“チームのために最も貢献した魂あふれるプレー”に贈られる「ジョージア魂賞」の年間大賞表彰式が27日、都内ホテルで開催された。この賞は缶コーヒーブランド「ジョージア」がプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結して2010年に創設され、今季で4シーズン目となる。全12回に渡ってファン投票で選ばれた今季のジョージア魂賞の受賞プレーの中から、さらにファンの支持を集めたものが年間大賞に輝いた。栄えある今年度の年間大賞には田中将大投手(東北楽天)が8月16日(対埼玉西武)にみせた、新記録の21連勝を打ち立てた魂の投球に決まった。また当HP編集長・二宮清純ら6名の選考委員によってジョージア魂賞選考委員特別賞も決まり、こちらは菅野智之投手(巨人)が4月13日(対東京ヤクルト)にみせた好守備でチームに勝利をもたらせた投球が選ばれた。
(写真:田中には「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド」1年分と賞金100万円が贈呈された)
 前日のパ・リーグMVPに引き続き、またも大きな賞を獲得した。“チームのために最も貢献”という賞のコンセプトからいえば、今季の田中の働きぶりは文句なしの年間大賞だ。レギュラーシーズンではひとつも負けず、ひとりで24もの貯金をつくった。
「今年1年、自分自身もチームも今までで最高の結果を残すことができて、すごく良かった」
 楽天を創設初の優勝、日本一に牽引した大エースはシーズンを振り返り、喜びを口にした。

 年間大賞に輝くのは2011年以来2年ぶり2度目。だが、このオフは2年前を上回る受賞ラッシュだ。正力松太郎賞(特別賞)、MVP、沢村賞、ベストナイン、最優秀防御率、最高勝率、最多勝、ゴールデングラブ賞……。連日の式典出席にも、田中は「いろんなところで表彰されるのは選手としてうれしいこと。いいオフを過ごせている」と充実の表情をみせた。

 表彰ごとに記念品を受け取っており、今回は副賞とともに盾も贈られた。「しっかり保管して、いつか飾る部屋をつくれたらいい」と語るものの、“マー君ミュージアム”のコレクションは増える一方。賞金100万円の使い道について訊かれると、「缶コーヒーを買いたい」とリップサービスするあたりにスターの余裕が感じられた。

 このオフには新しいポスティングシステムによるメジャー挑戦が確実視されている。
「来季はより内容、質を求めていきたい」
 前人未到の領域に到達した右腕はさらなる高みを目指す。

 選考委員特別賞に選ばれた菅野のプレーは送りバントを阻止したフィールディングだ。1点リードの6回、無死二塁の場面で送りバントの構えをみせた相手バッターの胸元を突き、小フライをあげさせた。しかも、それをスライディングキャッチ。ランナーを進めさせず、自身とチームに勝利を呼び込んだ。
(写真:選考委員からの賞に「正直驚いている。プレーで評価してもらえたのは自信につながる」と話した菅野)

「バントをさせないのはピッチャーの基本。理想のかたちでアウトにできた」
 プレーの満足度を問われると「20000点くらい」と自画自賛した。今季は新人王こそ逃したが、13勝をあげて巨人の優勝に貢献。日本シリーズ第6戦では田中と投げ合い、今季唯一の黒星をつける好投をみせた。それでもシリーズ制覇は逃し、「挑戦者の気持ちを持って、日本一に挑戦したい」と早くも視線は来季を見据えていた。

 ファンも招待された表彰式でひときわ声援が飛んだのは巨人から中日へのFA移籍が決まった小笠原道大だ。6月5日の日本ハム戦では代打でサヨナラ3ランを放ち、第5回のジョージア魂賞を受賞したが、今季は入団以来、自己最低となる22試合の出場にとどまった。新天地での意気込みを問われると、「その一瞬に生きていくことの積み重ね。昨日より今日が良くなるようにやっていく」と静かに復活への決意を語った。 

 ジョージア魂賞が設けられて、4年目のシーズンを終え、日本コカ・コーラ株式会社の篠原幸治副社長は「野球は働いている人たちにとって毎日、毎日、元気をもらうもの。ジョージアも毎日、毎日、元気を与えていきたい」と今後も賞を継続していく考えを示した。日本プロ野球にとって来季は80年目のシーズン。節目の年にふさわしい魂のプレーが次々とノミネートされそうだ。

 年間大賞、選考委員特別賞以外の各回の受賞者と一言コメントは以下の通り。

第1回  巨人・脇谷亮太選手 復活の逆転打で、チームを開幕戦勝利に導く(3月29日、対広島)
「手術してもう2年になるが、1年間はリハビリ生活で家族とたくさんのファンが支えになった。来年も魂のこもったプレーをお見せできるよう頑張りたい」
第3回  北海道日本ハム・中田翔選手 チームの勝利に貢献した圧巻の本塁打(5月3日、対楽天)
「選んでいただいた試合ではプロになって初めて1試合3本のホームランを打ち、4番として勝利に貢献できた。来季もこの賞をいただけるよう、チームとファンの皆さんのために頑張りたい」
第4回  埼玉西武・菊池雄星投手 気迫の投球でチームの連敗をストップ(5月20日、対阪神)
「来年も気持ちを込めて投げ、1年間通して1軍にいられるように頑張りたい」
第5回  巨人・小笠原道大選手 サヨナラ本塁打を架けた魂のフルスイング(6月5日、対日本ハム)
「来年はチームが変わるので心機一転頑張りたい。勝敗以上に、まずはファンに活力が沸いてくるようなプレーをお見せすることが大事。ひとつの目標としてジョージア魂賞の年間大賞を獲りたい」
第6回  阪神・大和選手 サヨナラ勝利を呼び込む“打”での活躍(6月29日、対広島)
「来年はもっとチームの勝利に貢献できるよう、熱いプレー、魂のこもったプレーをしたい」
第7回  東北楽天・則本昂大投手 先発KO翌日の登板でチームの勝利呼ぶ好投(7月6日、対ソフトバンク)
「来季も今シーズン以上の活躍をしてチームに貢献したい」
第8回  福岡ソフトバンク・内川聖一選手 骨折していながらも放った魂のサヨナラ打(8月2日、対西武)
「魂という成績とは違う部分を評価していただいてうれしい。来年は日本一になって、この場にいたい」
第10回 巨人・長野久義選手 両リーグ最速70勝を呼び込むサヨナラ弾(8月29日、対阪神)
「今年は最後の最後で悔しい思いをした。来年は日本一になって、うれしいオフを過ごしたい」
第11回 東京ヤクルト・ウラディミール・バレンティン選手 勝利を呼び込んだ新記録樹立の2本塁打(9月15日、対阪神)
「今季は王貞治さんの持つ偉大な記録を超えることができ、選んでいただいた試合は一生忘れられない。記録を塗り替えただけでなく勝利に貢献できたことがうれしい」
第12回 広島・前田健太投手 発熱しながらも気迫の投球で巨人胴上げを阻止(9月21日、対巨人)
「今年、初めてCSに出られて、最後にジャイアンツに負けてしまった上に、2ケタカルテットのひとりを失うことになってしまった。来季はジャイアンツに勝ちたい」
(写真:勢ぞろいした今季の受賞者たち ※中田、バレンティンは欠席)


 なお、「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、選考委員のひとりでもある二宮清純の書き下ろしコラム「アナザースピリット 〜 チームを支える魂のプレー〜」のコーナーが好評連載中です。これまで惜しくも受賞は逃したものの、二宮が印象に残ったノミネートプレーを毎月1回ペースで選び、コラムを執筆してきました。今回は年間大賞受賞を記念し、田中投手について寄稿しています。

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