東京都と日本オリンピック委員会(JOC)は、14〜15日の2日間、国際オリンピック委員会(IOC)と合同で2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた実務者会議「オリエンテーションセミナー」を開催した。日本側からは14日に208名、15日に71名の延べ279名が出席した。最終日には都内で会見を開き、オリエンテーションセミナーの報告が行なわれた。JOCの竹田恒和会長が「大変有意義な2日間だった」と振り返れば、IOCのジルベール・フェリ五輪競技大会エグゼクティブディレクターは「2日間で東京大会の関係者、ステイクホルダーの方々と時間を共にし、五輪・パラリンピックの運営に関わる知識を共有した。迅速なスタートを東京が既にとっていることに関して、嬉しく思っております」と語った。20日にはIOCのトーマス・バッハ新会長の来日が予定されている。
(写真:充実のセミナーを終え握手するフェリ氏<左>と竹田会長)
「招致もオールジャパン体制で勝ち取った。組織委員会もオールジャパンで、皆様の力をお借りしながら運営していきたい」
 竹田会長は12年のロンドン五輪に倣い、意思決定機関ではないが、組織委員会に意見を伝える「オリンピックボード(仮称)」を作っていくつもりだと明かした。「コーチとしてここ来ているという」フェリ氏は組織委員会について「迅速で適切な対応をするためには柔軟性が必要」とアドバイス。組織委員会は来年2月に発足する予定だ。

 新国立競技場の建設は当初の試算1300億円よりも2倍に膨れ上がっているとの報道に対して、竹田会長は「現在検証中。(報道で)出ている数字よりは少ないと思う。まだ見積もりは出ていない」と話すにとどまった。建設計画の見直しには「縮小すると書かれているが、IOCと公約したサイズ、可動式の座席、全天候型。こういった競技に直接関わるところの変更はない」と、付帯的な施設に関しては縮小することはあっても、収容人数(8万人)などに変更はないと断言した。

 また北京五輪以来の復活が噂されている野球・ソフトボールに関しては、フェリ氏は「実施競技に関しては28で決まっている」と答えため、競技復活の可能性は低いと見られる。ただし「種別、種目に関してはリオデジャネイロ五輪後に調整もあり得る」と示唆した。

 フェリ氏は「20年大会までにどのように変わっていくか」との質問に「進化を先取ることが必要。国民を巻き込まなくてはいけない。色々な変化を取り入れていただきたい」と答えた。竹田会長は「新たな決意、熱意を持って、五輪ムーブメントの歴史に新しい1ページを作れるように、今後もIOCと連携をとりながら成功に向けて努力をしていきたい」と、意気込みを語った。ビジョンである「スポーツの価値を次世代に、世界に伝える」ことは、開催準備とともに進めていかなくてはならない。招致レースを前半戦とするならば、現在は開催というラストスパートまでの繋ぎの区間。その足を止めることなく、7年後、あるいはその先のゴールへと駆け抜けたい。

(文・写真/杉浦泰介)