28日(現地時間)、サッカーロシアW杯グループH最終節がヴォルゴグラードで行われ、日本代表がポーランド代表に0対1で敗れた。日本は後半14分、ポーランドのDFヤン・ベドナレクのゴールで先制を許した。だが、他会場で行われたセネガル代表対コロンビア代表の一戦は0対1でセネガルが敗れたため、勝ち点、得失点差、総得点で並んだ。日本はセネガルよりイエローカードの数が少なかったため、日本はグループH2位で決勝トーナメント進出を果たした。

 

 日本、警告の少なさが奏功し2位通過!(ヴォルゴグラード)

日本 0-1 ポーランド

【得点】

[ポ] ヤン・ベドナレク(59分)

 

 日本は引き分け以上だと自力でグループリーグ(GL)を突破できた。敗れると他会場のセネガル対コロンビアの結果次第となる。セネガルが勝てば日本は2位。セネガルとコロンビアが引き分けると3位となりGL敗退。セネガルが敗れると勝ち点で並ぶため、得失点差や総得点、フェアプレーポイントなどが関係してくる。

 

 フェアプレーポイントとは提示されたイエローカードとレッドカードを数値化したものである(イエローカード=-1、イエローカード2枚で退場=-3、一発レッドカード=-4、イエローカード+一発レッドカード=-5)。最終節開始前の日本の同ポイントは-3、セネガルは-5だった。

 

 日本は初戦、第2節と同じスターティングメンバーで臨んだが、この大一番で西野朗監督は6人を入れ替えた。DF槙野智章、DF酒井高徳、MF山口蛍、MF宇佐美貴史、FW武藤嘉紀、FW岡崎慎司が今大会初スタメンとなった。

 

 日本がポーランドゴールに迫る。12分、武藤が敵陣でボールをカットし、ドリブルで持ち込む。左サイドを上がる長友がボールを受けると低いクロスを送る。このボールに岡崎がダイビングヘッドで飛び込むがシュートはゴール左にそれた。1分後にはペナルティーエリア手前左サイドから武藤が右足でミドルを放つが、GKに阻まれた。16分にはこの日右サイドハーフで先発した酒井高徳がゴール正面でボールを受けて、左足でシュートを放ったがGKの正面。この時間帯でゴールを奪えなかったことが痛かった。

 

 21分、ポーランドに左CKからDFカミル・グリクにヘッドで合わせられるがGK川島永嗣がセーブ。32分にはカウンターから左サイドを突かれる。オーバーラップしたDFバルトシュ・ベレシンスキにクロスを入れられる。グロシツキにヘディングシュートを打たれるが、川島が右手一本の横っ飛びセーブ。この2戦、低調なパフォーマンスだった川島が日本を救った。

 

 後半の立ち上がりにもポーランドのカウンターに冷や汗をかいた。ボールを奪われると、日本陣地にポジションを取るレバンドフスキ、MFピオトル・ジエリンスキと素早くパスを通される。ジエリンスキが日本の左サイドをあがるグロシツキにボールを預けてペナルティーエリア内に走り込む。グロシツキにスルーパスを出される。これが通ると大ピンチだったが守護神の川島が前に飛び出してボールをセービングした。

 

 だが、14分に失点を喫してしまう。日本の右サイドからのFK。レフティーのMFラファウ・クルザワが蹴ったボールにファーサイドでベドナレクに右足インサイドで確実に決められてしまった。

 

 21分にはロングボールを放り込まれる。これを槙野が対処しようと落下地点に入ったところにレバンドフスキと接触。レバンドフスキが槙野に当たってきたようにも見えた。だが、槙野の反則を取られ警告を受けた。この試合を通じて、警告1枚だけだったことがGL突破に大きく影響した。

 

 他会場で行われているセネガル対コロンビアの一戦は0対1でセネガルが負けていた。これで勝ち点、得失点差、総得点でもセネガルと並んだが、セネガルもイエローカードを1枚もらっていた。そのため、フェアプレーポイントは日本が-4。セネガルが-6となり、日本が優位に立った。

 

 途中からピッチに入ったMF長谷部誠により情報がピッチ内にも伝達される。日本はセネガルがコロンビア相手に得点を奪えないと賭けにでたのだろう。警告を受けないよう、かつ2失点目を喫しないように試合を進める。DFラインでボールを回し、むやみに攻め込むことはしなかった。消極的な展開にブーイングが飛び交ったが日本は時計の針を進めた。0対1でポーランドには敗れたが2位通過で2大会ぶりに決勝トーナメントに駒を進めた。

 

 西野監督は試合をこう振り返った。

「(今日の一戦は)本意ではないが勝ち上がるための戦略の1つ。こういうかたちも成長するために必要なこと。他会場の流れもあるため、多様性を求められた。これからも強いチャレンジ精神を持って挑む」

 

 今日の一戦の反省点、課題はあるだろう。しかし、雰囲気に飲まれずに大人のサッカーに切り替えたことは評価できる。決勝トーナメント一回戦で白星をあげて、“未知の領域”のベスト8進出なるか。ロシアの地で積極的に戦う姿に期待したい。

 

(文/大木雄貴)