(写真:日清食品の安藤社長・CEO<右>と固い握手を交わす綿貫)

 24日、日清食品ホールディングスは都内ホテルで会見を開き、男子プロテニスプレーヤー綿貫陽介と所属契約締結を発表した。日清食品所属のプロテニスプレーヤーは錦織圭、女子の大坂なおみに次ぐ3人目。記者会見に出席した綿貫は「僕は錦織さんや大坂さんのようなスーパースターではないですが、自分らしく自分のペースで、ハングリー精神を持って、まずは同じ大会に出られるよう頑張っていきたい」と意気込んだ。

 

 1998年生まれ、埼玉県出身の綿貫は19歳。3歳でテニスを始めた。錦織を輩出した「修造チャレンジ・トップジュニアキャンプ」出身のホープだ。日本テニス協会ナショナルメンバーに選出され、昨年1月に17歳でプロ転向。同年10月、全日本選手権を制覇した。国際テニス連盟(ITF)ワールドジュニアランキング最高位は2位。現在、男子プロテニス協会(ATP)ツアーランキング352位(11月20日付)である。

 

 日清食品の安藤宏基代表取締役・CEOは「当社は“HUNGRY TO WIN”。世界に食ってかかれをスポーツマーケティングでこれをテーマにしています。錦織圭選手、大坂なおみ選手もこの中で活躍してくれている。綿貫選手は若手で活躍している頃から、日清のワッペンをつけてくれていて、そういうことからも親しい仲になりまして、この度、所属契約を結ばせていただくことになりました」と語り、こう期待を寄せる。

「当社は2020東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルスポンサーというポジションでオリンピックをサポートしていく。是非とも綿貫選手にメダリストになってほしい」

 

(写真:会見で今後に向けての意気込みを語る綿貫)

 残り3年を切った大舞台への思いは、綿貫も隠そうとしない。日清食品所属の先輩・錦織、大坂は既にグランドスラム常連だ。

「僕はまずオリンピックという舞台に立てるランキングに行くことが必要条件になってくると思う。そこまで必死にもがいて、早く2人(錦織と大坂)に追い付きたい」

「来年ATPツアーの方に参戦して、お2人(錦織と大坂)と同じ会場でプレーできる機会を増やしていきたいと思っています。その先にグランドスラム、そして2020年東京オリンピックを日本代表としてプレーできるように頑張っていきたい」

 

 錦織は綿貫のプレーを「攻めのフォアは世界でもトップクラス」と大絶賛。「速さとスピンの量、スイングスピードは今のままでも十分に武器になる。彼にはサーブとフォアがあるので、トップ100は余裕でいける。それぐらいの才能を持っている」と評価する。

 

(写真:日清食品所属3選手とマスコットキャラクターが記念撮影)

 世界と戦っていく上では、技術はもちろんメンタル面での強さも必要となってくる。

「海外に出たときに日本人は体格に恵まれていない選手が多いと思われている。変な言い方ですが、見下されている時もあります。その時に“勝ちたい”と強く思う」と綿貫。ジュニア時代から将来を嘱望されたホープとはいえ、ハングリーな気持ちは忘れずにいる。

 

 さらに綿貫は自らの“テニス愛”を強調する。

「一番の武器は小さい頃からずっとテニスをやってきて、誰よりもテニスが好き。その楽しさを知っているのが一番の強さじゃないかと思っています」

 

 理想のテニスプレーヤー像を問われると、「テニスをやらない方でも、僕のプレーを見て勇気や感動を、そして“明日も頑張ろう”という力になりたい」と述べた。19歳のホープが2018年、世界を相手にどう食ってかかるのか、楽しみである。

 

(文・写真/杉浦泰介)