四国アイランドリーグplus前期シーズン、香川オリーブガイナーズの優勝が決定しました。最後、マジック2になった5月31日、ウチは試合がなく高知ファィティングドッグスの結果を見守っていました。まさかダブルヘッダーで高知が1敗1分となるとは思ってもみませんでした。選手たちは戦って決めたかったという思いがあったでしょうが、まずは前期優勝できてホッとしています。


 ですが、まだこれからですよ。独立リーグ日本一を目指して、インターバルでは各選手は良かったところ、悪かったところを見直して、より成長してほしい。それにまだ前期3試合残っています。そこをきちんと戦って、その後、優勝の余韻に2日程浸ってもらって、そこからは後期目指してスタートです。

 

 燃えながらも平常心

 では、前期の戦いを振り返りましょう。
 毎年、アイランドリーグはどのチームもホームランをバカスカ打って勝つよりも投手力を軸にして勝ち抜くスタイルです。うちも投手陣を軸にして、加藤次郎、ペドロ・シリアコ、妹尾克哉らの堅い内野守備で守り抜くというスタイルでした。

 

 打線は水物と言われて元々計算はしにくいものですが、今季は4番クリスの調子がなかなか上がらずに苦労しました。ただ彼も後半は当たりが徐々に戻ってきたし、クリスの穴は具志堅竜馬、白方克弥らが埋めて打線をつなげることができました。

 

 優勝争いをして、そしてマジック点灯という状況で選手が優勝を意識するのは仕方がありません。でも、その状況の中で集中して野球をやっていましたね。去年、後期Vもそうでしたが、優勝争いという状況でやはり選手は成長するものです。とはいえ高知ともども、四死球からの失点などもありました。残り10ゲームを切ったあと、プレッシャーの下での戦いはミスを減らしていかに戦うかが大事だと再認識したことでしょう。

 

 投手陣では今季から原田宥希を先発から抑えに転向させました。最初は調整法やピッチングも含めて先発と抑えの違いで戸惑っていたようですが、試合を重ねるごとに慣れてきて、安定感のあるピッチングを見せてくれました。絶対的守護神ですが、とはいえ4連戦で4連投をさせるわけにはいきません。そういうときは又吉亮文、ライアン・リチャードソンをうまく使って、展開次第では彼らに抑え役を任せるなど、うまくブルペンを回すことができました。

 

 先発投手では秀伍が大活躍でした。5月までに4勝をあげてチーム躍進の原動力になりました。5月9日、試合前の練習中にボールが右頬を直撃。顔の骨を3カ所骨折しましたが、本人が戦線離脱を避けて手術をせず、3日後には先発のマウンドに上がりました。気持ちでケガをフォローしているんでしょうが、投げる分には痛みはないと本人は言っていて、我々としても意気に感じています。

 

 残り10試合を切ったあとは短期決戦なので、ベンチは継投のタイミング、代打に誰を出すかなど、あらゆる最善手を打ち続けることが求められましたね。ピッチャーはそのときの調子を見極めて、代打は相手ピッチャーとの相性を考えて起用したり、優勝に向けて燃えてはいるんですが、平常心を保ちながら冷静でいなきゃいけなかった。選手もよくその起用に応えてくれました。

 

 最後の最後、優勝争いのプレッシャーの中で選手は「なるようになれ」という開き直りも大事になってくるんですよ。そうしたことも含めて、優勝したというのはいい経験でしょうね。

 

 これから後期も優勝を目指し、プレーオフを視野に入れて選手の育成にも力を入れて、そして何よりも球場に足を運んでいただけるような面白い香川の野球を見せていきたい。香川の球団として結果を残すことが、地域貢献にもつながっていきますからね。これからもオリーブガイナーズの応援をよろしくお願いします。

 

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