シカゴ・カブスの藤川球児が29日、右ヒジ靭帯の損傷により、手術を受けると球団から発表された。正常な腱を移植して修復する「トミー・ジョン手術」で、復帰には約1年かかる見通し。今季中の登板は絶望的で、来季の開幕にも間に合わない可能性がある。阪神から今季、カブス入りした藤川は2年契約を結んでおり、来季もチームに残留するが、長年の夢だったメジャーリーガーとしての野球人生は思わぬかたちでつまづいた格好だ。
 今季の藤川は右のセットアッパーとして期待され、開幕戦でメジャー初登板初セーブをあげるなど幸先よいスタートをみせた。その後、クローザーのカルロス・マーマルが不調だったこともあり、開幕1週間で抑えを託されていた。

 ところが、現地時間4月13日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦で最終回に3点を失うと、右前腕の張りを訴えて故障者リスト入り。約1カ月間、戦列を離れていた。5月10日に復帰後は4試合連続の無失点ピッチングなど、本来のピッチングを取り戻したかにみえたが、初のイニングまたぎとなった27日のシンシナティ・レッズ戦で再び右腕の痛みを訴え、降板した。

 トミー・ジョン手術は近年のスポーツ医学では一般的になっており、現役日本人メジャーリーガーでも2010年の田澤純一(レッドソックス)、2011年の松坂大輔(当時レッドソックス) 2012年の和田毅(オリオールズ)が手術を受け、田澤は現在、チームの貴重な中継ぎとして活躍している。阪神でセットアッパー、抑えとして定着して以降、長期離脱は初めて。8年連続で45試合以上に登板しており、勤続疲労もあっただろう。来季、火の玉ストレートがメジャーの舞台で復活することを信じ、ヒジにメスを入れる。