8月19日(月)

◇準々決勝
 延長サヨナラで県勢48年ぶりのベスト4
富山第一        4 = 01000030000
延岡学園(宮崎)   5 = 00000301001× (延長11回)

 先制したのは富山第一。2回表、先頭の4番・幸山一大(2年)が両チーム初安打となる二塁打を放つと、5番・中村順風(3年)の内野ゴロの間に三塁へ進む。そして6番・藤井信太郎(3年)の犠飛で幸山が返り、富山第一が先取点を挙げた。6回裏、1死二、三塁から5番・浜田晋太郎(3年)が走者一掃のタイムリー三塁打を放ち、逆転に成功。さらに6番・野崎浩二(1年)のスクイズで1点を追加し、その差を2点に広げた。しかし7回表に富山第一が一挙3点を追加して再びリードを奪うと、延岡学園も負けじと8回裏に1点を挙げて試合を振り出しに戻した。試合はこのまま延長戦へと突入した。11回表、延岡学園は1死から連打が出て一、二塁と一打サヨナラのチャンスをつかむ。途中出場の薄田凌(2年)の打球はボテボテの内野ゴロに。富山第一は4−6−3のダブルプレーを試みる。ところが、遊撃手からファーストへの送球が乱れ、一塁手のグラブからボールがこぼれる間に、二塁ランナーが生還。思わぬかたちで延岡学園が勝ち越し、サヨナラ勝ちを決めた。同校としては初、宮崎県勢としては48年ぶりに準々決勝に駒を進めた。
 3投手の継投で逃げ切り、4強一番乗り
花巻東(岩手)   5 = 000002030
鳴門(徳島)    4 = 000003001
【本塁打】
(花)岸里

 準々決勝第1試合は、序盤は手に汗握る投手戦となり、中盤以降は1点を争う激しい攻防戦が展開され、見応えのある好ゲームとなった。ようやく均衡が破れたのは6回表。花巻東は先頭の2番・千葉翔太(3年)が四球で出塁。粘りが身上の千葉はガッツポーズで勢いよく一塁へ走っていった。するとそのガッツポーズに応えるかのように、3番・岸里亮佑(3年)が高めに浮いた直球をセンターバックスクリーンへ運び、先制2ランでリードを奪った。しかしその裏、好投を続けてきた細川が1死から2者連続四球を出し、ピンチを招いた。このチャンスに鳴門は3本のタイムリーで逆転に成功した。8回表、花巻東は先頭の千葉がこの試合3つ目の四球で出塁すると、次打者の内野ゴロの間に二塁へ。そして2死後、5番・多々野将太(3年)の打球は一塁線へのボテボテのゴロに。鳴門のエース板東にすれば、完全に打ち取った打球だった。ところが、この打球が一塁ベースに当たり、大きく跳ね返って一塁手の頭上を越えた。二塁ランナー千葉が一気にホームへ返り、同点とした。これで流れは花巻東へと傾く。この回、さらに2点を加えて、再び勝ち越した。2点ビハインドで迎えた9回裏、鳴門は1点を返し、1点差に詰め寄る。なおも2死満塁。しかし、ここは花巻東の3番手・河野幹(3年)が踏ん張った。最後の打者をサードフライに打ち取り、1点差を逃げ切った。接戦を制した花巻東は、菊池雄星(埼玉西武)を擁した2009年以来となるベスト4一番乗りを決めた。

 逆転勝ちで県勢初のベスト
日大山形   4 = 001001020
明徳義塾(高知)   3 = 100101000

 1回表、明徳義塾のエース岸潤一郎(2年)は3者凡退に切ってとる最高の立ち上がりを見せた。するとその裏、2死二塁から岸自らが先制のタイムリーを放ち、早くもリードを奪った。3回表、日大山形は1死後、8番・庄司瑞(3年)がチーム初安打を放つと、次打者の送りバントで二塁へ。ここで1番・青木龍成(2年)がセンターの頭上を越えるタイムリー三塁打を放ち、日大山形が試合を振り出しに戻した。その後、明徳義が勝ち越しては日大山形が追いつくというシーソーゲームとなった。日大山形は2−3と1点ビハインドで迎えた8回表、1死二塁からこの試合3打席ヒットがなかった3番・峯田隼之介(3年)がセンターオーバーのタイムリー三塁打を放ち、日大山形が三度、追いついた。さらに2死一、三塁から今度は6番・吉岡佑晟(3年)にもタイムリーが出て、日大山形がこの試合初めて勝ち越した。そして迎えた最終回、庄司は最後の力を振り絞る。1番・矢野優生(3年)を3球三振に切ってとると、2番・畑光(3年)、そして逸崎を内野ゴロに仕留め、1点差を死守した。逆転で接戦を制した日大山形は山形県勢初のベスト4進出を決めた。

 延長サヨナラ勝ちで初のベスト4進出
常総学院(茨城)   2 = 0200000000
前橋育英(群馬)   3 = 0000000021× (延長10回)

 前橋育英は3試合連続で完投してきたエース高橋光成(2年)を温存し、甲子園初登板の喜多川省吾(2年)を先発に起用した。その喜多川から常総学院が序盤に得点を奪う。2回表、2死一、三塁から1番・高島翔太(3年)が走者一掃となる先制の2点タイムリーを放ち、常総学院が早くも先行した。投げてはエース飯田晴海(3年)が3回まで3者凡退に切ってとる好投で前橋育英打線を完璧に封じた。一方、喜多川も徐々にリズムに乗り、3回から5回までは無安打と常総学院打線に追加点を許さない。3回以降は、お互いに再三チャンスをつかみながら得点を奪うことができず、こう着状態が続いた。常総学院2点リードのまま、9回裏に入った。すると、常総学院にアクシデントが起きた。エース飯田が足に痙攣が起こり、治療を施す。降板かと思われたが、飯田はマウンドに戻ってきた。だが、2球投げたところで、飯田は再びピッチングをやめ、金子雄太(2年)にスイッチした。金子は、3、4番を続けざまに内野ゴロで2死を取る。しかし、ここで常総学院の内野に痛恨のミスが出た。5番打者も完全に打ち取った当たりだったが、これを二塁手がファンブルし、ランナーを出してしまう。すると、前橋育英は6番・板垣文哉(3年)がヒットでつなぎ、2死二、三塁と一打同点のチャンスをつかんだ。打席にはエース高橋光。高橋は外角低めのスライダーを右中間へ弾き返した。2人のランナーが一気に返り、前橋育英が土壇場で追いついた。試合は延長戦へと突入した。10回表、高橋光は先頭打者にヒットを許すも、後続を抑えて無失点で切り抜けた。そしてその裏、前橋育英は1死二、三塁のチャンスに、この試合4打席無安打に終わっていた3番・土谷恵介(3年)が初球を迷うことなくフルスイング。打球はセンターの前にポトリと落ち、その瞬間、前橋育英のサヨナラ勝ちが決まった。