7月28日の後期開幕に向け、四国アイランドリーグplusの各チームはこのインターバルも調整に余念がない。前期最下位に終わった徳島インディゴソックスはキャプテンの垂井佑樹の下、巻き返しを図る。昨シーズン、独立リーグ日本一に輝いたチームを新主将として引っ張る垂井に後期に向けた意気込みを聞いた。

 

 投手の良さを引き出す

 今季は投手陣、野手陣ともに半数以上の選手が入れ替わりました。そのためオフのキャンプから早くチームに一体感を出すためにやってきました。ただ、開幕までに新人選手に「シーズンを戦うというのはこういうこと」という心構えをきちんと伝えきれないまま、シーズンに入った部分がありました。

 

 それで開幕ダッシュができずに負けが込む状況で5月になってもなかなか立て直すことができず、そのまま前期が終わってしまった感があります。

 

 新人選手のほとんどはアイランドリーグに入るまで高校や大学でトーナメントや短期間のリーグ戦を戦っていました。それが徳島に入って、前期後期に分かれているとはいえ1年を通して戦うことになった。そういう長期戦の場合には、負けた試合を引きずることなく切り替えることが大事だし、もちろんその中で反省する部分は反省もしなきゃいけない。そういうことをきちんと伝えきれていなかったんじゃないか、とキャプテンとしてもどかしい思いがあります。

 

 個人としては、石井貴新監督が就任して、新監督との信頼関係を築かなきゃいけないし、キャプテンというチームをまとめる大役も仰せつかった。さらにアイランドリーグ3年目なのでNPBに行くために結果を残さなきゃいけない。そういう課題が山積みのままシーズンを迎えました。

 

 その中で今、反省しているのは、あまりにもチームのことで悩みすぎたな、ということです。勝てない状況の中でチーム全体のことを考える時間が増えて、自分のことを考える余裕がなさすぎました。チームの状況に自分も流されてしまって、結果、どっちもダメに、という感じで、その点を反省しています。

 

 後期は先頭で声を出して、とにかくチームを引っ張っていきたいですね。野手陣はこのインターバルで相当にバットを振り込んでいます。前期は犠牲フライ1本が出ずに取れなかった点が結構ありました。後期は打線を切れ目なく機能させて、1点を取りこぼすことのない野球を目指します。

 

 投手陣では小原貴大に安定感が出てきました。2年目ですが、去年はそんなに投げていないので、今季、試合で投げる中で成長していますね。先発としてゲームメイクの仕方を覚えてきているので、チームの勝ち頭として後期も期待しています。去年、先発でも中継ぎでもフル回転した伊藤克(すぐる)は、この冬のトレーニングで体を絞ってきて、その効果が出ていますね。去年から「どこでもスグル、困ったらスグル」と大車輪の活躍でしたが、後期はもう1段階レベルアップした投球が見たい。ムードメーカーの彼が抑えるとチームに勢いが出るので、その点でも期待しています。

 

 その他、ルーキーの竹内裕太と鎌田光津希は有望株だし、地元・徳島北高出身の新田大輔も1年目の今季から試合の中でどれだけ成長するのか期待して見ています。

 

 僕はキャッチャーとして自分自身がNPBに行く目標もあるし、徳島のピッチャーをスカウトにアピールする役目も担っています。「どうやったらこのピッチャーの持てる力を引き出せるか」ということも考えてリードしていますね。

 

 キャッチャーというのは本当にやりがいのあるポジションですよ。小学生のときに野球を始めて、最初に手にハメたのが偶然、ミットだった。それからキャッチャー一筋でやってきました。キャッチャーの面白さですか? 9回の27個目のアウトまで全部を仕切れるところじゃないですかね。自分の出すサイン、指1本で試合をコントロールするのは本当に面白くて、やりがいがあります。

 

 後期は絶対にチャンピオンシップ(CS)に出るために開幕からダッシュを決めて優勝を果たしたい。その後は香川とのCSを制し、目指すは独立リーグ日本一です。日本一連覇は僕たち徳島にしかできないことですから、当然、狙っていますよ。後期も皆さんの熱い応援をよろしくお願い致します。

 

<垂井佑樹(たるい・ゆうき)プロフィール>
1992年7月21日、兵庫県出身。兄たちの影響で野球を始め、小学生時代からポジションはキャッチャー1本。兵庫県立星陵高では主将を務め、大阪教育大に進学。在学中に教職免許を取得したが、プロ野球選手になるという夢を叶えるために卒業後、兵庫ブルーサンダーズに加入した。2016年、兵庫を1年で退団し、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスに入団。2年目には北米遠征リーグ代表に選ばれるなど捕手として大きく成長した。今季からキャプテンに就任し、チームの連続日本一と自身のNPBドラフト指名を目指す。身長170センチ、体重83キロ。右投右打。


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