「日本プロ野球コンベンション2013」が26日、都内で開催され、今季活躍した選手などが表彰を受けた。最優秀選手(MVP)にはパ・リーグでは開幕から無傷の24連勝を収め、球団初のリーグ優勝、日本一の立役者となった田中将大(東北楽天)が選ばれた。セ・リーグのMVPにはシーズン最多本塁打記録を49年ぶりに更新(60本)したウラディミール・バレンティン(東京ヤクルト)が選出された。また、最優秀新人はセ・リーグは最多勝(16勝)と最高勝率(.800)の2冠を獲得した小川泰弘(ヤクルト)、パ・リーグは15勝をあげた則本昂大(楽天)に決まった。
(写真:最下位チームから史上初のMVPに輝いたバレンティン)
 正力松太郎賞(特別賞)、沢村賞、ベストナイン、最優秀防御率、最高勝率、最多勝……。パ・リーグのMVPは、タイトルをほぼ総なめにし、優勝へ導いた右腕が文句なしの受賞だ。今季の田中はレギュラーシーズンで28試合に登板。日本記録を塗り替えるシーズン24連勝をマークし、勝率10割という驚異の成績を残した。しかもリーグV、クライマックスシリーズ突破、日本一の瞬間はすべて締めくくり役を務め、まさに田中のシーズンと言える2013年だった。

 記者による投票(有効票数233)では全員が1位に投じた。初のMVPとなる田中は壇上で「投手、野手でひとりしか受賞できない賞をいただき、感謝している。チームがリーグ優勝、日本一と最高の結果を残せた中で、チームのピースとなり、仕事ができた」とコメント。「1年、ローテーションを守って投げられたのが一番良かった」と充実の今季を振り返った。

 一方、セ・リーグのMVPは、優勝した巨人からではなく、最下位・ヤクルトのホームランキングが選ばれた。今季のバレンティンは開幕はケガで出遅れながら、復帰後はアーチを量産。8月には18本塁打を放って月間最多記録を更新すると、9月15日の阪神戦で前人未到の領域となる56号、57号を連発した。

 投票では273の有効投票数のうち、1位票を200票集め、巨人の村田修一、阿部慎之助らに大差をつけた。優勝チーム以外からMVPが出るのは、セ・リーグでは1974年に2年連続3冠王に輝いた王貞治(巨人)以来。パ・リーグを含めても最下位球団の選手が選ばれたのは初となる。バレンティンは「最下位からこの賞をいただけたのは特別」と語り、最後は「アリガトウゴザイマス」と日本語で受賞スピーチを締めくくった。

 新人王もMVP同様、パは楽天、セはヤクルトから誕生した。則本は三重中京大から今季、楽天入り。新人ではリーグで55年ぶりとなる開幕投手に抜擢されると、エース田中に次ぐ先発の柱として勝ち星を重ね、優勝に貢献した。則本は「人生で1度しか獲れないこの賞を目指して頑張ってきた。素晴らしい賞をいただけて本当にうれしい」と受賞を喜び、「来年も2ケタ勝てるように努力したい」とさらなる飛躍を誓った。

 小川は今季、創価大からヤクルトに入団。ノーラン・ライアンばりに足を大きく上げるダイナミックなフォームで最下位に沈んだチームにおいてエース級の働きをみせた。身長171センチとプロ野球選手としては小柄なだけに、「体が小さくてもやれることを証明したかったので本当に良かった」と1年目での勲章に満足そうな表情。シーズンを通じて安定した結果を残せた点については「1日1日を大切に悔いのないように戦ってきたことが良かった」と振り返った。

 そのほかの受賞者は次の通り。

【セ・リーグ】
<ベストナイン>
投手  前田健太(広島) 3年ぶり2度目
捕手  阿部慎之助 (巨人) 7年連続8度目
一塁手 トニ・ブランコ(横浜DeNA) 2年連続3度目
二塁手 西岡剛(阪神) 初(パ・リーグの遊撃手で3度)
三塁手 村田修一(巨人) 2年連続3度目
遊撃手 鳥谷敬(阪神) 2年ぶり4度目
外野手 ウラディミール・バレンティン(東京ヤクルト) 2年連続2度目
     マット・マートン(阪神) 2年ぶり3度目
     長野久義(巨人) 3年連続3度目

<最優秀監督賞>    原辰徳(巨人)
<スピードアップ賞>  阿部慎之助(巨人)
<特別功労賞>     前田智徳(広島)
               宮本慎也(東京ヤクルト)
<特別賞>        廣瀬純(広島) 15打席連続出塁の日本新記録達成
<新人特別賞>     菅野智之(巨人)
               藤浪晋太郎(阪神)

【パ・リーグ】
<ベストナイン>
投手    田中将大(東北楽天) 2年ぶり2度目
捕手    嶋基宏(東北楽天) 3年ぶり2度目
一塁手  浅村栄斗(埼玉西武) 初
二塁手  藤田一也(東北楽天) 初
三塁手  ケーシー・マギー(東北楽天) 初
遊撃手  鈴木大地(千葉ロッテ) 初
外野手  長谷川勇也(福岡ソフトバンク) 初
       内川聖一(福岡ソフトバンク) 3年連続3度目(セ・リーグの一塁手、同外野手で各1度)
       中田翔(北海道日本ハム) 初
指名打者 ミチェル・アブレイユ(北海道日本ハム) 初

<最優秀監督賞>   星野仙一(東北楽天)
<スピードアップ賞> 栗山巧(埼玉西武)


<正力松太郎賞>       星野仙一(東北楽天) 10年ぶり2度目
<正力松太郎賞(特別賞)> 田中将大(東北楽天) 
<沢村栄治賞>        田中将大(東北楽天) 2年ぶり2度目