日本ラグビー協会は12日、日本代表がIRBランキング1位のニュージーランド代表とのテストマッチを11月2日に東京・秩父宮ラグビー場で開催することを発表した。ニュージーランドは2011年W杯優勝国。同国代表との試合を国内で実施するのは、1987年以来26年ぶり。代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は「オールブラックスと戦えるのは誇り。選手たちにはそれを体感して、すべてを出し尽くしてほしい」と真っ向勝負を誓った。
(写真:ジョーンズHC(右)に、11年W杯ニュージーランド代表のジェローム・カイノも会見に出席)
 先月、ウェールズ代表から歴史的1勝を挙げたエディー・ジャパンが、まさに世界のナンバーワンと対戦する。過去、日本はオールブラックスと4回対戦しているが、いずれも大差をつけられての敗戦。2年前のW杯でも7−83とレベルの違いをみせられた。「スキル、フィジカル、タクティクス(戦術)ともに一貫性があり、世界一」とジョーンズHCも一目置く相手だ。

 とはいえ、強豪中の強豪にも指揮官は一歩も引くつもりはない。15日から長野で行われる代表候補合宿では、「仮想オールブラックスで練習していく」と意気込みをみせる。「フィジカルはないがしろにできないが、フィジカルで負けているなら、ジャパンウェイを貫くしかない。ボール回しを速くして、ランとみせかけてキック、キックとみせかけてランと相手に考えさせるラグビーをしたい」と戦いのコンセプトまで披露した。

 会見に同席した11年W杯優勝メンバーであるジェローム・カイノ(トヨタ自動車)は「日本代表はこの春、素晴らしい結果を残した。ウェールズ戦の勝利はニュージーランドでもニュースになっていた。勢いのあるなか、向かってくると思う」と警戒心を強める。格下相手ゆえ、オールブラックスは若手中心で来日する可能性もあるが、日本協会の矢部達三専務理事は「主力の数人は来れないかもしれないが、ベストメンバーでお願いしている」とガチンコ勝負を希望した。

 ニュージーランド戦の後には、2年連続の欧州遠征を実施し、11月9日にIRBランキング9位のスコットランドと対戦することが決まっている。その後も欧州でランキング20位以上の国との試合が内定し、さらなる強化を図る絶好の機会となる。協会によると、既に実施済みのウェールズ戦を含めて、トップ10以上の国と年間に4試合を組んだのは初めてだ。

「大きなタスクが目の前にある。歴史はこれから私たちがつくる」
 勝利したウェールズ戦同様、再び秩父宮が満員の観客で埋まることは確実。エディー・ジャパンが大観衆の前で新たな日本ラグビーの歴史の扉を開く。