30日、日本代表(FIFAランク30位)が愛知・豊田スタジアムでブルガリア代表(同52位)と国際親善試合を行った。日本は前半4分、DFスタニスラフ・マノレフにFKを直接決められて先制を許す。その後、ボールポゼッションを高めて攻め込んだものの、相手の固い守りを崩し切れない。後半、同点に追いつきたかった日本だが25分、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)のオウンゴールで0−2に差が広がってしまう。結局、最後までゴールを奪えず、6月4日のブラジルW杯最終予選オーストラリア戦(同47位、埼玉スタジアム)に向けて弾みをつけることはできなかった。

 ボール支配もフィニッシュに課題(豊田スタジアム)
日本代表 0−2 ブルガリア代表
【得点】
[ブ] スタニスラフ・マノレフ(4分)、オウンゴール(70分)
 テストマッチでよかった……そう感じざるを得ない内容だった。前半に試した3−4−3システムでは連動性が見られず、従来の4−2−3−1に戻した後半もフィニッシュの精度を欠いた。守りではPA付近で与えてしまったセットプレー2つをゴールに結びつけられた。

 失点シーンは前半4分だった。DF吉田麻也(サウサンプトン)が左サイドのPA手前で与えたFKを、マノレフに直接蹴り込まれた。弾道が大きくブレたシュートは、GK川島永嗣(リエージュ)の手を弾いてゴールネットに突き刺さった。

 出鼻をくじかれた日本は、約1年半ぶりに採用した3−4−3システムの影響からか、攻守ともに連動性が見られない。ファーストディフェンダーのアプローチが遅れ、3バックの両サイドとサイドハーフの間を突かれるかたちが多かった。21分には吉田のクリアミスをDFヨルダン・ミネフに拾われ、ミドルシュートを打たれた。これは川島が右手1本で防ぐファインセーブ。なんとか、主導権を握られることは回避した。

 攻撃ではウィングの右で起用された乾貴士(フランクフルト)と同左に入った香川真司(マンU)を中心にパスをつなぎ、リズムをつかみ始めた。しかし、フィニッシュの精度と工夫を欠き、ゴールを割るには至らない。8分に乾が左サイドをドリブルで突破してシュートを放つもゴール左へ。31分には、左サイドからのパスを乾がPA手前に落とし、受けた香川が右足で狙ったが相手GKに横っ飛びで防がれた。

 リズムに乗れなかった前半を受け、アルベルト・ザッケローニ監督は後半開始からシステムを本来の4−2−3−1に変更した。選手もDF駒野友一(磐田)、吉田、DF内田篤人(シャルケ)、FW前田遼一(磐田)に代えて、それぞれDF長友佑都(インテル)、MF清武弘嗣(ニュルンベルク)、DF酒井宏樹(ハノーファー)、FWハーフナー・マイク(フィテッセ)を投入。指揮官は清武を2列目の右に配置し、トップ下に香川、左に乾を入れるセレッソ大阪出身トリオに攻撃の指揮を託した。

 すると、そんな3人が絶妙な連係から次々とチャンスをつくりだした。後半10分、清武が香川とのワンツーで相手をかわしてPA手前から左足で狙った。13分には、左サイドで清武、香川、清武、乾と細かくパスをつなぎ、最後は清武がPA内中央でシュート。いずれもゴールにはならなかったものの、同点に追いつくのは時間の問題かに思われた。

 だが、25分、思わぬかたちでブルガリアに追加点を与えてしまった。右サイドでのFKをMFスラティンスキにゴール前へ蹴り込まれる。誰も触れないままゴール前に抜けてきたボールが、長谷部の足に当たってゴールに吸い込まれた。反撃ムードのなかでの痛恨のオウンゴール。豊田スタジアムにため息まじりのどよめきが響いた。

 なんとか1点を返したい日本だが、シュートまで持ち込んでも変わらずシュートの精度が低く、枠を捉えられなかった。終了間際、長友が清武のパスに抜け出してGKとの1対1からゴールに流し込んだが判定はオフサイド。最後までブルガリアの守備網を切り崩すことができなかった。

「勇気とバランスを持って試合に臨んだが、最後までリズムを上げられなかった」
 ザッケローニ監督は苦虫を噛み潰したような表情で試合を振り返った。久しぶりに採用した3−4−3では攻撃で連係ミスが続出。いくつかいいかたちをつくったものの、香川は「ゴールがとれないと意味がない」と反省を口にした。守備ではセットプレーから2失点。2点とも競り負けたり、マークを外されたりしての失点ではなかったが、長谷部は「修正する必要がある」と課題に挙げた。

 4日後に迫ったオーストラリア戦までに、どこまで攻守の課題をクリアできるか。ザックジャパンの真価が問われる。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
→酒井宏樹(45分)
吉田麻也
→清武弘嗣(45分)
栗原勇蔵
今野泰幸
駒野友一
→長友佑都(45分)
MF
遠藤保仁
長谷部誠
→細貝萌(80分)
乾貴士
→中村憲剛(69分)
香川真司
FW
前田遼一
→ハーフナー・マイク(45分)