1日(現地時間)、サッカーロシアW杯決勝トーナメント1回戦のクロアチア代表対デンマーク代表の一戦がニジニ・ノヴゴロドで行われた。試合は1対1の引き分けとなり、PK戦の末、3対2でクロアチアが勝利した。前半1分にデンマークのDFマティアス・ヨルゲンセンが先制ゴールを決める。ところが4分にクロアチアのFWマリオ・マンジュキッチが決めて同点に追いついた。延長戦に入ってもスコアは動かずPK戦に突入。先攻のデンマークがわずか2人しか成功しなかったのに対し、クロアチアは3人がキックに成功し、ぎりぎりの戦いを制した。

 

 開始4分で計2得点はW杯決勝Tで初!(ニジニ・ノヴゴロド)

クロアチア 1-1 デンマーク

  (PK -2)

【得点】

[ク] マリオ・マンジュキッチ(4分)

[デ] マティアス・ヨルゲンセン(1分)

 

 欧州対決となったこの一戦。ゲームは序盤に動いた。

 

 1分、デンマークはロングスローから得点を奪う。DFヨナス・クヌドセンが右サイドのスローインをゴール前に遠投。これをMFトーマス・デラネイがキープし、最後はマティアス・ヨルゲンセンが左足で押し込んで先制点を挙げた。

 

 しかし、わずか3分後だった。クロアチアの反撃。DFシメ・ブルサリコが右サイドからクロスを入れる。これはDFにクリアーされるが、こぼれ球をマンジュキッチがボレーで叩き込んですぐさま同点に追いついた。

 

 19分にはMFイバン・ペリシッチが右足でミドルを放つもDFに当たる。29分にはMFイバン・ラキティッチがペナルティーエリア手前中央からミドルを放つがGKカスパー・シュマイケルに阻まれた。

 

 クロアチアはショートパスをつないで試合の主導権を握ったが、得点を奪うには至らずに試合を折り返す。

 

 後半もクロアチアが優位に試合を進めるかと思われた。だが、ピッチに立つイレブンたちの足がぱたりと止まってしまい、デンマークがボールをつなぎ始める。

 

 11分、デンマークのFWユフス・ポウルセンが右サイドを切り裂き折り返す。これにFWマルティン・ブライドハイテが反応し右足でシュートを放ったがゴール右に外れた。27分にもポウルセンが右サイドを突破し、グラウンダーのクロスを供給。途中出場のFWニコライ・ヨルゲンセンがトラップし、右足でシュートを打つがクロアチアGKドミニク・リバコビッチがセーブした。

 

 デンマークも攻撃のリズムこそよくなったがゴールネットを揺らせず、試合は延長戦に突入した。

 

 延長に入ったが、死力を尽くした両チームは攻撃に迫力がなかった。しかし、延長後半9分だった。クロアチアに最大の決定機が訪れる。センターサークル付近で司令塔MFルカ・モドリッチが前を向いてボールを持つと、前線へスルーパス。このパスにFWアンテ・レビッチが抜け出した。GKのシュマイケルをドリブルでかわし、あとは無人のゴールにボールを転がし込むだけだった。だが後方からデンマークDFマティアス・ヨルゲンセンがスライディングで倒してファウルで止めた。このPKのキッカーはモドリッチ。クロアチアの司令塔はゴール右を狙ったが、デンマークの守護神に読まれてしまい、セーブされた。

 

 試合は120分でも決着がつかず、PK戦に突入した。先攻はデンマーク、後攻がクロアチアだった。通常、キッカーの方が有利だと言われるPK戦だが、両チームの守護神がこの勝負を盛り上げた。デンマーク、クロアチアともに1本目と4本目のPKをGKがセーブ。迎えた5人目。デンマークのラストキッカー、ニコライ・ヨルゲンセンが真ん中を狙ったが、クロアチアGKのスバシッチが足でセーブした。クロアチアの5人目のキッカーを任されたラキティッチはゴール左隅に蹴り込んでチームを勝利に導いた。

 

 クロアチアはグループリーグを3連勝で上がってきた。3戦目は主力を休ませて迎えた今回の試合だったが、後半に入ると足が止まってしまった。ベスト8には進出したが、ここからもう一度ネジを巻きなおし、コンディションをあげないとこの先の戦いは厳しいだろう。

 

(文/大木雄貴)