14日、プロ野球の交流戦が開幕する。昨季は17勝7敗で巨人が優勝。8年目にして初めてセ・リーグの球団が覇者となり、その余勢を駆って、巨人はリーグ優勝、さらには日本一にまで登りつめた。14勝8敗2分けで2位となった北海道日本ハムもリーグ優勝している。今季はセ・パ両リーグともに、1位と2位が1.5ゲーム差、特にパは3位以下も混戦模様となっているだけに、交流戦で勢いをつけたいところだ。
 今季の特徴として、新人選手の活躍が挙げられる。セ・リーグでは現在、メッセンジャーとともにハーラートップタイの5勝(1敗)を挙げている菅野智之(巨人)をはじめ、小川泰弘(東京ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)、井納翔一(横浜DeNA)が白星を挙げている。12日には三嶋一輝(DeNA)が勝ち投手とはならなかったものの、巨人打線相手に8回無失点の好投を見せた。パ・リーグでは二刀流で話題となっている大谷翔平(日本ハム)をはじめ、金子侑司(埼玉西武)、鍵谷陽平(同)、則本昂大(東北楽天)、松葉貴大(オリックス)が、貴重な戦力としてチームに貢献している。彼らにとって初めての交流戦。ペナントレースとは違う新人同士の対戦もまた、ファンにとっては楽しみのひとつとなる。

 なかでも、最大の注目は、「投手・藤浪」と「打者・大谷」の“高卒ルーキー”対決だ。現在、藤浪は6試合に登板し、3勝1敗、防御率2.12。一方の大谷は35打数10安打3打点、打率2割8分6厘という成績だ。高卒ルーキーとしては、両者ともに立派な成績と言っていいだろう。今後、2人の対戦はしばしば見られるだろうが、新人時代の対戦は今季限りの貴重なシーンとなる。

 藤浪と大谷は、昨年のセンバツ1回戦、大阪桐蔭と花巻東のエース同士として対戦している。結果は大阪桐蔭が9−2で快勝し、そのまま優勝した。だが、「投手・藤浪」vs.「打者・大谷」の対戦だけを見れば、4打席の内容は本塁打、四球、三直、遊飛で3打数1安打1打点。特に1打席目の本塁打は、スライダーを完璧にとらえれており、藤浪にとっては決して大谷との勝負に勝ったとは言い難い。それだけに、心ひそかに思うところはあるはずだ。

 その藤浪は背中の張りで11日に登録を抹消されている。早くても1軍復帰は21日以降となる。だが、その21日以降に阪神と日本ハムは4試合(5月25・26日、6月12・13日)が予定されており、25日が復帰登板となる見込みだ。甲子園で行なわれる25、26日に2人の対戦が実現すれば、注目度は増すことだろう。次世代を担う高卒ルーキーの対戦が待ち遠しい。

 また、ともに現在首位を走る巨人と千葉ロッテとの試合では、菅野と藤岡貴裕、鈴木大地の同級生対決も、ファンとしては見逃せない一戦となりそうだ。彼らは3年時の全日本大学野球選手権決勝で対戦。さらには全日本ではチームメイトとして戦うなど、切磋琢磨してきた。その彼らが、プロの舞台ではどんな戦いを見せてくれるのか。本人たちにとっても楽しみであろう。

 特に現在、好調の菅野と鈴木との対戦は、注目だ。鈴木は4月には4試合連続でタイムリーを放つなど、リーグ9位の打率3割8厘、打点11と好成績を残している。175センチと小柄だが、鋭い打球を飛ばし、4月25日にはプロ初本塁打も放っている。また、足もあり、32安打中、三塁打と二塁打を4本ずつマークしている。大学時代からの思い切りの良さはバッティング、走塁の両面で健在だ。一方、新人とは思えないほど落ち着いたピッチングで、早くも5勝を挙げている菅野。果たして、大学球界を牽引した同級生対決の実現となるのか。