強力な2トップを擁するウルグアイが頭一つ抜けた存在だ。2位争いは“史上最弱の開催国”と言われるロシアとエジプトの2カ国になるだろう。

 

 ウルグアイはタレントが揃っている。前線のルイス・スアレス(バルセロナ)とエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)のコンビは強力だ。前者はラ・リーガで33試合25得点を記録。後者はリーグアンで32試合28ゴールと、ともに充実したシーズンを送った。激しい守備からボールを絡め取り、素早く2トップにボールを送るシンプルな戦術は基本に忠実ながら、迫力満点だ。

 

 派手な2トップに目がいきがちだが、その他の人材も充実している。左足で鋭いクロスを供給するサイドアタッカーのクリスティアン・ロドリゲス(ペニャロール)、中盤の底からチームを支えるマティアス・ベシーノ(インテル)、チームの精神的支柱でベテランセンターバックのディエゴ・ゴディン(アトレティコ・マドリード)らがいる。2トップはパワフルながらも依存することはなさそうだ。トータルバランスの取れたウルグアイは、グループAの大本命で間違いない。ベスト4まで駆け上がるように勝ち進んだ南アフリカ大会の再現は十分に可能である。

 

 対抗にはロシアをあげる。タレント不足は否めないが地の利を生かしたい。中盤がワンボランチ、ダブルトップ下の3-5-2が基本システムになりそうだ。ダブルトップ下を務めるのはCSKAモスクワ所属のアラン・ジャゴエフとアレクサンドル・ゴロビン。この2人が自由に動き相手DFを混乱させ、持ち前のテクニックを発揮できればゴールへの活路が見いだせるはず。“史上最弱の開催国”の汚名返上となるか。

 

 大穴はエジプトだ。この国は正直、モハメド・サラー(リバプール)頼みの感が否めない。今季のリーグ戦で36試合32ゴールをあげ、プレミアリーグ記録を更新した“英雄”は5月27日(日本時間)のUEFAチャンピオンズリーグ決勝で肩の靭帯を捻挫。W杯初戦のウルグアイ戦には間に合うかは微妙だが、2戦目以降は出場が見込めるとのこと。右ウィングのサラーの守備の負担を減らし、いかに攻撃に専念させるかがエジプト躍進のカギとなるだろう。

 

◎ウルグアイ

○ロシア

▲エジプト

 サウジアラビア

 

(文/大木雄貴)

 

 ウルグアイ、GL突破濃厚 残り1枠を3カ国が争う

 

 ウルグアイのグループリーグ(GL)突破は堅いだろう。2度の優勝を誇る古豪は、ここ2大会は連続で決勝トーナメント進出を決めている。エースのルイス・スアレス(バルセロナ)とエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)の2トップは破壊力抜群。控えにもクリスティアン・ストゥアニ(ジローナ)、マキシ・ゴメス(セルタ)と人材は豊富だ。カバーニはリーグ・アン得点王(28得点)。スアレスは25得点、ストゥアニは21得点、ゴメスは17得点をラ・リーガで挙げている。

 

 攻撃陣にタレントが揃うが守備の堅さも光る。ブラジルに次ぐ2位で突破した南米予選では 18試合中8試合が無失点。ホームでアルゼンチン、コロンビアという攻撃力の高い国を相手もゼロで抑えた。ディエゴ・ゴディンとホセ・ヒメネスで組むセンターバックはUEFAヨーロッパリーグ王者のアトレティコ・マドリードの堅守を支えた。これにガラタサライの守護神フェルナンド・ムスレラが最後の砦として立ち塞がる。こじ開けるのは容易ではない。

 

 グループ分けにも恵まれたウルグアイ。オスカル・タバレス監督は2006年に2度目の就任を果たしてから10年以上の長期政権を築いている。主力メンバーも大きくは変わっておらず、熟成度という点でもグループ内で抜きん出ている存在である。早々にGL突破を決めれば、決勝トーナメントに向けて選手温存も可能だ。4位に入った2010年南アフリカ大会以来の躍進も見えてくるだろう。

 

 実質、残り1枠をロシア、エジプト、サウジアラビアの3カ国で争うことになるはずだ。地元ロシアは史上2カ国目となる開催国のGL敗退は避けたいところである。開幕戦のサウジアラビアに戦で白星を掴み、流れに乗りたい。ここで勝ち点3を逃すようであれば、決勝トーナメント進出に黄信号が灯る。

 

 エジプトはUEFAチャンピオンズリーグ決勝で肩を負傷したFWモハメド・サラー(リバプール)の状態が気がかりだ。アフリカ予選で出場5試合5得点を挙げたエースは最終メンバー入り。万全と言えない中で、どこまでチームを引っ張っていけるか。3大会ぶりの出場となったサウジアラビアはW杯出場決定後に監督が代わるなどピッチ外のゴタゴタが目立つ。決勝トーナメント進出は厳しいか。

 

◎ウルグアイ

○ロシア

▲エジプト

 サウジアラビア

 

(文/杉浦泰介)