現地時間27日、世界バドミントン選手権最終日がイギリス・グラスゴーで行われた。女子シングルス決勝は奥原希望(日本ユニシス)がV.シンドゥ・プサルラ(インド)を2ー1で下し、初優勝を果たした。奥原は同種目で日本人初の金メダル獲得。女子ダブルスは福島由紀&廣田彩花組(再春館製薬所)がチェン・チンチェン&ジァ・イーファン組中国)に1ー2で敗れた。女子ダブルスは高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)も銅メダルを獲得しており、2組がメダルを手にした。日本勢は、その他男子ダブルスで園田啓悟&嘉村健士組(トナミ運輸)が表彰台(銅)に上がっており、今大会4個のメダルを獲得。前回大会の3個(いずれも銅)を上回るものだった。

 

「I am very tired」。現地のインタビューに奥原はそう答えた。1時間49分――。リオデジャネイロ五輪準決勝で敗れたプサルラとの決勝戦はまさしく死力を尽くした試合だったと言えよう。

 

 リオ五輪のリベンジマッチ。第1ゲームは奥原が21-19で先取した。第2ゲームは17-19からの3連続ポイントでチャンピオンシップポイントを取ったものの、土壇場でひっくり返され20-22で落とした。勝負の行方はファイナルゲームへと持ち越された。

 

 身長は23cm差。156cmの奥原は179cmの長身から打ち下ろしてくるプサルラのショットを粘り強く拾った。昨年のリオ五輪ではストレート負けを喫したが、今回は粘りに粘った。準々決勝のリオ五輪金のキャロリーナ・マリン(スペイン)、準決勝のサイナ・ネワル(インド)ともフルゲームを戦い抜いていた。不屈の闘志でコートいっぱい駆け回った。

 

 21-20。デュースからチャンピオンシップポイント掴んで迎えた。ラリーの末、奥原がプサルラの逆を突く、短いショットを放つ。プサルラは長い手を伸ばしたものの、届かずゲームセット。22-20で競り勝った奥原が、世界女王の称号を獲得した。

 

 最年少(16歳)での全日本総合優勝を果たし、世界ジュニア制覇とリオデジャネイロ五輪銅メダルは女子シングルスでは日本人初の快挙だった。何度もケガに遭いながら、這い上がってきた日本女子のエースが“世界一”という新たな勲章を手に入れた。

 

(文/杉浦泰介)