下さい。

 

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