19日(日本時間)、サッカーロシアW杯グループG第1節がソチで行われ、ベルギー代表がパナマ代表に3対0で快勝した。ベルギーは前半、ボールを圧倒的に支配しながら無得点に終わった。後半開始早々にMFドリース・メルテンスが決めて先制。24分にFWロメル・ルカクのゴールでリードを広げると、30分にもルカクが決めた。初出場のパナマは黒星スタートとなった。

 

 タレント揃いの攻撃陣が躍動(ソチ)

ベルギー 3-0 パナマ

【得点】

[ベ] ドリース・メルテンス(47分)、ロメル・ルカク(69分、75分)

 

“赤い悪魔”がW杯初出場国を一蹴した。

 

 エースのルカクをはじめ、ケビン・デ・ブルイネ、エデン・アザールと攻撃陣にワールドクラスのタレントを揃えるベルギー。13回目のW杯初戦は3-4-2-1のフォーメーションで臨んだ。ルカクのワントップ、E・アザールとメルテンスが2シャドーに入った。司令塔デ・ブルイネは中盤の底でタクトを振るう。

 

 キックオフ直後、いきなりパナマゴールに襲い掛かる。デ・ブルイネのスルーパスから左ウイングバックのヤニック・カラスコが飛び出す。カラスコのクロスにルカクが合わせたが、ここは大きく枠を外した。

 

 ベルギーはその後もパナマにシュートの雨を降らせる。7分にはE・アザールのパスからメルテンスがボレーで合わせた。ここはパナマの守護神ハイメ・ペネドに弾き出された。12分にはE・アザールが不用意なGKへのバックパスをかっさらってシュート。18分にはデ・ブルイネの右CKをメルテンスがダイレクトで合わせた。いずれも枠の外に飛んだものの、パナマ守備陣にプレッシャーをかける。

 

 その後もベルギーはルカク、E・アザール、デ・ブルイネ、メルテンスが絡み、再三再四パナマゴールを脅かした。重戦車のようなルカク、ドリブルとパスでチャンスをつくるE・アザール、正確なパスでゲームをコントロールするデ・ブルイネ、危険な位置に何度も飛び出すメルテンス。自慢の攻撃陣が猛威を振るったが、ゴールラインを割ることはできなかった。

 

 前半のスタッツを見ると、ベルギーはボール支配率が60%、シュート数が9本。パナマの40%と3本を大きく上回った。ゲームを圧倒的な支配しながら、得点を奪えない。初出場のパナマがボールを持つと会場から大きな声援が送られる状況も含め、このままだとベルギーにとって嫌なムードが漂いかねない。

 

 だが後半開始早々にその不安を一掃した。2分、メルテンスが右サイドでクロスを上げると、パナマDFに弾き返された。ペナルティーエリア内で味方の競り合ったボールが、メルテンスの元にこぼれてきた。ここでメルテンスはダイレクトで右足を振り抜くと、シュートはゴール左に吸い込まれた。待望の先制点はイタリアで点取り屋として開花した31歳だった。

 

 勢いに乗るベルギーは24分。左サイドからドリブルで切り込んだE・アザールがマイナスに折り返す。ペナルティーエリアの外でボールを受けたデ・ブルイネは、ドリブルでボールを前に運び、右足のアウトサイドで柔らかいクロスを放り込んだ。これをファーサイドで待ち受けていたのがルカク。頭から飛び込み、ゴール右に突き刺した。初戦でエースにもゴールが生まれる理想的な展開となった。

 

 ルカクはその6分後、E・アザールのお膳立てからゴールネットを揺らす。E・アザールは自陣からドリブルで相手を引きつけながら、絶妙なスルーパスをエースへ送る。飛び出してきたGKに対し、ルカクは冷静にシュートを浮かせた。ベルギーはリードを3点に広げ、勝負をほぼ決めた。

 

 目立ったのは攻撃陣だけではない。守護神ティボー・クルトワはピンチにも冷静に対応していた。後半10分には決定機で好セーブ。直前に笛が吹かれ、プレーが切れていたたとはいえ試合終了間際のハーフウェイラインからのロングシュートに対しても、落ち着いて左手1本でかき出した。最後まで集中を切らさず安定したパフォーマンスを見せた。

 

 優勝候補にも挙げられるベルギー。まずは初戦で快勝し、好スタートを切った。

 

(文/杉浦泰介)