ストッフ、2連覇! 小林陵侑、日本人最高の10位タイ ~ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル~

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 平昌五輪ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル個人決勝が行われた。カミル・ストッフ(ポーランド)が285.7点で優勝。ソチ五輪に続く2連覇を達成した。2位はアンドレアス・ウェリンガー(ドイツ)が282.3点で、3位にはロベルト・ヨハンソン(ノルウェー)が275.3点で入った。日本人最高位は小林陵侑(土屋ホーム)が258.0点で10位。その他の日本勢は竹内拓(北野建設)が22位、小林潤志郎(雪印メグミルク)が24位だった。ソチ五輪銀メダリストの葛西紀明(土屋ホーム)は33位で決勝2回目に進めなかった。

 

 日の丸飛行隊の第二陣はラージヒル。小林陵侑、竹内、小林潤志郎、葛西の4人が世界に挑んだが、その壁は厚かった。

 

 前日の予選を日本勢全員が通過した。50人で行われる決勝1回目で30人までに絞られる。まず前半でレジェンドが脱落した。8度目のオリンピックで悲願の金メダルを獲りに行った葛西だったが、揚力を得られない追い風に阻まれ121mに終わった。K点(125m)にも届かぬジャンプで33位。45歳のベテランは個人戦での表彰台にほど遠かった。

 

 2回目に進出したのは小林兄弟と竹内の3人だ。中でもノーマルヒルで7位入賞を果たした小林陵侑は好調をキープ。予選で最長不倒の143.5mを飛んだ。ヒルサイズ(142m)を超える大ジャンプに期待が高まる。1回目で135.5mをマークし、134.0点で7位につけた。3位のウェリンガーとは4.8点差。飛距離に換算すれば数m差だ。表彰台の可能性を残し、2回目にかける。

 

 陵侑の兄・潤志郎は今季W杯開幕戦で優勝。W杯ランキング8位は日本人最上位である。ノーマルヒルでは強風の影響をもろに受け、2回目に進めなかった。雪辱に燃えていたが、ラージヒルで向かい風を得られなかった。2本とも122mと飛距離を伸ばせず。合計224.8点で24位だった。

 

 ソチ五輪も経験した竹内は団体銅メダルメンバーの1人だ。ノーマルヒルは1カ国4人までの出場のため、エントリーから外れた。それだけにラージヒルにかける想いは強かったはずだが、1回目は124mを飛び114.1点、2回目は125.5mで120.1点。234.2点で小林潤志郎を上回る22位で個人戦を終えた。

 

 日本勢の望みを託されたのはメンバー最年少の21歳・小林陵侑。しかし2回目のジャンプでは追い風が吹く。それでも意地を見せ、K点を超える128mを記録した。124.0点を加算し、258.0点となり、この時点で暫定5位につけた。残りの6人が飛び終わる前にメダルの可能性は潰えた。

 

 表彰台争いはノルウェーを中心に、ポーランド、ドイツ勢で展開した。まずノルウェーのヨハンソンが134.5mを飛び、275.3点で暫定トップに躍り出た。ノルウェー勢が上位3人を占める。すると続くオーストリアのウェリンガーが最長不倒142.0mの大飛行。ヨハンソンを抜き、今大会ノーマルヒルの金メダリストが個人2冠に一歩近づいた。

 

 1人を挟んで大トリを務めるのは、ポーランドのストッフ。今季W杯ランキング1位のディフェンディングチャンピオンだ。ソチ五輪では個人2冠を達成した30歳に大きなプレッシャーがかかる。それまで向かい風だったのが急に追い風に変わる。連覇へ“逆風”が吹いたが、王者はものともしなかった。

 

 低い姿勢で飛び出すと、空を切り裂くように突き進んだ。1回目トップの135.0mより更に距離を伸ばし、136.5mをマーク。飛型点も高く付いた。安定したジャンプが金メダルをもたらした。ラージヒルの連覇は史上3人目となった。

 

 小林陵侑が10位タイで日本人トップ。日本勢は風に恵まれない場面が目立ったが、ストッフのように条件が揃わなくても結果を残す者もいる。言い訳はできないだろう。個人戦は終わり、残すは団体戦だ。今大会は小林陵侑が1人気を吐いているが、他のメンバーは低空飛行が続いている。2日後までに気持ちを切り替えて、2大会連続のメダルを狙いたい。

 

<総合成績>

1位 カミル・ストッフ(ポーランド) 285.7点(135.0m/136.5m)

2位 アンドレアス・ウェリンガー(ドイツ) 282.3点(135.5m/142.0m)

3位 ロベルト・ヨハンソン(ノルウェー) 275.3点(137.5m/134.5m)

10位 小林陵侑(土屋ホーム) 258.0点(135.5m/128.0m)

22位 竹内拓(北野建設) 234.2点(124.0m/125.5m)

24位 小林潤志郎(雪印メグミルク) 224.8点(122.0m/122.0m)

33位 葛西紀明(土屋ホーム) 107.9点(121.0m)※2本目に進めず

 

(文/杉浦泰介)

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