2日、プロ野球日本シリーズの第5戦が横浜スタジアムで行われた。福岡ソフトバンクは初回に1点を先制する。序盤は淡々と進んだが、横浜DeNAが4回裏に筒香嘉智の2ランで逆転。続く5回表に中村晃のホームランなどで3点を奪い、ソフトバンクが再びリードする。しかし、6回裏にDeNAも筒香と宮崎敏郎の連続タイムリーなどで3点を加え、5対4と試合をひっくり返した。その後は継投でリードを守り、最後は8回から登板した山崎康晃が締めた。DeNAが連勝し、通算成績を2勝3敗と盛り返した。

 

◇第5戦

守護神・山崎、回またぎの好リリーフ(福岡ソフトバンク3勝2敗/横浜スタジアム)

福岡ソフトバンク  4 =100|030|000

横浜DeNA     5 =000|203|00×

勝利投手 砂田(1勝0敗)

敗戦投手 モイネロ(0勝1敗)

セーブ  山崎康(0勝0敗1セーブ)

本塁打 (ソ)中村晃1号2ラン

    (De)筒香1号2ラン

 

 ソフトバンク3連勝の後DeNAが1勝返すかたちで迎えた日本シリーズ第5戦、ソフトバンクの先発は今季13勝(7敗)のリック・バンデンハーク。一方、DeNAは今季6勝(6敗)をあげた石田健大が先発のマウンドに上がった。

 

 試合は初回から動いた。1死から2番・今宮健太がレフト前ヒットで出塁。続く3番・アルフレド・デスパイネはセンターフライに倒れるが、4番の内川聖一への初球で今宮が二盗を成功させ、2死二塁とチャンスを作った。ここで内川が石田の外角スライダーをライト線へ弾き返すタイムリーツーベースを放ち、ソフトバンクが1点を先制した。 

 

 その後は無得点が続いたが、4回裏から試合の展開が変わる。2死一塁からDeNAの4番・筒香がバンデンハークの投じた真ん中高めの速球を強振。打球は高く舞い上がり、バックスクリーン左に飛び込んだ。主砲の待望の一発でDeNAが2対1と逆転した。

 

 ソフトバンクは直後の5回表、デスパイネの犠牲フライと中村の勝ち越し2ランで4対2と再びリードを奪い、流れを引き戻したかに見えたが、6回裏、バンデンハークは1死一、二塁のピンチを招いてしまう。ここで打席に前打席で本塁打を放っている筒香が立つことを踏まえ、工藤公康監督はバンデンハークに代え左腕のリバン・モイネロを送った。

 

“左殺し”を期待されたモイネロは筒香にセンターオーバーのタイムリーツーベースを浴びた。なおも1死二、三塁から5番の宮崎にもタイムリーを打たれ、4対4の同点とされてしまう。さらに一、三塁の場面で戸柱恭孝の代打・嶺井博希のセカンドゴロを明石健志が二塁に送球しようとしてファンブル。焦って一塁に投げたがこれもセーフとなり、その間に勝ち越し点となる5点目がDeNAに入った。

 

 リードを奪ったDeNAは7回にエドウィン・エスコバー、8回からはスペンサー・パットンを投入し、勝ちパターンの継投で逃げ切りを図る。8回表、パットンが2アウト一、二塁のピンチを招いたところで、アレックス・ラミレス監督は守護神・山崎をマウンドに送った。迎えるバッターは柳田悠岐。山崎は角度のある直球で柳田からハーフスイングを奪い、最大の山場を切り抜けた。

 

 迎えた最終回、ソフトバンクはこのまま終わるわけにはいかないと3本の安打を山崎に浴びせ、2アウト満塁とする。一打逆転の場面で、打席には決勝点に絡んだエラーをした明石が入った。明石は山崎の決め球ツーシームを打つもファーストゴロに倒れ、スリーアウト。二転三転のシーソーゲームはDeNAが5対4で制した。

 

 DeNAは打撃陣が完全に息を吹き返した。続く第6戦も勝てば勢いは完全にDeNAのものとなる。一方、王手をかけながら敵地で2連敗のソフトバンク。いまだ優位の展開とはいえ、もはや気持ちの面でのアドバンテージはなくなったと見てよいだろう。4日に行われる第6戦は本拠地・ヤフオクドームに戻っての試合となる。もう一度気を引き締めて、2年ぶりの日本一を目指したい。

 

(文/交告承已)