二宮清純: 今回はバドミントン女子シングルスで日本代表として北京五輪に出場し、全日本総合選手権では同種目5度の優勝を誇る廣瀬栄理子さんをお招きしました。現在はナショナルチームのコーチを務めており、海外遠征の合間を縫ってのご登場です。

廣瀬栄理子: 宜しくお願いいたします。以前、この対談に出ていた陣内貴美子さんと小椋久美子さんには私もすごくお世話になっています。

 

 

 

 

二宮: それでは第1ゲームは雲海酒造の本格芋焼酎『木挽BLUE』のロックでスタートしましょう。

廣瀬: いただきます。アッ、おいしい。サラッとした口当たりでとても飲みやすいですね。私、そんなにお酒が強くないのですが、これは飲めそうですね。それに……。

 

二宮: 何でしょう?

廣瀬: このボトルのデザインって素敵ですね。青色と金色のラベルがカッコいいです。

 

二宮: お酒は好きですか?

廣瀬: 現役時代は1年中試合があるので、あまり飲みませんでした。引退してからは機会が増え、友だちと飲むお酒がおいしいなと思います。今はとても好きです。

 

二宮: バドミントンではプロ野球のビールかけのようなものはないんですか?

廣瀬: ないですね。ただチーム戦となる日本リーグ(現S/Jリーグ)で優勝すると、みんなで打ち上げをすることはありました。やっぱり優勝して飲むのは最高ですね。つらかった練習も一瞬にして忘れます。もっと飲めたらいいな、とよく思っていました。

 

二宮: さて、廣瀬さんは2014年の全日本総合を最後に現役を引退しました。引退後は生活のリズムも変わりましたか?

廣瀬: ガラッと変わったのですが、今年1月からナショナルチームのコーチになったので、選手の時の生活にちょっと逆戻りしていますね。

 

 抜けている対応力と粘る力

 

二宮: 昨年のリオデジャネイロ五輪では女子ダブルスの髙橋礼華選手と松友美佐紀選手のペアが金メダルを獲得しました。今年8月に行われた世界選手権では女子シングルスの奥原希望選手の金メダルを含め、日本勢は4つのメダルを手にしました。日本バドミントン界の快進撃が続いています。躍進の要因は?

廣瀬: 2004年から日本代表のヘッドコーチにパク・ジュボンさんが就任しました。それまで選手強化はそれぞれの企業主体で動いていましたが、今はナショナルチーム単位での活動が多くなり、合宿が組まれることも増えました。パクさんは1992年バルセロナ五輪の男子ダブルスで金メダルを獲得するなど、実績もすごい方です。世界で勝つ経験を教えてもらうことで強くなってきているのだと思います。

 

二宮: 世界バドミントン連盟(BWF)ランキング上位に日本勢の多くが名を連ねています。女子シングルス8位(11月2日現在)の奥原選手は今年、世界選手権女王になりましたが、リオ五輪では銅メダルを獲得するなど安定した成績を残しています。彼女の長所は?

廣瀬: 現役時代、公式戦では対戦したことはありませんでしたが、どんな相手にも対応できる力がずば抜けている印象があります。バドミントンは攻撃的な選手や、守備的な選手、いろいろなタイプの選手がいます。奥原選手の場合、相手によってプレーを変化できるのが長所ですね。

 

二宮: リオ五輪や世界選手権でも粘って、粘って勝ち上がってきましたね。

廣瀬: フットワークの精度も高いですし、粘る力は飛び抜けています。

 

二宮: フットワークの精度とは?

廣瀬: 足運びが上手なんです。それはトレーニングの賜物です。彼女は努力家で、練習も人一倍やっています。

 

二宮: 五輪、世界選手権と続けて好成績を収めたことも素晴らしいことですね。

廣瀬: 本当にそうだと思います。結果を残すと他の選手からすごくマークされるので、その上で世界一を獲ることは簡単ではありません。

 

二宮: 156cmと小柄ですよね。バドミントンにおいて、高さはアドバンテージにならないのでしょうか?

廣瀬: 高い方がシャトルを上から打てるので、有利なのですが、今は背の低い選手でもコート上を走り回る力で対抗できています。

 

二宮: 東京でもメダルが期待できそうですか?

廣瀬: 奥原選手をはじめ、どの選手にもチャンスがあります。バドミントンは大いに期待できると思います。

 

 トリッキーなスピードスター

 

二宮: 奥原選手の3学年下にあたる山口茜選手は、BWFランキングでは4位につけています。

廣瀬: 山口選手は10月に行われたフランスオープン、デンマークオープンの2大会でいずれも準優勝でした。あと一歩優勝には届きませんでしたが、2週連続決勝進出は女子選手でなかなかいません。彼女はリオ五輪で奥原選手に敗れて、ベスト8でした。その悔しい思いをバネにして、成長を続けているように感じます。

 

二宮: 彼女も中学3年でヨネックスジャパンオープンを制するなど、ジュニアの頃から注目されていました。奥原選手と同じく身長も156cmと小柄です。山口選手の技術的に優れているところは?

廣瀬: 山口選手はスピードがあり、さらに駆け引きが上手ですね。高さをうまく使います。

 

二宮: 高さとは?

廣瀬: 自分が打つシャトルの高さをコントロールします。バドミントンは初速が早いので、打つ瞬間に相手がどこにいるかを見極めてプレーしなければいけません。打つコースも高さもいろいろ変化させることで、狙いを絞らせない必要がある。相手の背の高さ、手の長さを計算し、そこを抜けるコースに打つことが大事になってきます。

 

二宮: 選手は繊細なラケットコントロールに加えて、アウトかインの判断も重要になってきますね。

廣瀬: その判断がちゃんとできる選手が強い。

 

二宮: 山口選手はトリッキーなプレーヤーだと伺ったことがあります。

廣瀬: そうですね。山口選手は“その体勢からこんなところに打つんだ”というような相手が予想しないショットを打つことができます。また打った次の準備も読みも早い。彼女と対戦する選手はスピードを上げないといけません。

 

二宮: 運動量の多いバドミントンにおいて、フットワークはもちろん大事ですが、ハンドワークも必要でしょう。

廣瀬: すごく重要です。すべてが揃わないといけません。ラケットワークが上手でないと世界とは戦えないでしょうね。

 

二宮: テニスや卓球選手にも言えることですが、バックハンドが巧い選手は強いですね。

廣瀬: バックでも対応できるラケットワークに秀でた選手は世界でもトップにいますね。あとは読む力がとても重要になってきます。

 

 五輪金メダルがもたらしたもの

 

二宮: 女子ダブルスはリオ五輪で頂点に立った“タカマツ”ペアも安定した成績を残しています。BWFランキングでも長らく1位を保持していました。

廣瀬: 女子ダブルスは現在BWFランキングのトップ10に4組が入っています。トップ10以下にも強いペアはまだまだいます。日本の女子ダブルスは世界的に見てもすごくレベルが高いのですが、中でも髙橋選手と松友選手は実績も経験もある。そこを日本の他のペアが追いかけて、ランキングも上げていっている好循環が生まれているのだと思います。

 

二宮: リオ五輪決勝はファイナルゲームの16-19から逆転勝利。あれは自信になったでしょうね。

廣瀬: 2人にとっても自信になったでしょうし、女子ダブルスに限らず他の選手たちにとっても“自分たちもメダルが狙える”という気持ちになれたのではないでしょうか。日本全体のレベルが上がっている気がします。

 

二宮: ミックスダブルスはいかがですか?

廣瀬: 強いペアも出てき始めているので、ナショナルチームでも“東京はミックスでもメダルを!”と考えています。

 

二宮: 廣瀬さん自身、ミックスダブルスの経験は?

廣瀬: 実は挑戦してみたかったのですが、高校を卒業してからはシングルス一本だったので、結局、経験することはありませんでした。

 

二宮: ミックスには女子ダブルスや男子ダブルスとは違った面白さがありますね。

廣瀬: そう思います。男子ダブルスとは違うスピード感があり、球回しやどういった戦略を立てるかということも魅力ですね。

 

二宮: 話も弾み、白熱した第1ゲームとなりました。第2ゲームは雲海酒造の本格芋焼酎『木挽BLUEの水割りを飲みながら、廣瀬さんの現役時代の話を伺います。

廣瀬: おいしいお酒と料理のペアに、次のトークもラリーが続きそうです。バドミントンらしい表現ですよね(笑)。

 

(後編につづく)

 

廣瀬栄理子(ひろせ・えりこ)プロフィール>

1985年3月16日、兵庫県生まれ。小学1年でバドミントンを始める。青森山田高を卒業後、三洋電機(現パナソニック)に入社。全日本総合選手権では2004年、女子シングルスで初優勝。同大会は08年からの3連覇を含む計5度制覇。2008年に北京五輪に出場し、女子シングルスでベスト16入りを果たす。11年全英オープンと12年ヨネックスジャパンオープンで準優勝するなど国際大会でも好成績を収めた。13年からはヨネックス所属でプロ契約を結ぶ。14年限りで現役を引退。17年1月よりナショナルチームのコーチを務める。身長163cm。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回、廣瀬さんと楽しんだお酒は芋焼酎「木挽BLUE(ブルー)」。宮崎の海 日向灘から採取した、雲海酒造独自の酵母【日向灘黒潮酵母】を使用し、宮崎・綾の日本有数の照葉樹林が生み出す清らかな水と南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、綾蔵の熟練の蔵人達が丹精込めて造り上げました。芋焼酎なのにすっきりとしていて、ロックでも飲みやすい、爽やかな口当たりの本格芋焼酎です。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>

洋食酒場 ラフィン

東京都新宿区新宿2‐15‐28 丸正ビル2F
TEL:03‐6380‐4301
営業時間:ランチ 11:30~15:00(L.O.14:30)
     ディナー 17:30~23:30(L.O.23:00)

定休日:不定休 基本日曜日

 

☆プレゼント☆

 廣瀬さんの直筆サイン色紙を芋焼酎「木挽BLUE」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらのメールフォームより、本文の最初に「廣瀬栄理子さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は12月14日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、廣瀬栄理子さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(写真・構成/杉浦泰介)


◎バックナンバーはこちらから