28日(現地時間)、サッカーロシアW杯グループH最終節がサマーラで行われ、コロンビア代表がセネガル代表を1対0で下した。前半をスコアレスで終えると、後半29分にセットプレーからコロンビアのDFジェリー・ミナが先制点を挙げる。このリードをコロンビアがチーム全員で守り切った。勝ち点6でグループH首位に浮上し、2大会連続の決勝トーナメント進出を決めた。

 

 ミナ、値千金の先制ヘッド(サマーラ)

セネガル 0-1 コロンビア

【得点】

[コ] ジェリー・ミナ(74分)

 

 コロンビアが虎の子の1点を守り抜き、セネガルを振り切った。

 

 試合前の時点で日本とセネガルが勝ち点4、コロンビアが同3で続く。第2節を3対0で勝利したコロンビアは得失点差で優位にあるため、引き分けても勝ち点で並べば日本を上回る可能性があった。

 

 とはいえ、自力で勝ち点3を獲れば文句なしでのグループリーグ(GL)突破が決まる。スターティングメンバーにはエースのFWラダメル・ファルカオ、司令塔のハメス・ロドリゲスの2枚看板が入った。快速アタッカーのMFファン・ギジェルモ・クアドラードらベストメンバーで勝負の一戦に臨んだ。

 

 対するセネガルは引き分け以上で決勝トーナメント進出。サディオ・マネとエムバイ・ニアンを2トップで起用し、攻撃に人数をかけずとも個の力で打開できる2人を並べた。ボランチにはイドリッサ・ゲイエ、シェイク・クヤテという守備力の高い2人を使い、現実的な布陣を敷いた。

 

 最初にチャンスをつくったのはコロンビア。前半12分、ゴールまで約20mの位置でFKを獲得した。蹴るのは日本戦でも直接FK弾を決めたMFファン・フェルナンド・キンテーロ。ゴール左を狙ったが、ここはセネガルの守護神カディム・エンディアイエに弾かれた。

 

 ボールを保持するコロンビアはロドリゲス、キンテーロのレフティーがゲームをつくり、ファルカオとグアドラードが裏を狙う。しかし、ロドリゲスはケガのせいか精彩を欠き、攻撃にリズムがなかなか生まれない。

 

 一方のセネガルはカウンターから、ニアンやマネが飛び出して、コロンビアゴールに襲い掛かる。16分には裏を抜け出したマネがペナルティーエリア内で倒れた。レフェリーはPKを宣告した。だが、直後にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)により、ノーファウルの判定に覆った。

 

 すると、ここでコロンビアにアクシデントが襲う。前半31分、ベンチはロドリゲスのプレー続行は難しいと判断し、彼をピッチから下げた。コロンビアは早々に前回大会得点王である攻撃の柱を失うこととなった。

 

 後半に入っても、ポゼッションのコロンビアvs.カウンターのセネガルという図式は変わらない。だが今度はピッチコンディションが良くなく、足を滑らせる選手が散見された。

 

 キンテーロがセットプレーからチャンスを演出。20分にはFKから、21分にはCKから味方のシュートをアシストした。いずれも得点には結びつかなかったが、その正確なキックでセネガルゴールを脅かす。

 

 29分、ついに試合が動く。決めたのはやはりキンテーロの左足からだった。右からのCKでクロスを放り込む。このボールを194cmの長身ミナが頭で合わせた。叩きつけた強烈なヘディングシュートはゴールに突き刺さった。

 

 これで暫定順位はコロンビアが勝ち点6でトップに立った。セネガルは勝ち点4のままで、他会場の同4の日本も0対1で負けていた。勝ち点、得失点差、得点のいずれも並んでいた両国はフェアプレーポイントの差で日本がセネガルの上をいく。このままではGL敗退となるセネガルが牙をむく。

 

 32分にはニアンがペナルティーエリア内右でシュートを放つ。33分にはCKからクロスのこぼれ球がゴールへ。立て続けのピンチはGKダビド・オスピナがセーブした。コロンビアは途中出場のFWルイス・ムリエルなど前線の選手が高い位置からチェイシングを怠らず、アタッカーのグアドラードは自陣深くまで戻って守備に勤しんだ。

 

 個の能力の高さだけでなく、チームへの忠誠心の高さも発揮したコロンビア。セネガルのパワープレーも凌ぎ切り、完封勝ちを収めた。試合前の3位から、一気にトップへジャンプアップ。ベスト8に入ったブラジルW杯に続き、決勝トーナメント進出を果たした。

 

(文/杉浦泰介)