今季、北海道日本ハムからFA移籍してサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んでいた田中賢介が現地時間9日、メジャー昇格を果たした。同日の本拠地でのニューヨーク・メッツ戦では早速、2番・レフトで先発出場。5回の第3打席でセンターへメジャー初ヒットを放った。田中は最後まで出場し、4打数1安打。試合は6−10で敗れた。
 デビュー戦で起用されたのは日本で5度ゴールデングラブ賞に輝いたセカンドではなく、レフトだった。紆余曲折を経て、32歳のルーキーがメジャーリーグでの第一歩を記した。

 マイナー契約からキャンプでアピールして開幕メジャーを勝ちとる青写真を描いたものの、守備でつまづいた。天然芝のフィールドや日本とは異なる公式球に適応できず、失策を重ね、シーズンは3Aフレズノからのスタートだった。

 3Aではここまで78試合に出場し、打率.330、24打点、20盗塁と、攻撃面では好成績をあげていた。だが、守備では二塁で15失策と不安を残し、6月からは外野へコンバートされていた。

 昨季世界一に輝いたジャイアンツは借金8を抱え、ナ・リーグ西地区4位と低迷。得点(346点)と盗塁(38個)はいずれもリーグ11位で、ヒットが打て、足も使える田中の存在はマイナーでも注目されていた。とはいえ、現状のジャイアンツはセカンドにマルコ・スクタロ、サードはパブロ・サンドバル、ショートはブランドン・クロフォードと内野のレギュラーが固定されている。外野転向でチャンスが生まれた格好だ。

 昇格即スタメンとなったメッツ戦では、まず慣れない外野守備で好プレーをみせた。2回、アンドルー・ブラウンのレフト後方への大きなフライをフェンスにぶつかりながらキャッチ。その後の守備機会も無難にこなした。

 打撃では初回のメジャー初打席は2−2からの5球目を叩いてレフトライナー。2打席目もセカンドライナーだったが、ボールはとらえられていた。そして3打席目、無死一塁の場面で2ナッシングと追い込まれながらも、メッツ先発のディロン・ジーの3球目をセンター前へ弾き返す。記念の初ヒットで好機を広げたジャイアンツは4番サンドバルの内野ゴロの間に3−3の同点に追いつく。

 再び勝ち越されて、4−5の1点ビハインドで迎えた7回は先頭打者で打席へ。しっかりボールを見極めて四球を選び、同点のランナーとして出塁すると、1死一、三塁とチャンスが拡大する。続くサンドバルの犠牲フライで同点のホームを踏んだ。

 試合は救援陣が崩れて敗れたものの、田中は攻守に結果を出した。もちろん、チーム内でポジションをつかみ取るにはこれからが大事だ。ただ、本拠地のファンの前でいい滑り出しができたことは間違いない。