四国アイランドリーグplusは香川オリーブガイナーズの優勝で前期を終えた。香川の原田宥希は今季から救援に転向し、リーグトップの13セーブをあげて優勝に貢献した。昨秋、NPBドラフトの指名から漏れ、一時は野球を辞めることも考えたが「もう1年」と奮起し、現役を続行。「目標は又吉克樹(中日)」というサイドハンダーに話を聞いた。

 

 連投に耐える体力もついた

 昨季まで先発を任され、今季から救援に回りましたが、最初は戸惑いもあって悩みながらやっている状態でした。
 一番の戸惑いは連投というものに慣れていなかったので、疲れを抜くためにどうすればいいかということでした。これに関してはトレーナーと相談して、アイシングをしない、マッサージをしないという、先発時代とは正反対の取り組みをすることで解決しました。また川崎憲次郎コーチ、天野浩一コーチにもいろいろとアドバイスをいただきましたね。

 

 川崎コーチからはブルペンで肩をつくっているときに、つくる方法やタイミングを教えてもらい、天野コーチからはトレーニングの方法についてアドバイスをもらいました。自分では気付いてなかったのですが、下半身を使えてないということで、そこを意識して鍛えました。

 

 そうした周囲の人の助けもあって、前期終盤は毎試合でも投げられるくらい、本物の抑え投手になれたと感じています。高知とのマッチレースのような展開の中、こちらも負けられない試合、連勝を止められないという緊張感の中で毎戦、スタンバイしていたのはしびれる体験でしたね。

 

 高校を卒業し、社会人クラブチームを経て、よりレベルの高い野球をしたくて四国アイランドリーグplusに進みました。目標は常にNPB入りですが、昨年の秋、ドラフトで指名されなかったことでもう現役を引退するつもりでした。でも周囲や監督とも話をして現役を続けることになったのですが、抑え転向を西田真二監督から言われたときには、最初は「エッ?」と思いましたが、「先発でも抑えでもどっちでもやれることを見せてアピールしよう」とすぐに切り替えました。今回、こうして13セーブをあげるなど活躍できたので、連投のきくスタミナがあるところも見せられたんじゃないかなと思っています。

 

 香川に入った当初は、やはりまだ体力面で周囲についていけない部分もありました。4月、5月はいいのですが、後期の8月の暑い時期になると明らかにバテていたんですね。バテない体をつくることを当時から意識していて、2年目、3年目とスタミナ面は解決できていると思います。でもまだまだ十分ではなく、体重を85キロまで増やすことが目標です。

 

 西田監督からは「"抑えて当たり前"、そう思ってマウンドに行け」と常に言われています。打てるものなら打ってみろ、というか打たれるはずがない、それくらいの気持ちで常に上がるようにしています。

 

 今年で4年目ですが、香川の先輩たち、そして後輩からも刺激を受けています。秀伍さんは5月に打球を受けて顔面を骨折したのに「痛い」とも言わずに試合に出ています。そういう姿を見たらこっちも「しんどい、疲れた」なんて言えるわけがありません。また又吉(亮文)、畝(章真)という新人もいいピッチングをしていて、彼らには負けたくないし、「原田さん、すごいな」と思われたい部分もあります。昨季、ピッチャーキャプテンをやらせてもらい、プレッシャーもありましたが周囲を見られるようになり成長もしました。後期もどこで投げるのかはまだ決まってませんが、どこを任されても「抑えて当たり前」の気持ちでマウンドに上がりたいと思います。

 

 後期も優勝、そしてチャンピオンシップを勝ち、その先にある独立リーグ日本一も獲って、香川とアイランドリーグをアピールするのと、自分の夢をつかみたいですね。応援、よろしくお願いいたします。

 

<原田宥希(はらだ・ゆうき)プロフィール>
1994年10月29日、大阪府出身。小学校時代、ソフトボールから始めて、のちに野球へ転向。中学時代はヤングリーグ堺イーグルスに所属し、高校は大阪体育大学浪商高へ進学した。2番手投手として3年夏の大阪府大会で力投したが、ベスト4で敗退。卒業後、クラブチームの滋賀・高島ベースボールクラブへ進み、2014年秋、四国アイランドリーグplusのトライアウトに合格し、香川に入団した。1年目の15年後期シーズンから先発ローテーションを任され3勝。2年目も3勝、3年目の17年、キャリアハイの8勝をマークし、同時に110奪三振でタイトルも獲得した。18年は救援に転向し26試合に登板、1勝1敗13Sの成績で香川の優勝に貢献した。右投右打。身長180センチ、体重80キロ。


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