サッカーロシアW杯グループE第2節が23日(日本時間)、カリーニングラードで行われ、スイス代表がセルビア代表を2対1で下した。セルビアは前半5分にFWアレクサンダル・ミトロビッチのゴールで先制。スイスは後半5分、MFグラニト・ジャカの目の覚めるようなミドルで追いつく。45分にはMFジェルダン・シャキリが決め、逆転に成功した。

 

 エースのシャキリ、全得点に絡む活躍(カリーニングラード)

セルビア 1-2 スイス

【得点】

[セ] アレクサンダル・ミトロビッチ(5分)

[ス] グラニト・ジャカ(52分)、ジェルダン・シャキリ(90分)

 

 スイスとセルビアの一戦は、互いに攻め合う好ゲームとなった。

 

 セルビアは1トップのミトロビッチの高さ、強さを生かす。サイドからシンプルに放り込み、前線のターゲットマンに当てた。5分、右サイドバックのブラニスラフ・イバノビッチのクロスにミトロビッチが頭で合わせる。ここはスイスの守護神ヤン・ゾマーが好セーブ。この直後に試合は動いた。

 

 右サイドでボールを持ったMFドゥシャン・タディッチが左足に持ち替えて、クロスを入れる。再び合わせたのはミトロビッチ。高い打点からのヘディングにゾマーは反応し切れなかった。イングランド・プレミアリーグで活躍する長身ストライカーが、先制点を叩き込んだ。

 

 その後もセルビアはミトロビッチを中心に攻撃を組み立てる。一方のスイスもやられっぱなしではいない。右のシュテファン・リヒトシュタイナー、左のリカルド・ロドリゲスの両サイドバックがオーバーラップを繰り返し、サイド攻撃を展開した。ロドリゲスはセットプレーのキッカーとしても何度かチャンスメイク。何度もセルビアゴールを脅かした。

 

 前半は互いにシュートを打ち合って計19本。ノーガード殴り合うような展開で、あっという間に時間が過ぎた。

 

 後半に入ると地力で勝るスイスが押し込み始める。7分、MFスティーブン・ツバーがペナルティーエリア内右にいるシャキリにパス。シャキリはダイレクトで合わせるが、DFに当たってボールはこぼれる。それをジャカが左足を一閃。ペナルティーエリアの外から放たれたミドルシュートは、ゴール右に突き刺さった。

 

 背番号10の目の覚めるような一撃にスイスの攻撃陣は波に乗る。中でもエースのシャキリは抜群の存在感を放った。身長169cmと小柄だが当たり負けしない。細かいタッチのドリブルでセルビア守備陣を切り裂いた。そして左足のキックだ。13分には、ポストに嫌われたが強烈なシュートがゴールを襲った。

 

 29分にはスルーパスでチャンスを演出。FWマリオ・ガブラノビッチがDFラインの裏へ抜け出し、シュートを放った。ここはオフサイドとなったが、シャキリは違いを生み出せるスイス唯一無二のタレントということを証明していた。

 

 エースの仕事は45分に結実する。自陣からのカウンター。シャキリはガブラノビッチのスルーパスに抜け出した。センターサークル付近で斜めに走る動き。オフサイドラインギリギリで飛び出す。追いかけてくるDFのプレッシャーを受けながらGKとの駆け引きを制した。ゴール右に流し込み、スイスが試合をひっくり返した。

 

 スイスが2対1で逆転勝利。勝ち点4でブラジルに並び、得失点差でグループE2位になった。最終節はGL敗退の決まったコスタリカと対戦する。

 

(文/杉浦泰介)