山縣、桐生らを選出 〜陸上ナショナルリレーチーム〜

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 2日、日本陸上競技連盟は来年5月に行なわれる第1回世界リレー選手権大会に向けた男女リレー(4×100、4×400)ナショナルチームを発足し、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで会見を行った。男子の代表には今夏の世界選手権に出場した山縣亮太(慶應義塾大)、桐生祥秀(洛南高)、飯塚翔太(中央大)らが順当に選ばれるなど計24名が、女子の代表は短距離エースの福島千里(北海道ハイテクAC)に加え、土井杏南(埼玉栄高)、杉浦はる香(浜松市立高)などジュニア世代のホープたち延べ14名が選出された。世界リレー選手権で8位入賞を果たせば、翌15年の世界選手権(北京)の出場権を獲得できる。日本陸連によるとナショナルチームは月1回のペースで国内外で合宿を行い、強化を進めていく方針だ。
(写真:日の丸を胸にポーズをとるナショナルチームメンバー<左から山縣、桐生、飯塚>)
「リオへの第一歩」。会見で日本陸連の原田康弘強化委員長はナショナルリレーチームの発足について、こう語った。
 5月にバハマで行われる世界リレー選手権。入賞以上で北京での世界選手権の出場枠を得ることができるため、「重要な意味を持つ、国際大会」と位置付けているという。

 現在、世界リレー選手権には男子は2種目とも参加標準をクリアしており、派遣は確実。メンバーは適性などを見ながらナショナルチームの中から選出する。女子に関しては、参加標準をクリアすることが当面の目標になる。ナショナルチームは来春のグランプリまでは、今回のメンバーで行き、その後は入れ替えもあることを示唆した。

 男子短距離部長の伊東浩司は、他競技の指導者からアドバイスを受け、チームしての和を高めるために合宿を中心とした強化を図るという。
 特に男子4×100メートルは北京五輪で銅メダルを獲得するなど、一番世界に近い種目と言っていい。伊東部長はリオデジャネイロ五輪での目標をこう明言した。「メダルに挑戦する。その輪の中に入りたい」

 一方の女子は「各選手迷走している。現状では世界と戦える位置にいない」と、瀧谷賢司女子短距離部長が話すように今夏の世界選手権は出場は見送られた。
「まずは中国に対抗できる力を持つこと。ここをクリアできないとリオは見えてこない」と厳しい表情で語る瀧谷部長。男子同様に月1回のペースで合宿を行う。4×100メートルのキャプテンには、低迷が続く福島を指名した。また瀧谷部長は「福島にもう一度戻って欲しい」と、来年2月にオーストラリアへの単身で派遣する考えを明かした。

 選手たちも身の引き締まる思いがあるようだ。日本選手権優勝を果たした山縣は「チームジャパンの一員であると自覚して、しっかり走りたい」と語れば、1つ年上の飯塚も「まずは世界リレー選手権で8位入賞し、日本を世界選手権に導きたい」と述べた。
 今年4月に10秒01を出し、陸上界を沸かせた桐生も「日本チームの一員となって記録を出せるように貢献したい」と抱負を語った。

 新たな船出を切ることとなった日本陸上界。リレーチームの強化によって、個人の成長につながれば一石二鳥と言える。北京での世界選手権、そしてリオデジャネイロ五輪へ向けて、リレー種目を日本のお家芸にしたい。

<ナショナルリレーチーム>
■男子24名
・4×100メートル
 山縣亮太(慶應義塾大)
 桐生祥秀(洛南高)
 塚原直貴(富士通)
 川面聡大(ミズノ)
 大瀬戸一馬(法政大)
 九鬼巧(早稲田大)
 江里口匡史(大阪ガス)
 小池祐貴(立命館慶祥高)
 飯塚翔太(中央大)
 小林雄一(NTN)
 高瀬慧(富士通)
 藤光謙司(ゼンリン)
 高平慎士(富士通)
 ケンブリッジ飛鳥(日大)
 橋元晃志(早稲田大)
・4×400メートル
 金丸祐三(大塚製薬)
 山崎謙吾(日大)
 石塚祐輔(ミズノ)
 渡邉和也(チームミズノ)
 廣瀬英行(富士通)
 小林直己(東海大)
 加藤修也(浜名高)
 木村淳(中央大)
 油井快晴(浜松市立高)

■女子14名
・4×100メートル
 福島千里(北海道ハイテクAC)
 渡辺真弓(東邦銀行)
 土井杏南(埼玉栄高)
 北風沙織(北海道ハイテクAC)
※神保祐希(金沢二水高)
 世古和(筑波大)
 藤森安奈(青山学院大)
 木村茜(大阪成蹊大)
・4×400メートル
 杉浦はる香(浜松市立高)
 大木彩夏(新島学園高)
 青木沙弥佳(東邦銀行)
 青山聖佳(松江商高)
 千葉麻美(東邦銀行)
※神保祐希(金沢二水高)
 田村友紀(岩手大)

※神保は両リレーで選出

(文・写真/杉浦泰介)
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