グループCの本命は、優勝候補のフランスだ。EURO2016で大会MVP&得点王に輝き、チームを準優勝に導いたアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)がチームのエースだ。彼がセカンドトップの位置に入り、相手DFとボランチの間で巧みにボールを受け、敵を混乱させるだろう。また繊細かつ豪快な左足のシュートは美しさと爽快さを感じさせる。27歳のレフティーはロシアの地で芳醇の時を迎える。

 

 EURO2016以降、若手サイドアタッカーも頭角を現した。キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)とトマ・ルマール(モナコ)だ。19歳のエムバペの代表デビューは昨年3月。快速ドリブルを武器に瞬く間にフランス代表にとって欠かせない存在になった。代表では右サイドが主戦場だが、センターフォワードとしても機能する。ルマールはサイドに張るより中に入って仕事をするチャンスメーカーだ。得意の左足から放たれるスルーパスで前線を操る。

 

 そして圧倒的なフィジカルとテクニックを兼ね備えるポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)がセンターハーフとして君臨する。強烈なミドルよし、ボール奪取よしのマルチなプレイヤーだ。彼らに大きなアクシデントがなければ、シャンパンサッカーで世界の頂点に立つ可能性は高い。

 

 対抗にはペルーをあげる。約10年、ペルー代表の最前線を務めていたパオロ・ゲレーロ(フラメンゴ)がドーピング違反による処分が解けて代表復帰を果たした。34歳になった今でもゴールへの嗅覚は衰えていないはずだ。ペルー代表歴代最多得点者として今大会でもストライカーの役割を全うする。

 

 中盤でタクトを振るうクリスティアン・クアバ(サンパウロ)にも注目だ。ブラジルの名門の10番を背負う。169センチと小柄ながら創造性あふれるプレーでゲームに変化をつけられる。不動のトップ下として南米予選でもチーム最多出場した。

 

 大穴にあげるデンマークの大黒柱はクリスティアン・エリクセン(トッテナム)だ。ヨーロッパ予選で11ゴールを奪い獅子奮迅の活躍を演じた。彼のマークをいかに分散させるかがデンマークの最大のテーマとなる。

 

◎フランス

○ペルー

▲デンマーク

 オーストリア

 

(文/大木雄貴)

 

 タレント揃いのフランス、安定感のデンマーク

 

 優勝候補に挙げられるフランスがグループ内では抜きん出ている。2年前、自国開催のEURO2016で準優勝。当時の主力は今も健在だ。エースのアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)、中盤のポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、守護神のウーゴ・ロリス(トッテナム)は代表の中核を担っている。さらには守備的MFエヌゴロ・カンテ(チェルシー)、センターバックのラファエル・ヴァラン(レアル・マドリード)で固めるセンターライン。守備力は以前より増した印象がある。

 

 ヨーロッパ予選はスウェーデン、オランダ、ブルガリアらと出場権を争う厳しいグループに入った。それでも7勝2分け1敗でトップ通過を果たした。1998年以来の戴冠を目指すフランスは若手の台頭も著しい。19歳のキリアン・エムペバ(パリ・サンジェルマン)、21歳のウスマン・デンベレ(バルセロナ)、22歳のトマ・ルマール(モナコ)と活きの良いアタッカー陣を揃える。

 

 タレント軍団をまとめるディディエ・デシャン監督の手腕に期待が集まる。フランスは06年ドイツW杯での準優勝以降、EURO2008と10年南アフリカW杯はいずれもGL敗退。国際大会で低迷していた。12年にデシャンが監督に就任してからは、14年ブラジルW杯ベスト8、EURO2016準優勝と成績は上向きだ。98年のフランスW杯では主将として優勝トロフィーを掲げたデシャンが、指揮官としても“レ・ブルー”を王座に導けるか。

 

 対抗はデンマークを推す。80年代中盤から90年代にかけて、ミカエルとブライアンのラウドルップ兄弟を擁し、“ダニッシュ・ダイナマイト”と恐れられた時のような爆発力はない。それでも司令塔クリスティアン・エリクセン(トッテナム)を軸としたチームは安定感がある。世界的GKのピーターを父に持つ守護神のキャスパー・シュマイケル(レスター)、守備の要シモン・ケア(セビージャ)がおり、守りで大崩れはしないだろう。

 

 ペルーはエースがW杯に出場可能となったことは好材料だ。34歳のパオロ・ゲレーロ(フラメンゴ)は精神的支柱。復帰が与える影響は大きいだろう。盟友ジェフェルソン・ファルファン(ロコモティフ・モスクワ)とのコンビでゴールを量産できるかに決勝トーナメント進出はかかっている。4大会連続出場のオーストラリアは、初戦のフランス戦で勝ち点1でも、もぎ取れればグループリーグ突破も見えてくる。

 

◎フランス

〇デンマーク

▲ペルー

 オーストラリア

 

(文/杉浦泰介)