今季から栃木ゴールデンブレーブスのキャプテンを務める野崎新矢です。元気に声をガンガン出してチームを引っ張るようにして、それで栃木を溌剌としたプレーが売りの球団にしたいです。結成1年目の昨季からその辺りはできていましたが、より元気で明るいチームにしたいですね。

 

  NPBへの距離を実感

 最初は「大卒2年目、若造の僕がキャプテンでいいのか」と思いました。年上の選手もたくさんいるし、NPBからやって来た選手や外国人もいる。意見を言うにしてもプレッシャーでしたが、思っていた以上にひとつにまとまっています。外国人選手もNPBから来た選手も声を出してくれるし、非常にいい雰囲気です。これでチームの成績をもっと上向きにできたらいいですね。

 

 今季、ウチには村田修一さん、飯原誉士さんと元NPB選手が入団しました。見ているだけで勉強になるのはもちろんですが、言葉のひとつひとつが本当に説得力があります。

 

 村田さんには「バッティングと同じく、守備も準備を早くすることが大切だ」と言われました。打球が来てから動くのではなくてその前に状況を考えて準備しておけ、と解釈しています。飯原さんは僕がセンターを守っていると、ライトからよく声をかけてくれます。1球ごと、カウントごとに細かく守備位置を指示されるのは目からウロコでした。

 

 あと出塁したときには「リードはギリギリまで出ろ」と言われますね。目一杯リードしているつもりでしたが、飯原さん曰く「まだ出られる、もっと行ける」と。僕もNPBへ行くために走力でもアピールしたいと思っているので、本当に役立つアドバイスばかりです。

 

 村田さん、飯原さんが最初に来たときには「おお、村田だ。飯原だ」とNPBの選手に対する憧れの目で見ていた部分もありました。それがそのうちに見習うべき先輩になり、そして現在は越えるための壁のようなものだと思っています。

 

 NPBに行きたいと思っていましたが、はっきりと今の自分がNPBからどれくらいの距離にいるのか。2人を見てそれが分かりました。「想像以上に遠いな」というのが正直なところですが、せっかく身近にいるので2人からもっともっと様々なことを学んでNPBに進みたいですね。

 

 NPBに行くために自分のアピールポイントは守備と足=走塁だと考えています。走りに関してはまだまだレベルアップが必要ですが、足をアピールするためには出塁しなきゃいけない。そうなると打力もアップしないと……まだまだ課題は山積みですね。

 

 足に関しては高校まではそんなに俊足ではなかったんですよ。中学時代に陸上部にいたときも専門は長距離でした。だから短距離はどちらかというと苦手な方だった。それが高校の野球部で体の見た目の印象で監督を含めて周囲から「俊足キャラ」にされたんです(笑)。「いやいや、ちょっと待って」という感じでしたが、不思議と周囲から「俊足、俊足」と言われていると「自分って足が速いんじゃねーの」と思い込めるようになった。結果、それで塁間など短距離のタイムも速くなったという感じです。盗塁には勇気が必要と言われますが、そもそも祭り上げられた形の俊足キャラなので、勇気は誰にも負けませんね。

 

 BCリーグに入って驚いたのは、選手たちの考え方が"プロ"だったことです。当然といえば当然ですが、学生野球と違って、こっちは野球が仕事。全員が点を取る確率を1%でも上げるために考えて野球をやっています。ピッチャーの投げるボールのキレもすごかったし、上のレベルの野球というのはこういうものなのか、と驚き、そして嬉しくなったものです。今、まだNPBは遠い存在ですが、さらに高いレベルでプレーをしてみたいですね。そのために背番号25、村田さんを追いかけ、そして追い越したいです。

 

 栃木の新キャプテンとして頑張りますので、今季も応援よろしくお願いします。

 

<野崎新矢(のざき・しんや)プロフィール>栃木ゴールデンブレーブス主将
1994年5月25日、三重県出身。栃木県に引っ越した小学4年時から野球を始め、ピッチャーとショートを務めた。ヒジの故障で中学1年、2年は野球を封印し、陸上部で長距離選手として活動。中3でリトルシニアに入り野球を再開、ポジションは以後、プロ入りまでショート。大田原高校に進学し、高2春に県大会に優勝、関東大会に出場した。その余勢をかって出場した高2夏の県大会だったが1回戦で宇都宮商に敗れた。千葉工業大では千葉大学リーグ2部で戦い、卒業後、トライアウトを受けてBCリーグ・栃木に入団。プロ入り後はサードとともにセンターの守備にもつく。右投左打。身長177センチ、体重70キロ。


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