15日、日本サッカー協会は東アジアカップ2013(韓国)に臨む日本代表23名を発表した。海外組ならびに国内組の代表常連メンバーの招集は見送られ、国内組の若手が多く選ばれた。初選出はFW柿谷曜一朗(C大阪)、FW豊田陽平(鳥栖)、MF高萩洋次郎(広島)ら10人。一方で、GK西川周作(広島)、DF栗原勇蔵(横浜FM)ら4人をコンフェデレーションズカップ2013から引き続き招集した。日本は中国(21日)、オーストラリア(25日)、韓国(28日)と対戦する。
「(東アジア杯は)当然、勝つためにやる。だが、究極の選択として、“勝ちにこだわって代表クラスのメンバーを見つけられない”もしくは“結果がついてこなくても数人の代表に入ってこれる素材を見つけることができる”のどちらがいいかと問われたならば、後者を選ぶ」

 アルベルト・ザッケローニ監督は、今大会の位置づけをこう説明した。その証拠として、選んだ23人のうち15人が国際Aマッチ出場経験ゼロ。就任以降、主力メンバーをほぼ固定してきた指揮官が、本格的に新戦力発掘に取りかかる。

 そんな中での最大の注目は柿谷だろう。今季はここまで10ゴール(リーグ4位タイ)を挙げ、エースとしてセレッソ大阪を牽引している。ザッケローニ監督が視察した10日の第15節横浜F・マリノス戦でも1ゴールを決め、代表入りを強烈にアピールしていた。
 C大阪でのポジションはセンターフォワード。身長177センチ、体重68キロと恵まれた体格ではないが、卓越した技術に加え、裏へ抜け出す動き出しのうまさで屈強なDF相手にゴールを量産している。ザッケローニ監督はそんな柿谷の起用プランをこう明かした。

「サイドのポジションも能力的にはこなせるだろう。しかし、センターのところでいいプレーを見せているし、DFラインとの駆け引きでもうまくやっている。現時点ではセンターでプレーさせたほうが適正と考えている」

 ザックジャパンではこれまでFW前田遼一(磐田)もしくはMF本田圭佑(CSKAモスクワ)といったボールを収められる選手が1トップに起用されてきた。その意味で、ボールコントロールに長けた柿谷は申し分ない。さらに彼はドリブルで局面を打開できる。守りを固める相手に対しては時には強引に仕掛けることが有効になる。うまさと強引さを持ち合わせた柿谷の存在は、日本に新たなオプションをもたらすに違いない。

 他に前線のメンバーでは北京五輪代表の豊田が初のA代表入りを果たした。リーグ戦では現在2位タイの11ゴールをマークしている。身長185センチ、体重79キロの恵まれた体躯と抜群のフィジカル能力を生かしたプレースタイルからついた異名は“トヨグバ”。プレミアリーグで2度、得点王に輝いたコートジボワール代表ディディエ・ドログバからもじったものだ。ドログバも圧倒的な身体能力の高さを生かしたストライカーである。

「豊田の特長はエリア内での強さと空中戦の強さ。そういった部分は我々のストロングポイントではない。逆に相手もそこがウチのウィークポイントだと思っている。そういった中で、彼がどれだけできるのか実際に手許に置いて見てみようと思った」
 ザッケローニ監督は豊田の選出理由をこう説明した。指揮官は「柿谷はトップ下でもプレーできる」と語っており、場合によっては1トップに豊田、トップ下に柿谷という点取り屋の同時起用もありそうだ。

 代表経験に乏しい選手が多い中で、高次元の連係を構築することはまず難しい。ザッケローニ監督も「チームビルディングにかける時間は多くない。選手たちには自分たちができる得意なことをやってほしい」と語った。それだけに選手たちが実力をアピールする上で、ブラジルW杯に出場する韓国、オーストラリア、発展途上にある中国は不足のない相手だ。果たして、指揮官をうならせる新星は現れるのか。ブラジル行きのチケットをかけた選手たちの戦いの火ぶたが切って落とされる。

<日本代表メンバー23名>

GK
林卓人(ベガルタ仙台)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
千葉和彦(サンフレッチェ広島)
森脇良太(浦和レッズ)
槙野智章(浦和レッズ)
森重真人(FC東京)
鈴木大輔(柏レイソル)
MF
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
高萩洋次郎(サンフレッチェ広島)
高橋秀人(FC東京)
山口螢(セレッソ大阪)
扇原貴宏(セレッソ大阪)
柴崎岳(鹿島アントラーズ)
FW
豊田陽平(サガン鳥栖)
山田大記(ジュビロ磐田)
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
斎藤学(横浜F・マリノス)
工藤壮人(柏レイソル)
大迫勇也(鹿島アントラーズ)
原口元気(浦和レッズ)