23日、フィギュアスケートのソチ五輪日本代表選考会を兼ねた全日本選手権3日目がさいたまスーパーアリーナで行れた。女子シングルフリーで鈴木明子(邦和スポーツランド)が合計215.18点で初優勝を果たし、ソチ五輪代表を決めた。ソチ五輪の女子日本代表には鈴木を含め、浅田真央(中京大)、村上佳菜子(中京大)が選出。7位に終わった安藤美姫(新横浜プリンスクラブ)の3大会連続の出場はならなかった。併せて発表された男子代表は、羽生結弦(ANA)、町田樹(関西大)、高橋大輔(関西大大学院)となった。アイスダンスは、キャシー・リード、クリス・リード(木下クラブ)組が2大会連続で出場。ソチ五輪から採用される団体戦に向け、ペアは高橋成美、木原龍一(木下クラブ)組が入った。
 また日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟は、ソリ競技のソチ五輪日本代表内定選手を発表し、ボブスレーはパイロットの鈴木寛(北野建設)、スケルトンは高橋弘篤(システックス)、リュージュは金山英勢(札幌学院大)が選ばれた。鈴木は2大会連続5度目、高橋は初出場となる。ボブスレーとスケルトンは来年1月19日時点の世界ランキングで出場枠が最終的に決定する。日本はボブスレー4人乗り、2人乗りで1枠を得る見込みで、鈴木と組むブレーカーは今後も代表選考を続ける。一方のスケルトンは男子2枠、女子1枠を獲得できる見通し。男子残り1人と女子はその時点で世界ランク上位の選手を代表とする。ただ1人代表候補だったリュージュの金山は、自らが手にしたソチ行きの切符を掴んだかたちとなった。

【集大成はソチに】

 演技が終わると、両手でガッツポーズ。飛び跳ねて、その喜びを表した。場内はスタンディングオベーションで応えた。鈴木明子にとって、13回目で最後の全日本は有終の美を飾った。

 鈴木は真っ白な衣装を纏い、『オペラ座の怪人』の曲に乗せて、氷上で華麗に舞った。4回転やトリプルアクセルなど、ジャンプの大技はない。だが、技の完成度や演技の表現力で彼女は勝負した。ほぼミスのない完璧に近い演技で、観衆を引き込んだ。

「満足のできる演技ができて、達成感があります。すごく幸せな全日本でした」。ショートプログラム(SP)は首位の浅田に3点近く離されての2位だったが、フリーの得点は144.99点と高得点を叩き出した。合計215.18点で逆転優勝。現役最後と決めた今シーズン、ラストダンスはソチへと持ち越した。

 一方で、この大会限りで現役生活に幕を閉じた者もいる。世界選手権を2度制した安藤美姫だ。出産を経て、銀盤に舞い戻ってきた安藤が、逆転のソチ行きへの切符を掴むには、全日本の優勝が至上命題となっていた。

 SPは5位、優勝した鈴木の次の演技者となった。フリーでは、「きれいに滑り終えよう」と安全策をとることもできた。しかし、それは自らのプライドが許さなかった。「自分らしくいたかった」。ジャンプの安藤は、やはり飛ぶことを選択した。

 挑んだ高難度のトリプルサルコウ−トリプルルッツと、3回転の連続ジャンプ。しかし回転不足に終わり、大逆転には届かなかった。総合7位に終わり、ソチへの道はここでついえた。それでも自分らしく終われたことに、やりきった表情でリンクを後にした。