ポルトガル、スペインのグループリーグ突破は確実。問題はどちらが1位で抜けるかだ。スペイン優位の声もあるが、ポルトガルを本命にあげる。

 

 エースのクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)の相棒が台頭したことは大きなプラス材料だ。それはアンドレ・シウバ(ミラン)である。この22歳の若者はポルトガルが優勝したEURO2016以降に脚光を浴びた。ヨーロッパ予選でも10試合に出場し9ゴールをマーク。C・ロナウドの相棒問題を解決してみせた。もちろん、強烈な個の能力を有するC・ロナウドも健在。33歳だが今大会屈指のストライカーである。円熟期を迎え、より効率よく得点を奪う彼のプレーに注目だ。

 

 他の若手もはつらつとしている。EURO2016で活躍したジョアン・マリオ(ウェストハム)とベルナウド・シルバ(マンチェスター・シティ)の両サイドハーフが仕掛ける攻撃は見るものを魅了する。

 

 ポルトガルの基本システムは4-1-3-2。不安定になりそうなこのシステムのバランスをとっているのは31歳のトップ下ジョアン・モウチーニョ(モナコ)だ。テクニックはもちろん、卓越した戦術眼を持つプレーメーカーが状況に応じてワンボランチを務めるウィリアム・カルバリョ(スポルティング)のサポートに回る。このシステムの肝はモウチーニョのポジショニングにかかっていると言ってもいいだろう。

 

 ボールを保持できるメンバーがそろっていながらEURO2016を制した時のようにドリブラーの能力を生かしたカウンターサッカーにも切り替えられることができる。パスに手詰まっても攻めきれるダイナミックな攻撃をロシアの地でも見たいものだ。

 

 とはいえ、スペインの布陣も相当豪華だ。ヴィッセル神戸に加入が決まったアンドレス・イニエスタ、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)らが中盤を支える。だが、前回のブラジルW杯での予選敗退、これだけの戦力を有してもEURO2016でもベスト16で敗退してしまった。“テクニシャン過多”の傾向が強く個人能力で状況を打開できる選手がいない。そのため相手が守備に人数を割いてくるとパスサッカーが停滞を招いてしまう恐れもあるので本命ではなく対抗とした。

 

◎ポルトガル

○スペイン

 モロッコ

 イラン

 

(文/大木雄貴)

 

 無敵艦隊復活なるか 優勝候補が初戦で激突

 

 グループBはスペインとポルトガルの2強の構図だ。グループリーグ(GL)第1節から直接対決が見られる。イベリアダービーと呼ばれる両国の対戦はスペインの通算16勝6敗13分け。直近の試合ではEURO2012準決勝以来だ。この時はスペインがポルトガルをPK戦の末、下している。

 

 優勝候補として、その先の戦いを見据えるスペインとポルトガルにとっては、初戦でライバルに勝てば勢いに乗れる。引き分けでも御の字と言え、例え敗れたとしてもダメージは大きくはない。

 

 スペインは2014年ブラジルW杯でGL敗退。EURO2016ではベスト16に終わった。その後、フレン・ロペテギ監督が就任し、再起を図った。指揮官はアンダーカテゴリーの代表を率いていたこともあり、ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン・ミュンヘン)、イスコ(レアル・マドリード)ら当時の若手たちを起用するなど世代交代に着手した。W杯ヨーロッパ予選ではイタリアと同組ながら9勝1分けで危なげなく突破。無敵艦隊は意気揚々とロシアへと上陸を果たした。

 

 どのポジションにも大きな穴は見当たらない。中でも中盤の人材はセルジオ・ブスケツ(バルセロナ)、アンドレス・イニエスタ(バルセロナ)、ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)、イスコらと豊富である。華麗なパスサッカーが持ち味のスペイン。フィニッシャーはアトレティコ・マドリードで復調したジエゴ・コスタが担う。

 

 ポルトガルは世界屈指のストライカーであるクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)がチームの命運を握っている。ヨーロッパ予選ではチームトップの15得点。所属先では今季国内リーグで26得点を挙げた。UEFAチャンピオンズリーグでは15得点を挙げ、3連覇に導いた。33歳となった今も、その決定力の高さは健在だ。

 

 だが以前よりもエースへの依存度が小さくなったことも事実。EURO2016決勝はC・ロナウドが前半で負傷交代したものの、地元フランスを破って初優勝を成し遂げた。今大会のヨーロッパ予選では22歳のアンドレ・シウバ(ミラン)がC・ロナウドに次ぐ9得点を挙げるなど若手の成長も見られる。

 

 イランとモロッコは2強のどちらかを引きずり下ろせるかに決勝トーナメント進出がかかっている。イランのカルロス・ケイロス監督は元ポルトガル代表指揮官。レアル・マドリードで指揮を執った経験もある。情報網を生かし、FIFAランキングではアジア最上位国のイランがアップセットを起こせるか。

 

◎スペイン

○ポルトガル

▲イラン

 モロッコ

 

(文/杉浦泰介)