23日、日本サッカー協会は30日のキリンチャレンジカップ2013ブルガリア代表戦(FIFAランク52位、豊田スタジアム)と6月4日のブラジルW杯アジア最終予選オーストラリア戦(同47位、埼玉スタジアム2002)に臨む日本代表(同30位)26名を発表した。MF遠藤保仁(G大阪)やMF香川真司(マンU)ら主力を順当に選出。3月のオマーン戦をケガのため招集外となっていたMF本田圭佑(CSKAモスクワ)と長友佑都(インテル)も復帰した。一方で、FW工藤壮人(柏)が初の代表入りを果たした。公式戦が残っている本田、FW岡崎慎司(シュツットガルト)らに加え、アジアチャンピオンズリーグの影響で29日にリーグ戦を戦うメンバーも遅れて合流する。そのため、今回は通常の23名よりも多い26名の招集となった。日本はオーストラリア戦を引き分け以上で終えるか、負けても他会場のオマーン対イラク戦でイラクが引き分け以下の結果ならば最終予選突破が決まる。
「大切な時が迫っている」
 アルベルト・ザッケローニ監督は、本大会出場権がかかる大一番を前にした状況をこう表現した。また「周囲にもうW杯出場が決まっているというような雰囲気が流れているかもしれないが、そんなことはない。チームでは選手が全員合流した時点で、集中を非常に高い状態に保たせるようにしたい」と徹底して気の緩みを排除する考えを明かした。

 そんな指揮官がオーストラリア戦でブラジル行きを決めるために必要性を強調したのが「インテンシティー」だ。直訳すれば「強度」という意味の単語だが、ザッケローニ監督は「オンの時でもオフの時でも活動的になるということ」と説明。ボールを持っていない時には相手のボールホルダーに対して、素早くアプローチに行き、それに対して他の味方も連動できるように準備しておく。逆にボールを持っている時には、足元ばかりにボールを収めるだけでなく、スペースにボールを運んでいく。もしくはスピードに乗りながらパス交換をするプレーを指すのだという。

「いくら個の力が強くてもインテンシティーが欠けたチームはなかなか結果を出せない。インテンシティーが高い時に日本のいいところが出る。技術力は我々がアジアで一番だと実感しているが、インテンシティーが欠けてしまうといい方向に進まない」
 ザッケローニ監督はこうインテンシティーの重要性を説き、その高さで結果を残している例としてバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムント、ユヴェントス、マンチェスター・ユナイテッドらを挙げた。そして、「インテンシティーを出すためには集中や気迫が必要」とも語った。

 対戦するオーストラリアは身長194センチのFWジョシュア・ケネディ(名古屋)を筆頭に高さがあり、フィジカルも強い。その相手の良さを消すためには、ボールの出所へのプレスやセカンドボールへの反応など、まさにインテンシティーが重要になってくる。そして、ボールを奪ってからは、香川を中心にシンプルでゴールに速く迫る展開に持ち込みたいところだ。

 懸念されるのは、メンバーが段階的に集合することだ。初招集の工藤やGK西川周作(広島)は29日にリーグ戦があるため、ブルガリア戦は出場できない。本田、岡崎、DF酒井高徳(シュツットガルト)にいたってはオーストラリア戦前日に合流するという状況だ。また、他の海外組はシーズンが終了し、国内組はオンシーズンというギャップもある。ザッケローニ監督も「難しい状況」と不安を口にした。大一番に向けて、選手のコンディションをどう見極めるかがカギになる。

「目標達成のために何としてでも、という気持ちは強い。(最終予選突破の条件など)変に計算をしないで、結果を求めていく」
 ザッケローニ監督は言葉に決意をにじませた。決戦の舞台は6万人の超満員が予想される埼玉スタジアム。大観衆とともに歓喜の瞬間を迎えるため、ザックジャパンが全身全霊をかける。

<日本代表メンバー26名>

GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(ガンバ大阪)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(ジュビロ磐田)
長友佑都(インテル・ミラノ)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(ハノーバー96)
酒井高徳(シュツットガルト)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
細貝萌(バイエル・レバークーゼン)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
高橋秀人(FC東京)
FW
前田遼一(ジュビロ磐田)
岡崎慎司(シュツットガルト)
ハーフナー・マイク(フィテッセ)
乾貴士(アイントラハト・フランクフルト)
香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
清武弘嗣(1FCニュルンベルク)
工藤壮人(柏レイソル)
東慶悟(FC東京)