22日(日本時間)、サッカーロシアW杯グループD第2節がニジニ・ノブゴロドで行われ、アルゼンチン代表がクロアチア代表に0対3で敗れた。前半は互いにチャンスをつくりながら無得点。アルゼンチンは後半8分、GKのパスミスからMFアンテ・レビッチに決められた。35分にMFルカ・モドリッチのゴールを許すと、試合終了間際にMFイバン・ラキティッチにダメを押された。アルゼンチンはグループリーグ(GL)突破へ黄信号。勝ったクロアチアは2連勝で20年ぶりの決勝トーナメント進出を決めた。

 

 モドリッチ、2試合連続ゴール(ニジニ・ノブゴロド)

アルゼンチン 0-3 クロアチア

【得点】

[ク] アンテ・レビッチ(53分)、ルカ・モドリッチ(80分)、イバン・ラキティッチ(90+1分)

 

 前回大会準Vのアルゼンチンが追い込まれた。伏兵アイスランドに引き分け、この日のクロアチアには完敗を喫した。

 

 ホルヘ・サンパオリ監督はアイスランド戦の4バックから3バックにシステムを変更した。しかし、“ヴァトレニ”(クロアチア語で炎)の愛称を持つクロアチアの闘志に押された。ワントップのマリオ・マンジュキッチ、中盤のイバン・ペリシッチ、モドリッチ、レビッチ、ラキティッチは高い位置からプレッシャーをかけてきて、ビルドアップすら楽にさせてもらえない。

 

 前半5分にはカウンターからペリシッチにシュートを打たれる。ここはGKウウィリー・カバジェロの好セーブで難を逃れたが、いきなり冷や汗をかいた。攻撃陣もFWリオネル・メッシ、FWセルヒオ・アグエロを中心にチャンスを探る。前半は両国の選手たちが激しく身体をぶつけ合い、この試合に懸ける想いの強さを感じさせた。

 

 後半からクロアチアはペリシッチが右、レビッチが左とポジションを入れ替える。それでも2人の役割は変わらない。攻撃での縦への意識。高い位置からのチェイシングだ。

 

 すると8分、まさかの展開で試合が動く。アルゼンチンは自陣に放り込まれたボールを競り合い、こぼれ球を拾う。ところが、DFガブリエル・メルカドのバックパスをGKカバジェロが痛恨のキックミス。浮き球のパスをチェイスしてきたレビッチに供給するかたちとなり、それをダイレクトボレーで打ち返された。強烈なシュートがゴールに突き刺さり、先制点を許した。

 

 アルゼンチンはFWゴンサロ・イグアイン、MFクリスティアン・パボンを立て続けにピッチに送り込み、打開を図った。19分にはペナルティーエリア左に抜け出したイグアインの折り返しを、MFマキシミリアーノ・メサが合わせた。GKに防がれたが、こぼれ球をメッシに繋いだ。だが帰陣したラキティッチにスライディングでクリアされる。バルセロナの同僚に邪魔され、メッシは救世主になれなかった。

 

 そして30分、スーパーゴールが生まれる。決めたのはメッシではなく、モドリッチだった。ラキティッチからパスを受け、ペナルティーエリアの外でボールを持った。シュートを打つ振りをして、DFを揺さぶる。そして右足を振り抜くと、ボールは鋭く曲がり、ゴール右に吸い込まれていった。背番号10のキャプテンがアルゼンチンに強烈な一撃をお見舞いした。

 

 アルゼンチンのダメージは大きく、アディショナルタイムにもラキティッチに決められ、トドメを刺された。0対3でタイムアップ。アルゼンチンは勝ち点1のまま最終節のナイジェリア戦を迎えることとなった。過去2度の優勝を誇る南米の雄が決勝トーナメント進出に黄信号だ。途中出場でいい動きを見せていたFWパウロ・ディバラのスタメン起用など打開策を講じる必要があるだろう。

 

(文/杉浦泰介)