14日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ（CS）ファーストステージ最終戦が行なわれた。鈴木大地の先制弾で均衡を破ったロッテが、その後も確実に得点を重ねた。投げては先発の唐川侑己が制球に苦しみながらも６回途中まで無失点に抑える力投を見せ、その後は３投手の継投で西武打線を１点に抑え、３年ぶりとなるファイナルステージ進出を決めた。

◇ファーストステージ第３戦
　鈴木、値千金の先制弾！（ロッテ２勝１敗、西武ドーム）
千葉ロッテ　　　４　＝　００００１１０２０
埼玉西武　　　　１　＝ ０００００１０００
勝利投手　唐川（１勝０敗）
敗戦投手　牧田（０勝１敗）
セーブ　　 益田（１Ｓ）
本塁打　　（ロ）鈴木１号ソロ、井口２号ソロ
　第１、２戦で互いに大量得点を奪って圧勝した西武とロッテ。果たして、どちらの勢いがホンモノなのか。そして仙台行きの切符を掴み取るのは――。
　先に先制のチャンスをつかんだのは、勝たなければファイナルステージ進出への道を拓くことができないロッテ。初回、２死から井口資仁がストレートの四球で出塁すると、今江敏晃がチーム初安打を放ち、チャンスを広げた。しかし、ここは西武の先発・牧田和久が巧みな投球を見せる。角中勝也に対し、内角ギリギリのストレートで十分に腰を引かせると、最後はアウトローへの変化球でショートゴロに打ち取り、先制点を許さなかった。

　その裏、今度は西武がチャンスをつかむ。１死から片岡治大がヒットで出塁すると、すかさず二盗を成功させてチャンスを広げた。そして栗山巧のライトフライの間に、片岡は三塁へ。打席には４番・浅村栄斗。前日の第２戦では４安打２打点と活躍した浅村だったが、ここはライトフライに倒れて先制することができなかった。

　２回以降も毎回のようにランナーを出しながらも、両者ともに得点を奪うことができず、第１、２戦とはうってかわって序盤はゼロ行進が続いた。

　４回裏、西武は１死から浅村がヒットで出塁すると、暴投で二塁へ。さらに秋山翔吾のセンターフライで三塁へ進んだ。中村は四球を選んで一、三塁となる。先取点を期待する西武ファンが見つめる中、坂田遼は内野ゴロに倒れ、またもチャンスを逃した。

　すると５回表、均衡が破れる。先頭の鈴木大地がロッテファンが詰め掛けるライトスタンドに一発を放ち、ロッテが待望の先取点を奪った。打線から援護をもらったロッテ先発の唐川侑己。４回までは全体的に球が高く、不安定なピッチングが続いた唐川だったが、この回は炭谷銀仁朗、鬼崎裕司と内野ゴロに打ち取ると、最後はヘルマンを外角低めのスライダーで見逃し三振に切って取り、ピシャリと３人で攻撃を終わらせた。鈴木、唐川と若手２人に触発されたかのように、６回表にはベテラン井口資仁がファーストステージ２本目となる一発を放ち、チームに流れを引き寄せた。

　するとその回、１死を取ったところで、西武ベンチが動いた。牧田を下げ、２番手ルーキーの高橋朋己をマウンドに上げる。いつもはほとんど気持ちを表に出すことのない牧田だったが、大一番での無念の降板に涙を見せ、悔しさを露にした。その牧田の後を引き継いだ高橋は、ピシャリと２人で終わらせ、ベンチの期待に応えた。

　牧田の無念を晴らそうと、その裏、西武打線が反撃に出た。片岡が好走塁を見せて二塁打とすると、栗山もヒットで続き、無死一、三塁と絶好のチャンスをつかんだ。ここでロッテは唐川から２番手・内竜也にスイッチした。打席には打点王の浅村。浅村は内の２球目、外角高めのストレートをフルスイング。あわやホームランかと思われたが、打球はフェンス手前で落ちた。それでも貴重な犠牲フライとなり、西武が１点を返した。なおも１死一塁と追加点を狙った西武だったが、秋山がショートゴロに倒れ、４−６−３のダブルプレーに終わった。

　試合が大きく動いたのは８回表。７回途中から継投した西武３番手のサファテが先頭の岡田幸文を死球で出す。井口を空振り三振に切ってとり、今江を迎えたところで西武は４番手・涌井秀章にスイッチした。ここで西武の守備にミスが出る。岡田が二盗を狙ったところでキャッチャー炭谷からの送球をショート鬼崎が補球できず、ボールが転々と外野へと転がる間に、岡田は三塁へ。さらに涌井が今江を四球で出し、１死一、三塁としてしまう。打席には、この試合未だ無安打の角中。角中は凡退したそれまでの３打席の鬱憤を晴らすかのように、涌井の初球を右中間に運び、走者一掃となるタイムリー三塁打を放った。ロッテにとっては大きな２点が入った。

　続くサブローを四球で出し、１死一、三塁となったところで、西武は涌井を諦め、５番手・ウィリアムスをマウンドに上げた。ウィリアムスは代打ブラゼル、鈴木と２者連続の空振り三振に仕留め、それ以上の追加点を許さなかった。その裏、西武はランナーをスコアリングポジションに進めるも、後続が続かず、得点を挙げることができなかった。

　試合はロッテ３点リードのまま最終回へと突入した。サファテはこの回、３者連続三振を奪い、８回から合わせてプレーオフ新記録となる５者連続三振をマークした。その裏、ロッテのマウンドには守護神・益田直也が上がった。益田は２死から坂田にヒットを打たれるも、最後は代打・ルーキー金子侑司を見逃し三振に仕留め、最終戦にまでもつれたファーストステージを締めくくった。

　西武は前日の大勝が力みを生ませたのか、ロッテよりも多い８安打を放ちながら、あと１本が出ない拙攻が続き、牧田の涙、そして詰め掛けた西武ファンに応えることができなかった。

　接戦を制したロッテ。果たして、同じくシーズン３位ながら日本一にまで駆け上がった2010年の再来となるのか。まずは球団創設９年目にして初優勝と勢いのある東北楽天が待つ仙台でファイナルステージに臨む。