シアトル・マリナーズの岩隈久志は16日、敵地でのニューヨーク・ヤンキース戦に先発し、7回2失点で5勝目をあげた。ヤンキースのイチローとの今季初対決も3打席連続で凡打に仕留めた。マリナーズは初回にラウル・イバネスの満塁ホームランなどで一挙7点を先制。12−2で大勝した。「7番・ライト」で先発したイチローは4打数0安打で、これで20打席連続ノーヒットと苦しんでいる。
 いきなりの大量援護を味方に、ア・リーグ東地区の首位チームを抑え込んだ。
 マウンドに上がる前の1回表、マリナーズ打線が爆発。打者一巡の猛攻で7点を先制する。試合前まで岩隈の防御率はア・リーグ3位の1.74であることを考えれば、十分すぎるリードだった。

 立ち上がり、バーノン・ウェルズに一発こそ浴びたものの、キープダウンでアウトを重ねていく。2回にはイチローを低めのスライダーでセンターフライに打ち取るなど、3者凡退。3回以降もヒットは打たれたが、要所は締め、その後の失点は5回のソロアーチによる1点のみにとどめた。

 4回には2死三塁の場面でイチローとこの日2度目の対決。ボールが先行するも、直球で押してセカンドゴロに抑える。6回も2死一、二塁と得点圏に走者を背負っての対戦だったが、再びセカンドゴロに仕留めた。

 大差がついたこともあって、7回89球で余力を残しての降板。8安打を許しながら、無四球と余計なランナーを出さないところが、今季の安定したピッチングにつながっている。最近では“キング”と称されるエースのフェリックス・ヘルナンデスとともに、チームの2枚看板として注目度も高まってきた。防御率は1点台をキープし、奪三振でリーグトップを走るダルビッシュ有とともに、2年目の日本人右腕が快調に白星を重ねている。
 
 一方で心配なのはイチローだ。この日も音なしで、5試合連続でヒットが出ていない。打率は.238に低迷。岩隈との対決でもそうだったが、変化球にタイミングを崩され、直球には差し込まれる打席が目立つ。カーティス・グランダーソンら故障離脱していた主力も徐々に戻りつつあり、このままではレギュラーの座も危うい。