25日(現地時間)、サッカーロシアW杯グループA最終節がヴォルゴグラードで行われ、エジプト代表がサウジアラビア代表に1対2で敗れた。前半22分、FWモハメド・サラーのゴールでエジプトが先制。41分にPKを獲得しながら決め切れなったサウジアラビアだが、アディショナルタイムに再び得たPKを決めて追いついた。サウジアラビアは後半アディショナルタイムに勝ち越し、逆転勝ちを収めた。

 

 GKエル・ハダリ、W杯最年長出場記録更新(ヴォルゴグラード)

サウジアラビア 21 エジプト

【得点】

[サ] サルマン・アルファラジ(45+6分)、サレム・アル・ドサリ(90+5分)

[エ] モハメド・サラー(22分)

 

 28年ぶり3度目のW杯。初勝利を目指したエジプトだったが、勝ち点3は遠かった。

 

 グループリーグ(GL)2連敗で、決勝トーナメント進出の可能性が途絶えた両国。エジプトはエースのサラーをスターティングメンバーで起用し、GKにはエサム・エル・ハダリが入った。キャプテンマークを巻いてピッチに立った45歳のエル・ハダリは、前回のブラジルW杯で代表GKファリド・モンドラゴンが記録した43歳3日を上回る45歳161日で最年長出場記録を塗り替えた。

 

 右ウイングに位置しながら中央にも顔を出し、攻撃に絡むサラー。22分、早速チャンスが巡ってきた。カウンターから味方のロングパスに反応したサラーは、浮き球のパスを左足でコントロールした。飛び出してきたGKをあざ笑うかのように、頭上を越えるループシュートを放つ。サウジアラビアのDFがボールを追いかけたものの、届かなかった。エースの2戦連続ゴールで、エジプトが幸先よく先制した。

 

 サラーは3分後にもDFラインの裏に抜け出して、決定機を迎えたが、このループは枠をとらえ切れなかった。エジプトは33分、34分と立て続けにチャンスをつくったものの、MFトレゼゲのシュートはいずれも枠の外。流れは次第にサウジアラビアへ傾いていく。

 

 すると39分、右サイドバックのアーメド・ファティがクロスをブロックしようとしたところ、手に当たりハンドの判定が下される。PKを与えてしまう。ここは45歳の大ベテランが奮起する。FWファハド・アル・ムワッラドのシュートを左手で弾いた。キャプテンのファインセーブに味方が集まって祝福する。

 

 前半はこのままエジプトのリードで終わるかと思われたが、アディショナルタイムに再びレフェリーがペナルティースポットを指差した。今度はDFアリ・ガブルがペナルティーエリア内でアル・ムワッラドを倒してしまったのだ。サウジアラビアはキッカーをMFサルマン・アル・ファラジに代えた。アル・ファラジはゴール左にきっちり決めて、1対1で前半を終えた。

 

 後半はサウジアラビアがペースを握り、シュートの雨を降らせた。24分、敵陣中央からアル・ファラジが入れたクロスにMFフセイン・アル・モカハウィが頭で合わせた。25分には左CKからアル・ファラジが放り込んだボールにFWムハンナド・アシリがヘディングシュート。いずれもエジプト守護神が弾き出し、得点を許さなかった。

 

 1対1のまま試合はアディショナルタイムに突入。両国が勝ち点を1ずつ分け合うかと思われたが、土壇場で試合は動いた。オーバーラップした右サイドバックのモハンメド・アル・ブレイクのクロスをMFアブドゥーラ・オタイフがワンタッチで繋ぐ。これペナルティーエリア内右の角度のないところから、MFサレム・アル・ドサリがダイレクトで合わせた。シュートはゴール左に決まり、サウジアラビアが逆転に成功した。

 

 サウジアラビアは今大会初勝利。W杯は24年ぶりの白星となった。エジプトはエースのサラーが孤軍奮闘。今大会2得点を挙げたが、チームは勝ち点を1つも得ることができずロシアの地を去ることとなった。

 

(文/杉浦泰介)