2月23日から2018年のJリーグが開幕しました。昨年同様、年末の過密日程緩和のためにこの時期からリーグ戦がスタート。引き分けが多かったですが、その中でも気になった点もいくつかあった開幕戦でした。

 

 昨季のリーグ王者の川崎フロンターレの出来も注目していました。Jリーグ開幕前にアジアチャンピオンズリーグ2試合とゼロックススーパーカップ1試合をこなして3連敗。しかし、さすがはチャンピオンチームです。しっかりと修正し、去年リーグ最少失点(30点)のジュビロ磐田を相手に3対0の快勝でした。

 

 かつては、先に失点を許す場面が散見された川崎ですが、早い時間帯でMF中村憲剛がヘディングで決めました。中村のヘッドのゴールは珍しい気もしますが、こういう“らしくない”得点が出るあたりも好調さを感じますね。今オフは多くの補強を行いましたが、スタメンは全て去年から在籍していた選手を使いました。計算できる選手たちを起用してきたな、という印象です。公式戦3連敗で迎えた開幕だけに、結果が出て一安心でしょうね。

 

 風間八宏監督率いる名古屋グランパスはガンバ大阪に3対2で競り勝ちました。元ブラジル代表FWジョーが点を取ったことは大きいと思います。なかなかスタートから波に乗れない外国人選手が多い中、ゴールが生まれたことでチームも勢いに乗ると思います。助っ人が結果を出せないとチームの雰囲気も重たくなります。ジョー自身もホッとしたのではないでしょうか。3対2というスコアも風間監督の率いるチームらしいなと思います。長いシーズンを考えた場合、失点も最後の最後で響いてくるケースもあります。この辺をどう立て直していくのかが楽しみですね。

 

 10番金崎、見慣れるのは時間の問題

 

 昨季、あと一歩でリーグ優勝を逃した鹿島アントラーズは清水エスパルスとアウェーで対戦しました。両チームとも得点チャンスがありながら0対0。前半、清水にPKを与えましたが、GKクォン・スンテのビッグセーブで救われました。今季もGK曽ケ端準とレベルの高いポジション争いが見られそうです。

 

 また、昨季は大岩剛監督にさほど出場機会をもらえなかったFW鈴木優磨がスタメンで起用されました。一時期はベンチを温める日々が続いていましたが、ようやく大岩監督の期待に沿うプレーができるようになってきたのでしょう。ユースからの生え抜き選手の1人ですし、地元ファンの人気も根強いので頑張ってほしいです。

 

 今季から鹿島の10番はエースFW金崎夢生が背負います。やっぱりまだ昨季までの33番の印象が強いので、見慣れない(笑)。でもきっと、10番を自分のものにするのは時間の問題でしょう。

 

 Jリーグ提携国であるタイ人選手の活躍も、今季は注目ですね。タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタールはJリーグと提携を結んでおり、上記の国籍の選手は外国人枠ではなく、日本人選手と同じ扱いになります。今季、Jリーグでプレーするタイの選手は6名です。サンフレッチェ広島は新戦力のタイ人ストライカー・ティーラシンのゴールで勝利を収めました。タイの選手がJリーグでもっと活躍すれば、今以上に両国間での移籍が活発になる。タイのサッカー界やJリーグでプレーする日本人選手にも当然、いい刺激になるでしょう。今後も彼らの活躍には目が離せません。

 

 さて、3月に入ると日本代表の欧州遠征があります。23日に仮想セネガルとしてマリ代表、27日には仮想ポーランドのウクライナ代表と対戦します。仮想だろうと、親善試合だろうと全力で勝利を目指してほしいです。一戦ごとに戦術は違うと思いますが、勝つために自分たちがやるべきことをピッチで表現してほしいです。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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