18日、東京・有明コロシアムでbjリーグ2012−2013ファイナルズのカンファレンスファイナルが行われた。イースタンは横浜ビー・コルセアーズが新潟アルビレックスBBを、ウエスタンはライジング福岡が京都ハンナリーズをそれぞれ下した。この結果、明日のファイナルは横浜対福岡、3位決定戦は新潟対京都の組み合わせとなった。

◇イースタン・カンファレンス ファイナル
 バーンズ、値千金のブザー・ビーター!
横浜ビー・コルセアーズ 54−52 新潟アルビレックスBB
【第1Q】15−16【第2Q】14−13【第3Q】14−11【第4Q】11−12
“ハマのキング”がチームを決勝へと導いた。Gドゥレイロン・バーンズが、両チーム最多の22得点をマーク。最後はブザー・ビーターで新潟とのしびれるような接戦に終止符を打った。

 試合は横浜がSG蒲谷正之の3ポイントシュートで先制したものの、すぐに新潟のSF池田雄一に3ポイントを決められた。ここからゴールを取られたら取り返すという激しい接戦が繰り広げられていった。

 結局、第1Qは15−16で横浜が1点ビハインドで終了した。続く第2Qも、互いに得点を奪い合う構図に。しかし、蒲谷が「お互いにしっかりと研究してきた証」というように、ともになかなかシュートに持ち込めず、ロースコアの展開だった。ただ、その競り合いの中で光ったのがバーンズだ。23−26で横浜がリードされて前半終了かと思われたが、ブザーが鳴る中で放った3ポイントを沈め、同点にしてみせた。

 すると横浜はいい流れで迎えた第3Qを、43−40とリードで終えることに成功。初のファイナルまで残り10分というところまできた。しかし、東地区1位の新潟の粘りに苦しみ、点差を広げることができない。残り時間2分になるところで、Gナイル・マーリーに3ポイントを決められ、土壇場で試合は振り出しに戻った。

 そんな残り2分がこの試合のハイライトとなった。9分を過ぎたところで横浜がタイムアウトを取り、勝利へのプランを確認。だが、再開後のオフェンス(OF)をしのがれると、すかさず新潟がタイムアウト。一転して、横浜が耐えなければならない立場になった。それでも、ここでディフェンス型のチームの本領を発揮。組織的な守りで新潟にシュートを打たせず、24秒ヴァイオレイションで再び攻撃権を奪い返したのだ。

 残りは23.9秒。レジー・ゲーリーヘッドコーチ(HC)は迷わずタイムアウトを選択すると「最後はバーンズにボールを回して、ゲームをつくってもらおうと考えていた」とエースをファーストオプションしることを決断。そして、バーンズは指揮官の期待に見事に応えた。ボールをキープして着実に時間を経過させると、焦れた新潟の選手のファウルを誘った。この時点で残り5秒。スローインからボールを受けると、右サイドをドリブルで仕掛けた。相手が3人もプレスにくるなかで放ったシュートがバンクに当たってリングを通った瞬間に、タイムアップのブザーが鳴り響いた。
(写真:このシュートが決まり、横浜が劇的な勝利を収めた)

 バーンズは「チームメイトをどうやって助けるか」をいつも考えているという。この試合は攻めては両チーム最多得点、守ってはディフェンス(DF)リバウンドを8つ記録。これ以上ない貢献ぶりだった。ゲーリーHCも「バーンズは特別な選手。それを最後のシュートで証明した」と賛辞を惜しまなかった。

 昨季は地区決勝で敗れ、最終順位は3位に終わった横浜。「今年は去年以上の成績が残せる」と力強く語る“ハマのキング”が、チームを頂点に導く。

◇ウエスタン・カンファレンス ファイナル
 福岡、ディフェンス機能して快勝
ライジング福岡 83−66 京都ハンナリーズ
【第1Q】19−11【第2Q】18−26【第3Q】25−1【第4Q】21−28

 ウエスタン・カンファレンス決勝は福岡が新たなスタイルを全面に押し出して勝利した。金澤篤志HCが「今季のコンセプト」として掲げてきたディフェンスである。福岡の伝統的に高い攻撃力に、シーズンを通して守備のエッセンスを加えてきた。京都戦ではスティール9、ブロックシュート5という内容で相手を抑えた。
(写真:ゴール下で激しいDFにいく福岡の選手たち)

 第1Qはなかなかスコアが動かない静かな幕開けだった。だが、福岡がPFレジー・ウォーレンの得点から5連続ポイントを奪って10−0と一気にリードを奪う。京都の攻撃時にはキャプテンのG仲西淳を中心に積極的にプレッシャーをかけ、相手がタフショットを打つ状況に追い込んだ。そして、リバウンドをウォーレンを始めとした外国人選手がしっかりと確保。攻守に主導権を握った第1Qは19−11と大きくリードして終えた。

 ただ、第2Qは京都の反撃にあい、37−37と追いつかれてしまった。金澤HCは「自分たちのミスからインサイドを攻められてしまった」と分析した。それは選手たちも認識していた。ハーフタイムのロッカールームでは「第1Qのディフェンスを思い出そう」という意見がチーム全体から声が上がった。

 守りからリズムをつかむ意識を統一させて臨んだ第3Qで、福岡は圧巻のバスケットを見せた。攻撃で25得点を積み重ね、守っては京都をファウルで与えたフリースローの1点のみに抑えたのだ。
「DFからOFにつなげていく。今季のコンセプトとして続けてきたことが、ひとつのかたちとして出せた」
 金澤HCは充実した表情でこう語った。第3Qで目を引いたのが、福岡が京都のシュート16本に対して奪ったディフェンス・リバウンド14という数字だ。そのなかの3つを仲西が奪うなど、外国人選手のみならず、日本人選手も¬体を張った守りを見せた。

 第3Qを終えて福岡が62−38と24点をリード。この時点で勝負は決していた。迎えた第4Qも終始、主導権を握り、出場機会のなかった選手を起用する余裕も見られた。最終スコアは83−66。快勝といえる内容でチーム史上初の決勝進出を決めた。

 指揮官は、少し興奮した様子で勝利の感想をこう明かした。以前は100点奪っても、101点以上の失点を喫して敗れる試合もあった。しかし、全員が守りを意識してきたことで、今や福岡は攻撃だけのチームではなくなった。仲西も「新しいライジングにステップアップした」と手応えを口にする。
(写真:キャプテンとして闘志あるプレーを見せた仲西)

 明日の決勝は地区決勝以上のプレッシャーがかかる。しかし、金澤HCと選手たちが口をそろえて語ったのは「自分たちのやるべきことは変わらない」ということ。チーム史上最大の舞台で、新スタイルが最強であることを証明する。