27日(現地時間)、サッカーロシアW杯グループE最終節がニジニ・ノブゴロドで行われ、スイス代表がコスタリカ代表と2対2で引き分けた。スイスは前半31分にMFブレリム・ジェマイリのゴールで先制する。後半12分にセットプレーからの失点を喫した。43分にFWヨシプ・ドルミッチが決めて勝ち越したが、終了間際にPKで再び追いつかれた。これでスイスは勝ち点5。E組2位でグループリーグ(GL)を突破し、決勝トーナメント1回戦はF組1位のスウェーデン代表と対戦する。
ワストン、CKからW杯初出場初ゴール(ニジニ・ノブゴロド)
スイス 2-2 コスタリカ
【得点】
[ス] ブレリム・ジェマイリ(31分)、ヨシプ・ドルミッチ(88分)
[コ] ケンダル・ワストン(57分)、オウンゴール(90+3分)
スイスが、辛うじてグループEを2位で通過した。
初戦はブラジルにドロー、第2節はセルビアに劇的な逆転勝ちを収めた。最終節は引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。
しかし、序盤はGL敗退が決まっているコスタリカに攻め立てられた。6分、続けざまにピンチを迎えた。FWホエル・キャンベルがミドルシュート。左からのクロスにMFセルソ・ボルヘスが頭で叩きつけた。いずれもスイスの守護神ヤン・ゾマーが横っ飛びで防いだ。
コスタリカは勢いに乗り、積極的にシュートを打ってくる。10分にはMFダニエル・コリンドレスが左サイドからカットインし、強烈な一撃をお見舞いした。ボールはバーを叩き、ゴールにはならない。19分には左サイドバックのブライアン・オビエドが狙う。低い弾道で枠をとらえたシュートはゾマーがまたしてもファインセーブで止めた。
なかなかリズムに乗れないスイスだったがワンチャンスをモノにする。31分、高い位置でボールを持ったMFジェルダン・シャキリが右サイドにパスを送る。シュテファン・リヒトシュタイナーがクロスを上げると、MFブレーム・エムボロがヘディングで折り返した。ペナルティーエリア中央でボール受けたジェマイリはダイレクトでゴールにぶち込んだ。ドローでも構わないスイスにとっては貴重な先制点だった。
後半12分、コスタリカがセットプレーから同点に追いつく。右CKからキッカーのキャンベルがクロスを放り込むと、スイスのDFとのポジション争いを制したワストンが頭で合わせた。シュートはゴール左に突き刺さった。コスタリカ今大会初ゴールは、W杯初出場の30歳が196cmの長身とパワーを生かしてもぎ取った。
スイスはこのままのスコアでも次のステージへ進める。前線に人数をかけるようなことはしない。それでも33分、エムボロのクロスを途中出場のドルミッチがヘディングシュート。ゴールマウスを守る名手ケイラー・ナバスはシュートを見送るしかなかったが、ポストに嫌われた。
引き分け濃厚となった43分。外に展開すると、途中出場のMFデニス・ザカリアがダイレクトでグラウンダーのクロスを送る。ドルミッチがダイレクトで合わせた。インサイドキックで狙いすましたシュートはゴール右に決まった。スイスが再びリードを奪う。
ところが終了間際に試合が動いた。アディショナルタイムにペナルティーエリア内でコスタリカのMFブライアン・ルイスが倒され、PKを獲得した。しかし、ここはVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)により、ルイスはオフサイドだったと判明。PKは取り消された。
今度はキャンベルが強引な突破からペナルティーエリア内で倒された。レフェリーがペナルティースポットを指差す。“仕切り直し”となったルイスのPKはポストを叩き、ゾマーに当たってゴールの中へ。コスタリカが再び追いついて、試合はタイムアップとなった。
スイスは1勝2分けで勝ち点5。同7のブラジルに次ぐ2位でGLを突破した。この試合に課された最低でも引き分けというノルマを果たしたわけだが、誤算はキャプテンで攻守で躍動するリヒトシュタイナー、守りの要ファビアン・シェアがイエローカードを受けたことだ。4枚のDFラインのうち半分を累積警告により、欠くこととなる。決勝トーナメント初戦の相手スウェーデンは堅守速攻型。守備の堅いスイスとはいえ、不安を抱えて決戦の地サンクトペテルブルクに向かう。
(文/杉浦泰介)