13日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦が行われ、阪神(レギュラーシーズン2位)と広島(同3位)が対戦した。阪神は西岡剛の先頭打者本塁打で先制。その後は投手戦の様相を呈したが、広島は6回にキラ・カアイフエ、ブラッド・エルドレッドの両外国人のタイムリーで逆転に成功する。さらに7回に1点、8回に3点を追加し、突き放した。後続のリリーフ陣が阪神の反撃を3点で凌ぎ、逃げ切った。CS初出場の広島が、2連勝でファイナルステージ進出を決めた。

◇ファーストステージ
 4度目のCS、すべて初戦敗退(広島2勝0敗、甲子園)
広島   7 = 000002131
阪神   4 = 100000012
勝利投手 バリントン(1勝0敗)
敗戦投手 メッセンジャー(0勝1敗)
本塁打  (阪)西岡1号ソロ、桧山1号2ラン
 広島が助っ人外国人たちの活躍で、レギュラーシーズン1位の巨人が待つファイナルステージへとコマを進めた。

 第1戦を落とし、後がない阪神の先発はランディ・メッセンジャー。しかし1回表、先頭の丸佳浩にヒットを許すと、セ・リーグ犠打王の菊池涼介にすかさず送られる。得点圏にランナーを許して、クリーンアップを迎える。ここで今季チームの勝ち頭(12勝)は踏ん張った。3番の梵英心を浅いセンターフライに仕留め、4番のキラは149キロの速球で空振り三振を奪った。昨日決勝弾を放っている主砲を抑え、初回のピンチを凌いだ。

 すると直後の攻撃で先制点が生まれる。昨日ノーヒットと沈黙していた西岡が、ブライアン・バリントンの真ん中に入ったストレートをセンターへ弾き返した。打球はグングン伸びて、バックスクリーンへ飛び込むホームラン。核弾頭の一発で、阪神が1点のリードを奪った。

 今度は広島が守りで流れを一転させる。2回裏にランナーを一塁に置いて、バリントンが藤井彰人にレフトへ大飛球を打たれた。抜ければ、走者が一気にホームに還る可能性もあったが「いい読みをして、身長もあるのでなんとか届いた」と、レフトを守る196センチのエルドレッドが背走しながらジャンピングキャッチ。すぐに中継へ返球し、飛び出した一塁ランナーも殺した。エルドレッドのビッグプレーで阪神に傾きかけたムードを断ち切った。

 バックの守りに助けられたバリントンは、打たせて取る本来のピッチングを取り戻す。3、4、5回を7、5、9球でいずれも三者凡退に切って取った。

 そしてバリントンの好投が打線にも好リズムを生む。6回表、先頭の菊池がツーベースで出塁。梵が送って1死三塁でキラが打席に立つ。前日のヒーローは、今日も勝負強さを発揮した。メッセンジャーの高めのボール球をライトへ打ち返す、同点タイムリーツーベース。さらに2死三塁となって、6番のエルドレッド。「いい球をしっかり打とう」と、初球のインコースの真っ直ぐを弾き返した。「気持ちいい感触だった」と振り返る打球は、三遊間を破るタイムリーヒット。キラとエルドレッドと強打の外国人の活躍で広島が逆転した。

 広島は終盤にも攻撃の手を緩めない。四球で出塁した丸を菊池が送り、1死二塁のチャンスを作る。続く梵は、この回から登板の安藤優也の甘く入った初球を叩いた。打球はライト線を破り、ランナーの丸は悠々生還するスリーベースとなった。さらに8回には代打・小窪哲也の2点タイムリーなどで3点を追加した。

 本拠地でこのまま終われないとばかりに阪神も意地を見せる。8回に3番手・永川勝浩から柴田講平がタイムリーを放ち、1点を返した。7−2となって、9回裏2死からマット・マートンがヒットで塁に出ると、和田豊監督は代打・桧山進次郎をコール。今季限りの引退を決め、現役最後の打席で桧山は、ファンの待つライトスタンドに大きなアーチを描く。桧山の2ランで阪神は3点差まで迫ったが、反撃もここまでだった。続く新井貴浩が空振り三振に倒れ、ゲームセット。“4度目の正直”ならず、鬼門のCSは今年も突破することができなかった。

 広島は“下剋上”へ向け、甲子園で連勝。弾みをつけて東京ドームへと乗り込む。リーグ犠打数1位のつなぐ野球はこの日も健在。4つの送りバントを成功させ、得点につなげた。打線にブレーキをかけるような“逆シリーズ男”になる打者も存在しなかった。また2戦でファーストステージを終えたことにより、10勝カルテットのうち野村祐輔(12勝)、大竹寛(10勝)を使わずに巨人戦へ臨めることも大きい。“赤ヘル旋風”が秋に嵐を巻き起こすか。巨人とのファイナルステージは16日に開幕する。