2月から合同自主トレが始まった四国アイランドリーグplus。各選手ともに4月の開幕に向けて調整に余念がないが、コーチ陣も来るべきシーズンを見据え、自軍の戦力アップと選手指導に奮闘中だ。今回の野球西国巡りは選手、コーチでアイランドリーグ一筋の香川オリーブガイナーズ・近藤智勝コーチに話を聞いた。昨季、後期Vで自信をつけた香川の若い選手たちの近藤流育成法とは?

 

 後期Vで選手が急成長

 今季、香川は原田宥希、秀伍らの中心投手がそのまま残り、野手陣もほぼ変わりがありません。レギュラーが残ったことである程度、戦力としては目処が立っている状態です。

 

 選手たちもお互いの実力が分かっている上でシーズンオフを過ごしたので競争意識が生まれています。合同自主トレの初日からいい動きをする選手が多かったのもその効果でしょう。コーチとして「自主トレ初日をどういう迎え方をするかな」と見ていましたが、その点でみんな満点だったと思います。

 

 今季の目標は勝つことです。香川に限らずアイランドリーグの選手の多くは強豪校にいたエリートではないので、勝ちの経験が少ないんです。やはり野球は勝つ中で得ることが多いので、勝つことは常に意識してやっていきたいと思っています。実際、昨季は後期優勝を果たしましたが、8月終わりから勝つ喜びを知った選手たちがどんどんと伸びました。グラウンドの雰囲気も良くなって、選手も大きく見えたものですよ。

 

 私は勝つことと育てることは両立すると考えています。なぜなら勝つことで気持ちが前向きになるので、指導や課題を受け入れやすい。前向きになれば向上心も出てくるので「もっとうまくなりたい」という気持ちで、さらに選手は伸びていきます。

 

 私としてはどう指導するというよりも、選手たちがポジティブな気持ちになれる環境、それを作るのかが大事だと思っています。勝たせることはもちろんだし、頭ごなしじゃない指導法などいつも勉強中です。

 

 アイランドリーグ創設時に選手として入団し、コーチとして今季で7年目です。大学野球から香川へ進みましたが、そこでNPB経験者の方の指導を受けて、まさに目から鱗が落ちるようでした。「こういう野球指導があったのか」と驚いたと同時に、大学時代はイヤになりかけていた野球が再び好きになりましたね。自分のそうした経験も活かして、さらに他球団のコーチを見て、指導法を学んでいます。アイランドリーグを盛り上げるためにコーチも日々、勉強ですね。

 

 香川の今年のキーマンは、新しくキャプテンに就任した三好一生。自分だけでなくチーム全体に目配り気配りをすることになるので、キャッチャーとしてプレーの幅も広がると期待しています。あとは3年目の井戸川祐太、4年目の岡村瑞希にも期待しています。それから今季はホームラン20本を打つと意気込んでいる4番候補のクリスなど、名前をあげたらきりがないですね(笑)。

 

 昨年秋のNPBドラフトで香川の選手は1人も指名されませんでした。11年続いてきたNPBへの選手輩出が途切れたこともあり、今季は1人でも多くの選手をNPBに送り出したいと思っています。ファンの方々、スポンサーの皆さんの期待に応えるためにも勝って、育てて、そして日本一になりたいです。応援、よろしくお願いいたします。

 

<近藤智勝(こんどう・ともすぐ)プロフィール>
1982年11月25日、神奈川県出身。桐光学園(神奈川)時代、1年夏に県大会決勝まで進んだが松坂大輔擁する横浜に敗れ、その後は3年夏の県ベスト4止まりと甲子園出場は果たせなかった。駒澤大では1年春からベンチ入りを果たすなど堅守の内野手として活躍した。大学卒業後、四国アイランドリーグの創設を聞き、05年、香川に入団。初代キャプテンとしてチームを牽引した。11年に現役を引退。その後はコーチとして香川で指導にあたる。


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