21日(日本時間)、サッカーロシアW杯グループB第2節がカザンで行われ、スペイン代表がイラン代表を1対0で下した。極端に引いて守るイランに対し、スペインは圧倒的にボールを支配する。前半はスコアレスで終わったものの、後半9分にFWジエゴ・コスタのゴールでスペインが均衡を破った。イランは後半に何度かつくったチャンスを生かせず、完封負けを喫した。

 

 コスタ、2試合連続ゴール(カザン)

イラン 0-1 スペイン

【得点】

[ス] ジエゴ・コスタ(54分)

 

 前々回の王者スペインが勝ち点3を積み上げ、先に試合を行っていたポルトガルに勝ち点で並んだ。

 

 スペインはグループリーグ(GL)初戦でポルトガルとの打ち合いの末、3対3でドローだった。決勝トーナメント進出のためにはここで勝ち点3を積み上げたい。対するイランはモロッコ相手にアディショナルタイムのゴールで劇的勝利。まずは負けない戦いを選択することが予想された。

 

 そんな両国の思惑がはっきりと表れた前半だった。イランはベタ引き。ほぼ全員が自陣に戻り、人数をかけて守備ブロックをつくる。時折、中盤が下がって4バックと並んだ。5バック、6バックにも見える守備体形を敷いた。イランの超守備的な戦いは前半のスタッツを見ても明らかだ。ボール支配率はスペインが71%。パス本数は400本を超え、イランの4倍以上を計上した。

 

 パスサッカーを身上とするスペイン。イスコ、アンドレアス・イニエスタ、ダビド・シルバらが中盤でボールを散らしながら、守備の穴を探す。30分にイニエスタのクロスがファーサイドに流れる。DFジェラール・ピケが頭で折り返すと、DFセルヒオ・ラモスがバックヘッドで繋ぐ。これをシルバがジャンピングボレーでゴールを狙うが、バーの上を越えた。前半終了間際にはイスコのパスからDFダニエル・カルバハルがシルバへはたく。シルバのシュートはイランDFにブロックされた。

 

 シュート本数は10対2。スペインは攻め続けたものの、ゴールは遠い。引き分けでも御の字のイランにとっては、ほぼ狙い通りの前半だった。

 

 しかし9分、コスタがイランゴールをこじ開けた。ペナルティーエリア内の中央でイニエスタのパスを受けてターン。コスタがシュートモーションに入る前、イランの守備陣が挟み込んできた。DFラミン・レザイアンが蹴り出そうとしたボールはコスタに当たり、そのままゴールの中に入っていった。重戦車コスタの圧力がもたらしたゴールでスペインが先制。コスタは2試合連続得点となった。

 

 1点のビハインドを背負ってからはイランも前がかりになる。15分には右からのクロスにMFメフディ・タレミがヘディングで合わせるが、ゴール左にそれた。そして2分後にゴールネットを揺らす。セットプレーから最後はMFサイード・エザトラヒが押し込んだ。ところがこのプレーは今大会何度も登場しているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の対象に。リプレー検証の結果、オフサイドの判定でゴールは幻となった。

 

 その後もイランは必死の反撃を見せる。30分に左サイドからクロスを入れると、タレミが飛び込んだが、わずかに合わない。37分にはMFヴァヒド・アイリが左サイドでボールを持つと、ドリブルでピケを股抜きでかわす。クロスを放り込んでタレミの頭に合わせた。しかし、シュートは枠の外。最後までゴールは遠く、スペインにシャットアウトされた。

 

 スペインは今大会初勝利。決勝トーナメント進出をかけて臨む次節は、GL敗退が決まったモロッコと対戦する。

 

(文/杉浦泰介)