1日(現地時間)、サッカーロシアW杯決勝トーナメント1回戦のスペイン代表対ロシア代表の一戦がモスクワで行われた。試合は1対1の同点でPK戦の末ロシアが4対3で試合を制した。前半12分にスペインがオウンゴールで先制するが、41分にFWアルテム・ジュバの得点でロシアが追いついた。延長戦でも決着はつかずPK戦に突入。スペインが先行で3人目のMFコケのキックをGKイゴール・アキンフェエフが止めた。ロシアは4人連続成功。スペインの5人目のMFイアゴ・アスパスのキックもアキンフェエフが止めて開催国のロシアが準々決勝進出を決めた。

 

 アキンフェエフ、PK2本止める大活躍(モスクワ)

スペイン 1-1 ロシア

    (PK3-

【得点】

[ス] オウンゴール(12分)

[ロ] アルテム・ジュバ(41分)

 

 前半12分、スペインが先制する。右サイドからのFKをMFマルコ・アセンシオがクロスを入れる。このボールをファーサイドでDFセルヒオ・ラモスのマークについたロシアのDFセルゲイ・イグナシェビッチの足に当たりゴールに吸い込まれた。スペインはラッキーなかたちで先制ゴールを奪った。

 

 41分、スペインはアンラッキーなかたちで追いつかれる。ロシアの長身FWのジュバがヘッドしたボールにジャンプで反応したDFジェラール・ピケの左手に当たる。主審はこれをハンドと判定。このPKをジュバに確実に決められた。

 

 後半に入るとスペインが攻めあぐねる。ロシアは全員が自陣に引いて、バイタルエリアを締めた。

 

 崩しの糸口が見えないスペインは、22分にMFダビド・シルバに代えてアンドレス・イニエスタを入れる。狭い局面でも打開できるテクニシャンをピッチに送ったが、それでもスペインはチャンスを作れない。

 

 42分、スペインはピンチを迎える。DFラインでボールを回していると、ラモスがパスミスをする。これをロシアMFデニス・チェリシェフに拾われ、FWヒョードル・スモロフにボールが渡る。スモロフにはMFアレクサンドル・ゴロビンにラストパスを通されるがスペインのDFジョルディ・アルバが間一髪カットした。

 

 ボールは持つものの、べた引きのロシア陣形を崩せない。後半終了時のスペインのボール支配率は81%。それでもいつものような効果的なパス回しはできずに、延長戦に突入した。 延長の前半、後半とスペインが攻め込むもののロシアゴールを割ることはできず、試合はPK戦へともつれこむ。

 

 先攻はスペイン、後攻がロシアだった。スペインの3人目、キッカーのコケはゴール左を狙ったが、これをアキンフェエフが見事セーブ。ロシアの守護神はスペインの5人目のアスパスがゴール真ん中を狙ったシュートも左足一本でセーブし、ロシアを準々決勝へと導いた。

 

 優勝候補の筆頭だったスペインを開催国のロシアが撃破した。開幕前、ロシアは“史上最弱の開催国”と揶揄された。しかし、下馬評を覆す素晴らしい戦いぶりを披露している。この奇跡はどこまで続くのか。大会を盛り上げるダークホースとなっている。

 

(文/大木雄貴)