14日、キリンチャレンジカップ2013が宮城スタジアムで行われ、日本代表がウルグアイ代表に2−4で敗れた。日本は序盤、ボールを支配したものの、決定機をつくることができなかった。徐々にウルグアイに押し込まれ始めると前半27分、FWディエゴ・フォルランに先制点を奪われ、直後にもフォルランに追加点を許した。後半7分にはFWルイス・スアレスにもゴールを決められた。9分、MF香川真司(マンU)が1点を返したが、13分にMFアルバロ・ゴンサレスに4点目を喫した。27分、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)に得点が生まれたものの、その後はゴールを奪えなかった。

 本田、鮮やかFK弾も実らず(宮城スタジアム)
日本代表 2−4 ウルグアイ代表
【得点】
[日] 香川真司(54分)、本田圭佑(72分)
[ウ] ディエゴ・フォルラン(27分、29分)、ルイス・スアレス(52分)、アルバロ・ゴンサレス(58分)
 世界はミスを見逃してくれない、ということを痛感した試合だった。日本は南アフリカW杯ベスト4のウルグアイ相手に、序盤は主導権を握っていた。しかし、パスミスを連発してリズムを失うと、個の力で勝るウルグアイにチャンスを次々とつくられた。

 試合はホームの日本が序盤から積極的に攻めた。5分、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)がPA手前でパスを受けると、右足でミドルシュート。DFに当たったボールがゴール右に飛んだが、これはGKに弾き出された。その後も左サイドから攻撃を組み立て、ウルグアイゴールに迫った。

 日本が主導権を握ったかに思われたが、自分たちのミスから相手を勢いに乗せてしまう。11分、DF内田篤人(シャルケ)がピッチ中央で横パスを奪われ、速攻を仕掛けられた。前線のフォルランにつながれ、PA内に抜け出したスアレスにスルーパスを送られた。これは相手のタイミングが合わずにことなきを得たものの、ウルグアイの鋭いカウンターに肝を冷やした。直後にはピッチ中央でボールを持ったMFニコラス・ロデイロから裏にボールを送られ、反応したスアレスにGKと1対1の決定機をつくられた。これはGK川島永嗣(リエージュ)がファインセーブで防いだが、日本は簡単にDFラインの裏をとられる場面が多く見受けられた。

 27分に奪われた先制点もカウンターから裏を突かれてのものだった。スアレスに左サイド後方からのクリアボールに抜け出される。PA内左に持ち込まれてから中央に折り返されたボールを、走り込んできたフォルランにゴール右へ押し込まれた。裏を突かれたことに加え、決定力の高いフォルランをほぼフリーにしてしまったことが響いた。
 29分にはPA手前、左45度の位置で与えしまったFKを再びフォルランにゴール右下に蹴り込まれた。掴みかけた主導権を確実なものにする、ウルグアイのしたたかさを見せつけられた。

 なんとか反撃したい日本だったが、パスミスが多く、その度にウルグアイのカウンターに遭った。32分には、酒井のバックパスを奪われてシュートまで持ち込まれた。相手のシュートミスや川島の好守などで追加点は許さなかったが、流れを引き戻せないまま、試合を折り返した。

 何とか反撃の糸口をつかみたい後半3分、絶好機を迎える。MF岡崎慎司(マインツ)が相手DFのクリアが香川に当たってこぼれたボールに反応。GKと1対1となって浮き球で狙ったが、GKの体に当ててしまう。香川がこぼれ球を押し込んだが、シュートはGKの正面を突いた。

 すると、チャンスの後にはピンチが待っていた。7分、相手の右サイドからのクロスにDF吉田麻也(サウサンプトン)が対応した。しかし、左足で手前に送ったボールの先にいたのはスアレス。PA内中央から豪快に右足を振り抜かれた。昨季プレミアリーグで23ゴールを挙げたストライカーは、日本の痛恨のミスを見逃してはくれなかった。

 この直後、ようやく日本が反撃を見せた。本田が左サイドからのボールをワンタッチでふわりとゴール前へ。反応した岡崎がDFとGKと競り合って流れたボールが、フリーでいた香川に渡る。香川は難なくゴールに流し込んだ。中高時代を宮城で過ごした香川の“凱旋ゴール”にスタジアムが沸いた。

 ところが、日本は守備の崩壊を止められなかった。13分、パス交換からMFクリスティアン・ロドリゲスにPA内左サイドにまで攻め込まれる。川島が詰め寄ったが、ゴール前に山なりのクロスを上げられ、ファーサイドにいたゴンサレスに頭で押し込まれた。

 27分に本田がゴールから約25メートルの位置で得たFKを直接決めたものの、反撃もここまで。ほぼベストメンバーを揃えたウルグアイに完敗を喫した。

「チームとしても個人としてもミスが多かった」
 アルベルト・ザッケローニ監督はこう試合を振り返った。個の力で上回る相手に組織力で対抗したかったが、日本はミスを連発。長谷部も「守備の部分で修正しないといけない部分がたくさんある。4失点は妥当」とミスが絡んで大量失点したことを課題にした。

 アジアレベルでの戦いでは、ミスを犯した後のピンチを防げる時もあった。だが、ウルグアイが示したように、“世界”はミスを見逃さない。世界と戦う上で常にゴールへ向かう積極的な姿勢は必要だが、それを意識するあまり、プレーの精度が下がるようでは本末転倒だ。ブラジルW杯まで1年を切った。ザックジャパンには個の力の成長とともに、ミスをしない丁寧さも求められている。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
→駒野友一(83分)
吉田麻也
→伊野波雅彦(56分)
今野泰幸
酒井高徳
MF
長谷部誠
→山口螢(75分)
遠藤保仁
岡崎慎司
本田圭佑
香川真司
FW
柿谷曜一朗
→豊田陽平(64分)