3日、日本代表は4日のブラジルW杯最終予選ブラジル戦に向けて埼玉スタジアム2002で公式練習を行った。同日午前に帰国したMF本田圭佑(CSKAモスクワ)、MF岡崎慎司、DF酒井高徳(ともにシュツットガルト)らが合流し、初めて26人全員が揃った。15分のみ公開された練習ではボール回しの後に本田、岡崎、酒井高はウォーキングでコンディション調整。股関節痛を抱えるDF吉田麻也(サウサンプトン)とFWハーフナー・マイク(フィテッセ)も負荷のかかるフィジカルトレーニングを避け、一部別メニューだったが出場に支障はない様子だった。練習後はアルベルト・ザッケローニ監督、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)が会見でオーストラリア戦への抱負を語った。
(写真:岡崎とストレッチをする本田<右>)
「決勝戦の前日のような気持ち」
 ザッケローニ監督は史上初のホームでW杯出場権獲得がかかる大一番への心境をこう表現した。そして落ち着いた表情で「フィジカルコンディション、技術面、戦術面、精神面……できる限りのいい準備ができた」と自信を口にした。一方でキャプテンの長谷部は「明日の試合は初めてホームでW杯出場を決められる。素晴らしいサポーターを背に自分たちを信じて、強い気持ちと向上心持って戦いたい」と興奮した口調だった。練習では時折、笑い声が漏れるなど、3月の最終予選ヨルダン戦、先日の親善試合ブルガリア戦と連敗した時の重苦しい雰囲気からはしっかりと切り替わっていた。

 ただ、連敗の要因はしっかりと認識していた。それはゴールへの積極性がなかったことだ。特にブリガリア戦ではリードされている状況にも関わらず、後方でパスを回したり、シュートを打てる場面で打たないかたちが多かった。長谷部も「ゴールはチームとしてとらなければいけないもの。すべての選手がゴールに対する強い気持ちがブルガリア戦、ヨルダン戦では多少欠けていた」と分析した。守りに人数をかけられた時は、不利なかたちでもシュートまで持ち込む強引さが相手の組織を崩すことにつながる。その上でキャプテンはゴールへの気持ちをひと際備えている本田の代表復帰を歓迎した。
「(本田)圭佑は日本にとって非常に重要な選手の1人。彼の強みはゴールをとれること。そういう意味では彼がいるというのは自分たちの強みにもなる」

 また、本田はフィジカルを生かしたキープ力で、タメをつくることができる。彼が前線でしっかりとボールを収めれば、MF香川真司(マンU)らが裏へ動き出す時間を得られるのだ。明日は本田を中心に速攻と遅攻をいかに使い分けられるかも攻撃のポイントとなる。

 そんな本田は1日のロシア杯決勝に先発で68分間出場し、中2日でオーストラリア戦に臨む。コンディションが心配されるが、ザッケローニ監督は「少し疲労は残っているみたいだが、この間(ロシア杯)の出場時間より数分は長く出られるんじゃないか」と先発起用を示唆した。

 守備面ではオーストラリアの高さにどう対応するかが課題だ。身長194センチの高さがあるFWジョシュア・ケネディのみならず、FWティム・ケイヒルも空中戦で抜群の強さを誇っている。明日の試合では彼らを目がけてロングボールが放り込まれ、高さを生かすセットプレーも積極的に狙われることが予想される。センターバックの吉田、DF今野泰幸(G大阪)が彼らをゴール前でいかに自由にさせないか。相手が走り込むコースへのポジション取り、体を寄せて簡単に飛ばさせない粘り強さが求められる。また、セカンドボールに素早く反応し、できる限り日本のボールポゼッションを保つこともオーストラリアのストロングポイント封じにつながる。

 そして勝利にはサポーターの力も必要だ。オーストラリア戦は6万人を超える超満員が予想されている。ザッケローニ監督は「明日の試合はサポーターにとっても大切な試合。素晴らしい雰囲気がつくり上げられると思っている」とサポーターの後押しを期待した。本田というエースの復帰、そしてホームの大歓声――5度目のW杯出場権獲得への準備は整った。