26日、プロ野球日本シリーズが開幕した。両先発の好投でゼロ行進が続く中、5回表、巨人がそれまで1安打に抑えられていた楽天先発の則本昂大から長野久義がタイムリーを放ち、1点を先制。さらに8回表には主砲・村田修一のダメ押し弾で2点目を挙げた。投げては先発の内海哲也が6回まで無失点に抑え、7回以降はマシソン、山口鉄也、西村健太朗の必勝リレーで逃げ切り、初戦を制した。

◇第1戦
 内海、6回無失点の好投(楽天3勝1敗、Kスタ宮城)
巨人      2 = 000010010
東北楽天   0 = 000000000
勝利投手 内海(1勝0敗)
敗戦投手 則本(0勝1敗)
セーブ   西村(1S)
本塁打  (巨)村田1号ソロ
 創設9年目にして初の頂上決戦に挑む楽天と、2年連続23度目の日本一を狙う巨人。日本プロ野球界では最も新しい球団と、最も歴史のある球団との初顔合わせとなった今シリーズの開幕戦は、1点を争う投手戦となった。

 東北楽天の先発は、エース田中将大ではなく、ルーキー則本。ルーキーでの日本シリーズ開幕先発は61年ぶり3人目となった。その則本はスタンドを埋めつくしたファンが見守る中、簡単に2死を取ると、阿部慎之助を死球で出すも、伝統ある巨人の4番に座る村田修一をインローの直球でセンターフライに打ち取り、まずまずの立ち上がりを見せた。一方、昨年の日本シリーズでMVPに輝いた内海も、エースらしい落ち着いたピッチングで、きっちりと3人で楽天打線の攻撃を終わらせた。

 2回表、2死無走者から広島とのクライマックスシリーズファイナルステージでは大事なところでヒットを放ち、復調の兆しを見せた坂本勇人が両チーム合わせて初安打を放つ。さらに続く亀井義行が四球で出塁し、一、二塁と先制のチャンスをつかんだ。しかし、橋本到は則本のスライダーをひっかけ、ファーストゴロに倒れた。その裏、先頭のジョーンズが四球で出塁するも、後続が続かず。楽天も無得点に終わった。

 則本は回を重ねるごとに、すごさを増していった。3回表は長野久義をフォークボールで空振り三振に切って取ると、寺内崇幸を直球で詰まらせて一塁へのフライに。最後は阿部から150キロ、伸びのある速球で空振り三振を奪った。続く4回表には村田、高橋と2者連続でフォークボールで空振り三振を奪って2死を取ると、ロペスには高めの直球でセカンドフライに打ち取った。一方、内海も2回以降は毎回ランナーを背負うも、要所を締める粘りのピッチングで楽天打線を封じた。試合はゼロ行進が続いたまま、中盤へと入った。

 ようやく均衡が破れたのは5回表だった。この回、楽天は思わぬかたちでピンチを招いた。先頭の坂本の一、二塁間を抜けるかと思われた打球をファーストの銀次が飛びついて好捕した。ところが、これを一塁に送球するも、ベースカバーに入った則本との連携が合わず、アウトにすることができなかった。続く亀井には二塁打を打たれ、無死一、三塁となる。ここで橋本の打球はセカンドへ。すかさず三塁ランナーの坂本がホームを狙うも、セカンドの藤田がその坂本をホームで刺した。しかし、なおも1死一、三塁。ここで則本に2打席連続で完璧に抑えられていた長野が、アウトコースの直球にうまくバットを当てる。打球は一、二塁間を抜けてライトへ。三塁ランナー亀井が返り、巨人に待望の先取点が入った。さらに2死後には阿部が四球で出塁し、満塁とした。しかし、村田は前打席と同じく、フォークで空振り三振に倒れた。

 なんとか最少失点で抑えた則本。力投を続けるエースを援護したい楽天打線はその裏、松井稼頭央が内野安打で出塁すると、嶋基宏がバスターで三遊間へ。これを捕球したショート坂本が間に合わないタイミングにもかかわらず、一塁へ送球する。これを見た一塁ランナー松井はすかさず三塁を狙うも、ファーストのロペスからの送球でタッチアウトとなる。それでも楽天は、続く聖澤が送りバントを決めて、ランナーをスコアリングポジションに進めた。しかし、岡島はレフトフライに倒れ、またもランナーを返すことができなかった。楽天は6回裏も2死一、二塁と一打同点のチャンスをつくるも、あと一本が出ない。

 巨人は7回から磐石の必勝リレーに入った。しかし、楽天がその“勝利の方程式”を崩そうと、粘りを見せる。まずは7回裏、マシソンに対し、先頭の松井がストレートの四球で出塁すると、嶋は送りバントを決めて、1死二塁した。聖澤は見逃し三振に倒れるも、岡島も四球で出塁し、2死一、二塁とする。しかし、最後は藤田がマシソンの153キロの速球をバットに当てることができず、空振り三振に倒れた。

 なかなか味方打線から援護をもらえない則本だったが、集中力をまったく切らすことなく、好投を続ける。6、7回は三者凡退に切ってとった。ところが8回表、その則本からここまで2三振含む3打席無安打と抑えられていた村田が初球、149キロ外角高めの直球を完璧にとらえ、ライトスタンドへ。主砲の貴重な一発で、巨人がダメ押しとなる2点目を挙げた。

 その裏、巨人のマウンドには山口鉄也が上がった。2死後、その山口にマギー、代打・牧田明久が連打を浴びせ、一、二塁とした。ここで松井が山口のスライダーをうまくとらえ、打球はレフトスタンドに向かって伸びていった。誰もが逆転3ランかと思われたが、この打球を巨人のレフト亀井がフェンスぎりぎりでジャンピングキャッチ。楽天は巨人の好守備に阻まれ、またも得点を奪うことができなかった。

 そして9回裏、巨人は不動のクローザー西村健太朗がマウンドへ。その西村に対し、先頭の嶋が内野安打で出塁し、最後の粘りを見せる。1死後、岡島はショートゴロに倒れるも、ショート坂本からの送球がセカンド寺内のグラブを弾き、一、二塁となる。続く藤田の打球はボテボテのショートゴロに。万事休すかと思われたが、一塁はセーフとなり併殺崩れで2死ながら一、三塁となった。しかし、最後は銀次がセカンドゴロに倒れ、ゲームセット。この日の楽天には最後までホームが遠かった。

 東北で初めて開催された日本シリーズの開幕戦は、4安打ながら少ないチャンスをモノにし、投げては投手陣が要所を締めた巨人が逃げ切るかたちで勝利を手にした。明日の第2戦は、楽天はエース田中、巨人はルーキー菅野智之の先発で行なわれる。