25日(現地時間)、サッカーロシアW杯グループB最終節がサランスクでポルトガル代表対イラン代表の一戦が行われ、1対1の引き分けに終わった。前半45分にFWリカルド・クアレスマの右足アウトサイドのゴールでポルトガルが先制するが、後半アディショナルタイムにイランのFWカリム・アンサリファルドのPKでイランが追いついた。同組のスペインとモロッコの一戦は2対2の引き分けた。この結果、総得点の差でB組の首位はスペイン、2位はポルトガルとなった。イランは惜しくもグループリーグ(GL)敗退となった。

 

 イラン、健闘むなしくGL敗退(サランスク)

ポルトガル 1-1 イラン

【得点】

[ポ] リカルド・クアレスマ(45分)

[イ] カリム・アンサリファルド(90+3分)

 

 勝ち点4のポルトガルは引き分け以上でGL突破が確定、イランは自力で突破を決めるためには勝利が絶対条件だった。

 

 試合開始から両国ともフルパワーでぶつかり合うスピーディーな展開となった。

 

 3分、ポルトガルはロングボールを敵陣左サイドで受けたFWジョアン・マリオがヒールでFWクリスティアーノ・ロナウドに落とす。ロナウドはドリブルでペナルティーエリア内に切れ込みシュートを放つがイランGKのアリレザ・ベイランバンドにセーブされた。

 

 イランはカウンターで応戦。7分、自陣でボールを奪うと素早く前線に展開。FWサルダル・アズムンが縦パスをダイレクトで右サイドを走るFWアリレザ・ジャハンバフシュに送る。ジャンハンバフシュが中へ折り返すとエリア内でMFバヒド・アミリが左足で合わせるが惜しくもジャストミートせず。

 

 時間が経つにつれて、ポルトガルがセカンドボールを中盤で拾い攻撃につなげるシーンが目立った。一方のイランは受けるかたちが目立ったものの体を張ったディフェンスでポルトガルにフリーでシュートを打たせなかった。

 

 スコアレスで試合を折り返すかに思われた前半終了間際。ポルトガルがスーパーゴールで先制する。敵陣右サイドでボールを持つクアレスマ。ペナルティーエリア右に走り込んだMFアドリエン・シウバとのワンツーで中に切れ込んで、右足アウトサイドでゴール左を狙った。美しい弧を描いたコントロールショットは、相手GKが触ることなくゴールネットを揺らし試合を折り返す。

 

 後半5分、ロナウドがペナルティーエリア内でMFサイード・エザトラヒに倒される。この時は流されたが、1分後に主審がVAR(ビデオ・アシスト・レフェリー)の助言で映像を確認。検証の結果、ポルトガルにPKが与えられた。ところが、ロナウドのキックはイランの守護神に止められた。ポルトガルはリードを広げるチャンスを潰した。

 

 イランはPKのピンチをGKのファインセーブで切り抜けたものの、フィールドプレーヤーの落ち着きがなくなり荒れた展開となる。選手の距離が遠くなり、プレスをかけるが連動性を失い、簡単にポルトガルにかわされるシーンが散見する。

 

 21分、ロナウドが左サイドに開きボールを受ける。得意のカットインで切れ込み右足を振り抜くがゴール右にそれた。外れたがポルトガルはロナウドがサイドでボールを受け、シュートで終わらせて時計の針を進めた。

 

 時間の経過とともに、イランは中盤を省略し、前線にラフなボールを放り込んだ。このパワープレー策が得点につながる。後半終了間際、イランは右サイドからクロスを入れる。これをファーサイドにポジションを取る186センチの長身FWのアズモンが頭で折り返す。このボールがポルトガルのDFセドリク・ソアレスの左手に当たったとイラン選手が主張。VAR判定の結果、イランにPKが与えられた。このPKを途中出場のアンサリファルドが決めて追いついた。

 

 同時刻に他会場で行われていたスペイン対モロッコが2対2の同点で終了したこともあり、イランは勝利がGL突破の条件となっていた。続けてロングボールをゴール前に送るものの反撃はここまで。試合終了の笛が鳴り、白熱した一戦はドローとなった。

 

 この結果、グループBは総得点の差でスペインが首位、ポルトガルが2位で決勝トーナメント進出を決め、イランはGL敗退となった。スペインは決勝トーナメント1回戦でグループAを2位であがったホスト国・ロシアと、ポルトガルはグループA首位のウルグアイと対戦する。

 

(文/大木雄貴)